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情熱は、伝わるんだぜ

ガッコーのせんせーの話

 中学校の教師をしている親友がいるんですが、そいつ(20代後半男性)が語っていたエピソードです。

 そいつとは昔からの付き合いで知ってるんですが、本来は温厚な性格なんです。が、職場では〝厳しい先生〟の役割を担っているそうで。

 新任時代に、子どもたちと仲良くなりたくて距離感を誤り、気づけば媚びるような態度を取ってしまっていて、結果、舐められて学級崩壊に近しい状況になった経験から、周囲の先輩方のアドバイスもあり、大人としての威厳を保つことを意識するようになったと。
 また、若い男性という立場としても、組織の歯車として求められているポジショニングは今の形だという考え、辿り着いたスタイルだそうです。

 毎日、ずっと厳しく口うるさく指導しているので、生徒たちからは基本的に疎まれているとのこと。
 敢えてそんな〝嫌われ役〟を自ら買って出ると決心した最初の1年は、やはり辛さや葛藤もあったそうです。
 それでも今は、自分の働きが全体の役に立っていることへの自信や、やりがいを持って仕事をしているんだ。彼の目からそんな情熱が伝わってきました。



〝殺せんせー〟のお話




チャラ男せんせー

 彼の同期に、チャラ男キャラの教員がいるんだそうです。
 あくまでイメージですが、襟足を伸ばし、毛先を遊ばせ、放課後、帰宅部の女子生徒たちの恋バナに混じってわちゃわちゃしているようなタイプ。
 特に厳しく叱ることもないので、子どもたちからは話しかけられやすいわけです。
 もはや「先生!」ではなく、あだ名で呼ばれちゃうような感じ。


 ↑(地獄先生)


 そんな同期のチャラ男と、同じ学年の担任になったとのこと。それも隣のクラス
 仮に、私の親友が2年A組で、チャラ男が2年B組としましょう。

 中学校なので、親友は2年B組の教科担当もしており、日常的にその学級の生徒たちとの接点はあったわけです。

 ちなみに、生徒指導の方針は真逆だったけど、そのチャラ男せんせーとの関係性は同世代ということもあり良好で、連携もしっかり取れていたようです。


『兎山女子高校2年1組‼︎』より



思わぬできごと

 進路希望の用紙を提出しなければならない時期を迎えた際のこと。

 いつも放課後、チャラ男せんせーと恋バナしていた女子生徒が、突然、自分のところへ訪ねてきたと。片手に例の用紙を握りしめて。

 そして「先生、私、将来のことで悩んでいて…」と相談してきたそうです。

 普段は「宿題はどうしたんだ」「その身なりは校則違反だぞ」「下校時刻を過ぎているから早く帰りなさい」などガミガミ言われるたびに、コイツうぜぇなあという顔を向けてきていた、ちょっと生意気な女の子が。

 隣のクラスの生徒が。
 担任の先生を差し置いて、俺のところに相談に来た。


 ぶっちゃけ心の中でガッツポーズを決めたくらい嬉しかったと言っていました。


 …わかる気がする。




実写版




子どもはちゃんと見抜いている

 そうなんですよね。
 普段は厳しくてウザい先生でも、その人が自分たちのことを本当に思ってやっていることなのかどうか、伝わるものです。
 同じ厳しさでも、感情に任せて怒っている大人と、奥底に情熱を持って叱っている大人との違いも、生徒はしっかり感じ取っています。

 自分自身が学生時代だった頃も、そうでした。
 全員が全員、というわけではないですけれど。

 真剣に進路相談をしようと思ったら、チャラ男せんせーではなく、隣のクラスの厳しい担任の先生を選んだ。
 その生徒の気持ち、わかります。


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情熱は、届いている

 当然、私の親友は、その女子生徒が自分のところへ相談に来たことと、どんなアドバイスを伝えたかについて、チャラ男担任にしっかりと引き継ぎます。
 チャラ男は素直に悔しがっていたそうです。
 そうなんだよ!どれだけ生徒と仲良くなっても、最終的に大事な場面で頼られるのは、お前のようなタイプなんだよなぁ…。くぅ〜っ。
 って。

 その話を聞いて、なんとなく、飴と鞭の良き役割分担ができているのかなと感じました。


映画『ビリギャル』より、伊藤淳史さん


 「本来なら、こんな固有名詞を出して外部の人間に話するのはダメなことなんだけど、あまりに嬉しすぎてどうしても誰かに話したくて、お前にだけ打ち明けた」と、ちょっと興奮気味に、そいつは語ってくれました。
 日頃、生徒に疎まれながらも熱意を持って自らの役割に徹し、時に悩みながらも子どもたちを導いているんだなあということが、伝わってきました。


 きっと、学校という場だけでなく、仕事上の関係性だけでなく、大人と子どもの間だけの話でもなく、あらゆるケースに通じる話だと思います。

 自分自身はどうなんだろう。
 組織の中で求められている立場を認識しながら、決してそれに飲み込まれず、諦めたり腐ったりすることなく、自分の矜持や情熱を忘れずに持ち続けられているんだろうか。
 そんなことを、親友から改めて教えられました。



 気恥ずかしいけれど。感謝を伝えさせていただく。


俺だけに話してくれてありがとうなテメェこのクソ野郎!!!

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