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映画感想『しあわせの隠れ場所』

原題「THE BLIND SIDE」

◆あらすじ◆
夫と娘、息子の4人で幸せに暮らす裕福な白人家庭の夫人リー・アン。彼女はある凍てつくような真冬の夜、ひとり寂しくTシャツと短パンで歩いている巨漢の黒人少年に目を止め、声をかける。そして、マイケルと名乗るその少年を放っておけなくなり、ひとまず自宅へ彼を招き入れることに。マイケルは父親の顔も知らずに育ち、母親とは引き離され、住む場所や学校も転々とする劣悪な境遇に置かれていた。そんな彼に、はじめは憐れみだけを感じていたリー・アン。しかし、マイケルの瞳の中に輝きを見つけた彼女は後見人になると決心、自分の部屋と教育の場を与え、改めて家族の一員としてマイケルを迎え入れるのだった。またリー・アンはある時、大柄でありながら敏捷な肉体と仲間を危険から守る保護本能に秀でた心を持つマイケルにアメリカン・フットボールの才能を見出す。こうしてアメフトに取り組むマイケルはたちまちその能力を発揮し、一躍注目選手として成長していくのだが…。


2010/04/02記


※過酷な少年時代を過ごしながらも、或る家族との出会いによって自らの才能を開花させ、ドラフト1巡目指名でNFLデビューを飾ったマイケル・オアー選手の感動の実話をサンドラ・ブロック主演で映画化。原作はマイケル・ルイスのベストセラー・ノンフィクション『ブラインド・サイド/アメフトがもたらした奇蹟』


⚠ネタバレてないつもり・・・そう、つもり。


イイ映画だったと思う。劇場で観て損は無い。自分が信用できるものを見つけるのはとても難しく或る意味人生ではそれで転落を招く事もあるわけだがこの主人公マイケルはその過酷な少年時代の体験から自分を家族から引き離した他人を信じない。しかしそんな自分に手を差し伸べ家族同様に扱ってくれるリー・アンの一家に心を許すのだ。彼にとって家族は一番身近で一番信頼のおける存在。スラム街で育ち劣悪な環境でもそれに染まる事が無かったのは母がその光景を彼に目を瞑らせることで回避させてきたからである。そんな母の数少ない愛情の表現を彼は胸に仕舞ったまま周りに迷惑を掛ける事を避けホームレスとなる。そんな彼の優しい心やそんな環境に育ちながらも人に後ろ指を指される様な事だけはしたくないと言う擦れていない心が前半の画面には描かれていく。そう言う意味ではリー・アンが一泊させた次の朝のソファに置かれた布団一式のシーンはかなりグッと来た。日本人にはこういうシーンは受けると思う。


とかなんとかまともな事をのっけから書いてますがこの作品何が見どころかって~と・・・それは何と言ってもアカデミー主演女優のサンドラ・ブロックでしょう。アタシはずっとこの女優が好きではなかったです。はい、顔も演技も・・・だから彼女が主演てだけで見なかった作品はいくつかある・・・とはいっても彼女、結構恋愛モノが多かったから好みじゃないのが目に見えてたので作品ともども避けてたってのはある。でも今回はすっごく良かったと思う。実話なので髪も金髪に染めなんか見た目は如何にも色んな事に首突っ込みそうなウルサイおばちゃん的な感じに見えるが・・・まァそう言う感じなんだが(笑)でもそれが厭味無くかなりまっとうに演じられててこの役でアカデミー主演女優賞を獲得したのは納得だな。何かで読んだのだがサンドラ自身も南部出身なんだがやはり南部なまりが大変だったらしい。彼女曰く「南部訛りは一つじゃないからそれを習得するのにリー・アン本人を捕まえて何度も言葉を発して貰った」と。そのリー・アンご本人はあの役通り(いや文章から感じたのはそれ以上に)バイタリティに溢れ行動的で精力的なご婦人らしくサンドラは彼女に会って過ごした後かなり疲れたと話していた。この作品からも感じられる様に彼女は思い立ったら行動しないと気が済まないタイプらしいから必然的に或いは運命的にこう言うエピソードが生まれたのだろう。


