【ショートショート】第十一話『一分』
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午前6時過ぎ。
スマホの画面に表示された、
59:59
という数字を見つめていた。
一秒。
また一秒。
数字は静かに減っていく。
その間隔は徐々に短くなっていく。
00:03
00:02
00:01
そして──
00:00
画面が消えた。
電源ボタンを押す。
反応しない。
もう一度押す。
それでも、真っ黒なまま。
充電器を差してみる。
何も起こらない。
……壊れた?
買い替えたばかりなのに。
──仕方なく支度をして、家を出た。
駅に着く。
改札を抜け、ホームへ向かう。
ふと、ポケットの中でスマホが震えた。
……?
取り出す。
画面が点いていた。
バッテリー残量は、
100%。
さっきまで0%だったはずなのに。
それよりも。
スマホの時刻を見る。
7:00
駅の時計を見る。
7:01
スマホだけが、
一分遅れている。
気味が悪い。
謎のメッセージが届いた日
を思い出しかけた。
── 一分後。
その言葉が頭をよぎる。
その瞬間。
通知が届いた。
送信者は、
ぼく。
メッセージは一行だけだった。
「今度は、一分だけ戻しました。」
息が止まった。
何を?
時間を?
誰が?
画面から目を離せない。
そのとき。
ホームの時計が、
7:01
から、
7:00
に変わった。
周囲を見回す。
誰も気づいていない。
電車の到着を知らせるアナウンスも、
さっき聞いたはずなのに、
もう一度流れ始めた。
同じ電車。
同じアナウンス。
同じ人。
そして──
同じ一分。
ぼくはスマホを握りしめた。
《A Drop Remains.💧》
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