見出し画像

『勇気の研究』終章 勇ましく高尚に

【執筆原稿から抜粋】

終章 勇ましく高尚に 


真の自由のために

勇気にはちょっと抵抗感を感じる方も、自由を嫌いな人はいないと思います。その自由を実現するためには、勇気が必要です。ヨハネ・パウロ2世は

自由とは、やりたいことができることではなく、やるべきことができること
Freedom consists not in doing what we like, but in having the right to do what we ought.

と言いました。やりたいこと、「利」、たとえば海外旅行、長期休暇などができれば自由なのですか。それだけではありません。

本書を手に取る方は、やるべきこと、「義」ができなければ、自由ではないはずです。真に自由であるためには、忖度せず、勇気を出して、やるべきことをやり、言うべきことを言う必要があります。

皆さんはどれだけ「自由」でしょうか。やるべきことができていますか。より自由な人間になるために、勇気を身につけましょう。

勇ましく高尚なる生涯

内村鑑三は、万人が目指すことができる究極の人生を「勇ましく高尚なる生涯」と言いました。偉い人は事業を、金持ちは金を、芸術家は芸術を残せるが、ほとんどの人はそんなことはできない。でも誰もが残せる後世への遺物がある。それが勇ましく高尚なる生涯だ、と。

勇ましいのは簡単です。ヤクザは勇ましいですが、高尚ではありません。
高尚であることも簡単です。従順な会社員は高尚かもしれませんが、勇ましくはありません。

勇ましく、かつ、高尚であるところに、美しさがあります。

人の嫌がることをなせ

アフガニスタンの貧困地域の発展に生涯を捧げた中村哲医師は、内村が説いた「勇ましく高尚なる生涯」を体現した一人です。

「勇ましく高尚なる生涯」を説いた内村の 『後世への最大遺物』を座右に携え、同書が説く「人の嫌がることをなせ。人の嫌がるところへ行け」という言葉を愚直に実践し、人の嫌がるところで人の嫌がる「不幸になる覚悟」をしました。

日本での医師としての安定した生活を捨てて異国へ「踏み出し」、医師としての肩書を「手放す」かのように重機を操り、愛息の死を乗り越えて35年の「堪える」生活を送りました。なぜ日本に帰らないかを問われた彼はいつも、「アフガニスタンの人たちを見捨てるのは男がすたる」という人間臭い美意識と責任感を露わにしました。

中村医師のやせ我慢と勇気は、90万人の生命を救いました。彼が築いた勇ましく高尚な水と緑は、これからも人々に笑顔を与え続けるでしょう。
 
(終章 終わり)


いいなと思ったら応援しよう!