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わたしの本棚 春の本まつり編 大好きな短編と装丁

そろそろ桜も満開、本棚も模様替え。
春らしいカラフルな本を並べようと思っていたのですが、昨日は、やたら寒くて。まだまだコタツとさよならできません。
光を待ちわびる感じ? のトーンでまとめてみました。


一段目はウィリアム・トレヴァー。アイルランドの作家です。
村上春樹は「バースデイ・ストーリーズ」という誕生日にまつわる海外の短編小説集の中で、トレヴァーを次のように評しています。

彼の小説の特徴は、無駄のない的確でみずみずしい描写と、設定された人物像の揺らぎない精密さ、ナイフのように鋭くはあるけれど同時に不思議な優しさを含んだ小説的視線にある。

p42

左から、「恋と夏」「ふたつの人生」「異国の出来事」
表紙はハマスホイ。
北欧のフェルメールとも称されるデンマークの画家です。
後ろ向きの人物を描いた室内画が人気ですよね。
トレヴァーとベストマッチ!
個人的には、宮本輝と有元利夫の組み合わせに匹敵すると思う。

4冊目「アイルランド・ストーリーズ」5冊目「聖母の贈り物」はともに短編集。
とくに好きなのは「聖母の贈り物」の中の一編「女洋裁師の子供」
事故で子どもが喪われる話なんだけど、たんなる不幸とか悲惨とかに終わらない。深くて、静かで、読むたびに圧倒されるんです。

ん〜……
トレヴァー、あんまり春っぽくはなかったですかね。
次、いきましょう。

二段目、左端は「庄野潤三の本 山の上の家」
庄野潤三も好き。「静物」とか、特に。
なんとなく、春のぬかるみっぽい感じ?
足を踏み入れて、ぐじゅぐじゅしてみたいかも? みたいな。
……イヤですか?
だけど、「山の上の家」の表紙写真、すてきじゃないですか?
窓ガラスに映る緑。窓を開けたくなる。

2冊目の「読む時間」も窓の写真。
レースのカーテンに映る緑の影。
この本は、無心に本を読む人々の姿を捉えた写真集です。

3冊目。
「わたしの好きな季語」 川上弘美
季語や俳句にまつわるエッセイ集。なかなかの川上弘美ワールドです!
季節の変わり目って、歳時記とかめくってみたくなる。
ちなみに、「北窓開く」は春の季語だと、この本にも紹介されています。

4冊目。
「猪熊弦一郎のおもちゃ箱」
猪熊弦一郎の色使いって、春っぽくないですか?
上野駅にある猪熊弦一郎の壁画、修復を終えたんですね。
「自由」を修復しています
という横断幕がSNSでも話題になったそうで。
今度、東京に行ったら見てみよう。

5冊目。
「水曜生まれの子」 イーユン・リー
こないだ買った短編集。春に読みたい本です。

3段目、1,2,3冊目は韓国文学。
1冊目。
食欲は秋だけのものじゃない。
韓国の食を書かせたら、まず、クォン・ヨソンだと思う。
「きょうの肴なに食べよう?」
は、春・夏・秋・冬、さらに季節の変わり目の料理エッセイ。
春には、餃子とかノリ巻きとかがでてきます。

2冊目。
ごめんなさい。
ハン・ガンはノーベル文学賞受賞のすばらしい作家ですが、「菜食主義者」を読んでも食欲はわきません。
新玉葱がおいしい季節には、表紙だけ眺めて過ごしましょう。

3冊目。
チョン・イヒョンも韓国を代表する作家のひとりです。
「私たちの都市の記録者」の異名を取るそうです。
本文とは別に、注目してほしいのは装丁。
写真は、原久路「バルテュス絵画の考察」より
バルテュス絵画に登場するちょっとエロティックなポーズをとる少女たち、同じポーズをセーラー服の少女に取らせたシリーズ写真の中の一枚らしい。
そうと知ると、虫眼鏡のレンズに映り込んでるの、窓からの光だけじゃないかも? などと思えてきたり。
なんとなく、不穏。


不穏といえば、
4冊目。
「11」 津原泰水


恥ずかしながら、津原泰水、知りませんでした。
古本カフェ巡り、ぼちぼち続けておりまして。
大阪・中崎町の「書肆アラビク」の店主さんから教えていただいたんです。
「書肆アラビク」店内には、本はもちろん、人形がいっぱい。
球体関節人形さまも、いらっしゃいました。
ほんとに魅力的なカフェです!
「11」は津原泰水の代表作で、装丁も著者によるもの。
人形は四谷シモンです。
短編の味わいと装丁がみごとに融和して、なんとも贅沢。
カバーを外しても、おしゃれ。

食欲と同様、読書は秋だけのものじゃない。
秋は、じっくり長編?
春は、ふわっと、短編?
 
お気に入りの短編を見つけませんか?




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