【2000年シリア留学記】④前編|ダマスカスで逆走 学校に行こうと思っただけなのに!
こんにちは。
私はアラビア語に携わって25年、現役アラビア語通訳の中東あいです。
東北生まれ、東北育ち。生粋の日本人ですが、結婚を機にイスラム教に改宗し、現在は主に時事通訳として日本とアラブの橋渡しをしています。
中東と言えば、どうしても戦闘や「怖い」といったイメージが先行しがちですが、アラブ人やアラブ社会と深く関わる中で見えてきた、彼らの姿や温かさをシェアできたら、と思いnoteを始めました。
通訳として、一人の人間として異文化の間に立ち、言葉を紡ぐこと。
その根底にあるのは、「私は世界に寄り添いたい」というシンプルな願いです。
異文化の間で生きる私の気づきが、世界を少しだけ近くに感じるヒントになれば幸いです。そうして、中東に対する「怖い」というイメージを、少しずつ「理解」へと変えていけたら。
私の物語が、そうした力になることを願っています。
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私のnoteをきっかけに、アラビア語や中東、アラブの人々に興味を持ってくださる方が増えたら嬉しいです!
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では第4話をどうぞ!
強力目覚まし時計は人間・ムアッズィン
الله اكبر الله اكبر
アッラーフ・アクバル アッラーフ・アクバル / 神は偉大なり 神は偉大なり
だあぁっ
シリアの首都・ダマスカス。
安宿・ハラメインのベッド。いきなり聞こえてきた拡声器の大きな声で何事かと跳ね起きる。
外はまだ真っ暗。
あ、これがアザーンか。
イスラム教徒は一日に5回、世界中のどこにいても聖地・メッカの方角に向かって礼拝する。
一回目は早朝の祈り。夜明け前に行われる。
アザーンとは、その礼拝の時刻を伝え呼びかけるためのもの。
それぞれのモスクに مؤذن ムアッズィン(礼拝時刻を知らせる人・の意)がいて、ミナレット(塔)から呼びかけをする…。
って知ってたけど、私は眠い!アタマも体も重っ!
なのに、え?
もう一人そっちからも、え、こっちからも…ってもう何人目だよ~
十分だよ~、ネ・カ・セ・ロォォォ!!!
ばたっと横になったものの、跳ね起きたせいで心臓がドクドク言ってる。
昨日の朝まで日本にいたなんて、本当にウソみたいだ…。
そうだこれは夢かもしれない…。
目覚めたらまだ日本だったりして…。
初ミッション 決意の公衆電話
んな訳なかった。
ベッドに差す太陽の光が暑くて、次にはっと目が覚めたのは8時ころ。
ぼーっとしたアタマで昨日のあれこれを思い出し、シリアにいる現実を認識。
だるい体で階下にある受付兼ロビーに降りて、紅茶を飲んでいる今。
部屋探しに学校の手続き。
しなきゃいけないことは詰まってるけど、まずはこの番号に電話をかけねば…。
それが今日の第一のミッション。
「明日一日、僕の運転手は君の運転手だよ」といって名刺をくれたビジネスマン。
とってもありがたいけど、そこまで甘えるわけにはいかないよ。
昨日お抱え運転手は、安宿の前のデコボコ石畳みで車輪が傷つかないよう、小さいくせにやたら重い私のスーツケースを、おなかの前に抱えて運んでくれた。チェックインする時はビジネスマンと二人で、日本から来たゲストだからくれぐれもよろしく、と私にもわかるように英語で言ってくれた。そしてこっそり、ドルのレートは1ドルが50リラ(シリアンポンド)だから、ごまかされないように、と忠告までしてくれた。
涙…。
こんなに良くしてくれた上に、今日一日私が運転手を独り占めするなんて、とてもできない。
だから電話して昨日のお礼と、今日は一人で大丈夫だと伝えるんだ。
電話のために、とビジネスマンが渡してくれた5リラ硬貨2枚。
「公衆電話は市内中にあります」
ガイドブックを確認して外に出る。

963は国番号。市外局番は11。市内からかける時は国番号を無視して、11の前に0・ゼロを押す。
なんとまあ複雑な仕組みよ。
ちょっと緊張しながら待つこと数秒。
📞❝ただいま電話に出られません。メッセージをどうぞ❞
おっと留守電だ。
🗣️あいです。昨日はどうもありがとう。今日は一人でダマスカスを散策します。あなたの親切に感謝しています。ご成功をお祈りします。
最後の言葉はアラビア語で。どうしてもその言葉だけはアラビア語で伝えたくて、宿を出る前に辞書で確認した。
اتمنى لكم التوفيق
アタマンナー・ラコム・タウフィーク / ご成功をお祈りします
ミッションを終えたとたん、街の喧騒に包まれる。車のクラクション、音楽、人々のはなし声、物売りの大声。
これでよかったんだ。しなきゃいけないことはいっぱいある。甘えたら楽だったかもしれないけど、自分でしなければいけないことからは、絶対に逃げられないのだから。
街の音はうるさくもあり、私の心細さをかき消してもくれる。
次は、両替と学校の入学手続き、そして部屋探し。
セルビスに乗って移動しなくちゃ。
親切を断って大後悔?!右車線の落とし穴
学校はなんと、メッゼにある。
ビジネスマンの家と同じ地域だ。
がしかし、いざ自分一人でセルビス(バン。小型の乗り合いバス)に乗るとなると、ドキドキが止まらない。
理由は、
決まった停留所がない(どこで乗り降りするかは客と運転手次第)
降ろしてほしい時は運転手に「次の交差点で止まって」とか声掛けしないといけない(アラビア語が通じるか問題)
自分が新米すぎて、どのセルビスがどこを走るのかを把握できていない(セルビス案内パンフレットなどはない)
と、かなりハード。
各セルビスの屋根には運転区間を書いた板が乗っていて、私の場合はメッゼ・مزة と書かれた板を見つけて乗ればいいのだけれど…。
まずは場所。どこで乗るか。そこをメッゼ行きのセルビスが通るかどうか。
幸い安宿・ハラメインの入り口から数百メートル行くと大通りに突き当たり、道路の反対側には市場もある。
比較的人の乗り入れがありそうな場所だと思い、メッゼと書いた看板を見分けるべく道路に身を乗り出す。
街の人々を見ていると、乗りたいセルビスが来れば駆け寄っていって乗り込んでいる。
降りる人がもちろん優先だけど(そうでないと乗れないから)、並んで待つとかはない。セルビスが完全に止まらないうちに乗り降りが完結することもある!