彼女はいろんなチャリティや慈善事業に携わってる人らしく夫は元スポーツ選手でいまは引退しチェーンの飲食店を経営してる富裕層だ。この作品はマイケルとの関わりを通してこのテューイ一家の関係も描かれている。夫婦のやり取りもお互いを信頼し合っている素晴らしい環境だし子供達も良心の行動を信じマイケルを快く受け入れ、学校での非難も自分なりに解決しマイケルと過ごす事に抵抗は感じていない。宗教的背景からか親から押し付けられているものではなく自分なりに解釈し納得できるその精神的安定はやはりこの家族間の愛情が齎すものなのである。そう言う意味でこの作品は恐らく素直な心の持ち主にはその心に沁み入るものがあるし何かを感じられる作品に仕上がっていると思う。ただ、これを白人至上主義的な観点で観てしまうと「金持ちな白人が貧しい黒人にまともな生活を与え結果有名なアメフト選手になりました」的に思えてしまうのも避けられないのかもしれない(偽善と言えばそうともとれるわけだ)。しかしこの中に描かれているリー・アンの葛藤がそうではない事も感じさせてくれているんではないだろうか。ちなみに映画の中で黒人達が暮らす地域を「Hurt Village-苦痛の村」とは如何なものか?

背景に宗教や(政治?)理念等が絡んでいるのはもちろんなのだが、最後に同じ地域で育った黒人の若者が人生半ばで命を落とした旨のテロップが流れる、そう言う事から考えると一人でも違う世界へ抜け出せた事を良しとする考え方もあると言えるのではないだろうか。仲間の中で一人だけマイケルを違う目で見つめていた彼の姿は心に残るものがある。

※余談だが、「ハート・ヴィレッジ」ってどうもカタカナ表記だとワケ分からん事になる。
オスカーの「ハート・ロッカー」も然りだ。


この映画の側面としてアメリカンフットボールの“レフトタックル”と言うポジションがクローズアップされている。このポジションこそが【ブラインド・サイド】と言われ今ではNFLの中で2番目に高給取りになってるらしい(冒頭に描かれているのはこの変遷と言うわけだ)。どうやら原作はこちらの方が主体であり上記した心温まるエピソードはホントにエピソード的にしか描かれていないらしい。しかし映画はそのフットボールの世界を知らなくてもちゃんと楽しめる様にアレンジされているしマイケルがそのポジションで成功していくその経緯等はホントに彼らしいエピソードでかなり楽しめた。

後半でこの家族を脅かす出来事が浮かび上がりマイケルにもテューイ夫妻にも再びその関係を顧みなければならないシーンがあるが相手を思いやる気持ち、そして裏切られる不安や挫折をこの作品は静かにそして深く描いていると思う。ただ、サンドラ演じるリー・アンがとてもサバサバした明るい決断力のある女性と言う点に全てが救われる。そう言う意味で安心して観ていられる作品でもある。

配役はどの役も全く違和感なく観られた。特にSJ役のジェイ・ヘッド君は存在感が有り過ぎですな(笑)
あのマイケルの特訓シーンのコーチぶりとかスカウト合戦の時のエージェントぶりそして絶えずマイケルにビデオを向ける辺りは母親譲りだね!行動派!凄く可笑しかった。スカウトマンに対しては自分への特典にこだわってるのが素晴らしい、ブラボーだよ。


そして長女役のリリー・コリンズはフィル・コリンズの娘さんでしょ?カワイイよね。
凄く美人でいい役でした。物静かででも存在感がある、この役にピッタリだったね。


父親役のティム・マッグロウも濃くなく薄くなくカントリー歌手だって言われたら「へぇ、役者さんじゃないんだ」って思わせるほどこのショーンと言う役をこなしてたと思いまする。奥さんがマイケルを道端で呼びとめた時「何かを決めた目だな」って言ってる所とか結構お茶目でSJ君といいコンビだったと思う。ソファ争奪戦なんて円満な家庭の男同志の雰囲気がとても出てた。


そして言わずと知れたキャシー・ベイツが後半に登場しますが、やはり存在感は抜群だね。面接で言っておかないとならないアタシの秘密が結構笑えたけど・・・アメリカのそう言った政治理念の背景が関わって来るやり取りはちょいと難しいにゃ。


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