私もやるんだ、コレを…。
郷に入っては郷に従え
容赦ない日差しが目に痛い。ひたすら看板を凝視すること数十分。
来た!メッゼの看板!
しかも、あ、減速した!行くぞっ!
ズーッッ、バッタン。
ドアが閉まったら、そこは異空間。
狭い車内に体格のいいシリア人男女がぎゅうぎゅう乗っている。パンパンになった黒いビニールの買い物袋を何袋も持った人も。
圧倒されていたら、ドアの一番近く、助手席に背を向ける形で、座席でない場所に腰かけた男性が、私に向かってぱちぱちと指を鳴らしている。しかも手のひらを下に向けた状態での指パッチン。
あ、運賃か。一緒に乗り込んだ人たちがもぞもぞと何かを前の人に手渡ししてたのはそれだったんだ。
ビジネスマンがくれた残りの5リラ硬貨。ずっと握ってて汗まみれだけど、前の人に渡すと、運転手までリレーパスして事なきを経る。
運転手がかけているラジオから、不思議な音色の音楽と、女性の艶めかしい歌声が聞こえてくる。
降りる人は、ほとんど「アルヤミーン!(右に!)」と声をかける。
そのたびに運転手が急ブレーキをかけて車を止め、客が降りる。
反対に乗りたい人は、道路に立って手を90度に上げて、運転手にアピールする。席がなければ通り過ぎるし、あればこれまた急ブレーキで止まる。
単調なやり取りだけど、新米の私には刺激200%⚡⚡
なんかこの感じ、楽しい。
でも待てよ。だんだん景色が寂しくなってきた。メッゼは高層マンションが立ち並ぶ場所だったはずだけど、どんどんこのセルビスは街のにぎやかさからは遠ざかっている気がする…。
どうしよう。看板を見間違った?降りなきゃ。でも降りたらどうすればいい?ドキドキが止まらない。冷や汗も出てきた。
確かに看板にはメッゼと書いてあった。じゃあなんでこんな町はずれに!?
ど~して~
アタマの中はパニック状態。でもこの地元感満載の車内で英語が通じるのか。いやもういっそのことつたないアラビア語で隣の人に聞いてみようか。
あっ!!!
アルヤミーン・右に、ってみんな言って降りてる。だからこの国は右車線!!!日本とは逆なんだ。ってことは、私はあの市場前でセルビスを待つ車線を間違って、行きたい方向と反対に来ちゃったんだ!
OMG o(><;)oo
気づくの遅すぎ。
窓から見える景色の新鮮さにばかり気を取られていた自分の能天気
さに完敗。
アルヤミーン!
大声を張り上げて降ろしてもらうと、もうそこは完全な田舎道。
場所に全く不釣り合いな自分を自覚しつつ、反対側の車線に移動して、またメッゼ行きのセルビスを待つ。
自分でやらなきゃって思ってコレか…。
私がここに立ってる、の図は絶対違和感しかないだろう。頼む、恥ずかしいから誰も見ないでくれ。でもセルビスよ、私を乗せてくれ。
先が思いやられる…。というか、まだ何も始まってなくて、逆走しただけ…。
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学校にさえたどり着けないこの状態で、果たして部屋探しまで行けるのか?!次回、今度こそ…【家探しで大苦戦・日本人は○○だから困る】へ続く(ハズ!)
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ここまで読んでいただきありがとうございます!
スキ💕をいただけたら嬉しいです!
次回こそ本当に部屋探し?!たどり着けるよう頑張って書きます!
ぜひお楽しみに〜🙌🏻
またね・イラッリカー الى اللقاء 🌍
