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【究極課題】最後は電源を抜く―光回線の「復旧法」はファミコンカセットを口で吹く頃と変わってない

10Gbps・Wi‑Fi 7でも、最後は電源を抜く――AI時代に取り残された光回線の「自己復旧力」

先日、自宅のインターネットが突然つながらなくなった。

2ヶ月に一度くらいは起こる定例行事ね。
タチが悪いのは実家は、光電話まで使えなくなること。
そして一式が母親の寝室にあるから、起こしちゃ悪いじゃん。

そして何がすごいって、対処方法調べると電源入れ直せとあることだね。

そのくせONUには電源スイッチもないやん。


深夜のトラブル

スマートフォンにはWi‑Fiマークが表示されている。それなのに、Webサイトも動画も開かない。

もちろん、契約してからずっと続く自然改善しない事象だ。

そのたびに機器の電源を入れ直すと復旧する。

しかし、私は最新のWi‑Fi 7対応ルーターを購入したばかりだ。10Gbpsポートを備えた、決して安くない高性能機種である。

私は1985年頃からパソコン通信を使い、1995年頃からインターネットを利用してきた。通信との付き合いは約40年になる。

その間、通信速度は飛躍的に向上した。文字だけの通信から動画、クラウド、生成AIへ。自宅には10Gbps対応の光回線と、Wi‑Fi 7対応の高性能ルーターまで導入した。

ところが、インターネットが突然つながらなくなったときにやることは、40年前からほとんど変わっていない。

「電源を抜き、しばらく待って、もう一度差してください」


AIが自動車を運転し、ロボットを動かそうとしている時代に、生活インフラである通信の復旧作業は、いまだに利用者の手作業に依存している。

通信は本当に進歩したといえるのだろうか。

自宅の通信機器は、大まかに次のような構成になっている。

光回線

通信事業者から提供されたONU・ホームゲートウェイ

市販のWi‑Fi 7ルーター

スマートフォン、パソコン、テレビ、家電

最初は、購入したWi‑Fiルーターを疑った。

専用アプリから再起動してみたが、インターネットは復旧しない。最後に通信事業者から提供されている上流側の機器の電源を入れ直したところ、つながるようになった。

つまり、高性能なWi‑Fiルーターを買っても、その手前にある事業者の機器や接続処理が止まれば意味がない。

システム全体の信頼性は、最も性能の高い機器ではなく、最も弱い部分によって決まるのである。

Wi‑Fiがつながることと、インターネットが使えることは違う

今回、スマートフォンにはWi‑Fiマークが表示されていた。

これは、スマートフォンと自宅のWi‑Fiルーターとの通信が成立していることを示しているにすぎない。その先にあるONU、ホームゲートウェイ、光回線、プロバイダーまで正常につながっていることを保証するものではない。

利用者から見れば、すべてまとめて「インターネット」である。


ところが実際には、

* Wi‑Fiルーターのメーカー
* ONU・ホームゲートウェイを提供する通信事業者
* 光回線事業者
* プロバイダー
* IPv4・IPv6の接続サービス

などに分かれている。

どこか一つで接続の再確立に失敗すれば、Wi‑Fiマークだけが表示されたまま、インターネットは使えなくなる。

そして利用者には、どこで何が起きたのかほとんど分からない。

「利用者が電源を抜く」が保守の一部になっている

現在の家庭用通信サービスでは、障害が起きると次のような案内が繰り返される。

* ランプの状態を確認してください
* ケーブルを差し直してください
* 電源を切って数分待ってください
* ONU、ホームゲートウェイ、ルーターの順に再起動してください

これは言い換えれば、利用者が保守要員の役割を担っているということである。

利用者が自分で再起動して復旧させれば、通信事業者には訪問修理も機器交換も発生しない。一時的な症状なら、問い合わせた時点では「現在は正常です」で終わってしまう。

その結果、障害として蓄積されにくく、改善への圧力も働きにくい。

半年に3回なら、事業者側は「頻繁ではない」と判断するかもしれない。しかし、生活インフラとして考えれば、回数だけの問題ではない。

原因が分からず、人がコンセントを抜かなければ復旧しない。その状態が何十年も続いていること自体が問題なのである。

わが家では、機器が母親の寝室にある


さらに困るのは、ONUやホームゲートウェイが母親の寝室に設置されていることである。

深夜に通信が止まっても、簡単には電源を入れ直せない。母親を起こしてまで復旧作業をするわけにもいかない。

スマートプラグを使えばよいという意見もあるだろう。

しかし、インターネットが切れていると、クラウド経由のスマートプラグそのものを操作できない場合がある。

つまり、

「インターネットが止まったので、インターネットを使って電源を入れ直す」

という矛盾が生じる。

これでは本当の自己復旧とはいえない。

必要なのは、AIによる自己診断と自己復旧である

AI時代の通信機器には、単なる高速化ではなく、次の機能が必要ではないか。

* 通信不能を常時監視する
* 宅内Wi‑Fiと外部回線のどちらに原因があるか切り分ける
* DNS、IPアドレス、IPv4・IPv6、認証状態を確認する
* 接続セッションだけを自動的に再確立する
* 必要な部分だけを段階的に再起動する
* 復旧できなければ機器全体を自動再起動する
* 障害内容と復旧結果を利用者へ通知する
* 同じ症状が続けば、通信事業者へログを送信する
* 故障の兆候を検知し、停止する前に機器交換を案内する

単純な疎通確認や自動再起動だけなら、高度な生成AIを使わなくても実現できる。


AIが力を発揮するのは、複数の機器や回線ログを横断し、過去の障害パターンと比較して原因を推定する部分である。

地域全体の障害なのか、その家庭だけの問題なのか。機器の不具合なのか、プロバイダーとの接続失敗なのか。AIなら、これらを総合的に判断できるはずだ。

「AI搭載ルーター」だけでは解決しない

ただし、市販ルーターだけにAIを搭載しても不十分である。

今回のように、問題が上流側のONUやホームゲートウェイ、プロバイダーとの接続部分にある場合、市販ルーターから見える情報には限界がある。

必要なのは、

* ONU
* ホームゲートウェイ
* Wi‑Fiルーター
* 光回線
* プロバイダー

を一つのシステムとして監視する仕組みである。

機器ごと、会社ごとに責任を分けるのではなく、利用者がインターネットを利用できる状態までを一体的に管理しなければならない。

利用者が求めているのは、ONUの正常動作でもルーターの正常動作でもない。

「インターネットがいつでも使えること」である。

通信速度競争から、運用品質競争へ

通信業界はこれまで、

* 1Gbpsから10Gbpsへ
* Wi‑Fi 6からWi‑Fi 7へ
* より高速に
* より多くの端末を同時接続可能に

という方向で競争してきた。

もちろん速度の向上は重要である。

しかし、一般家庭で本当に必要なのは、理論上の最高速度だけではない。

* 止まらない
* 止まっても自動的に復旧する
* 原因が利用者に分かる
* 人が機器のある場所まで行かなくてよい
* 高齢者でも保守作業をせずに使える

という運用品質である。

高齢者の見守り、防犯カメラ、オンライン診療、在宅勤務、スマート家電など、家庭のインターネットは既に生活インフラになっている。

そのインフラが、異常時には「電源を抜いてください」で済まされる。これは、AI時代の社会基盤としてあまりにも貧相ではないか。

目標は「障害ゼロ」ではなく「利用者の復旧作業ゼロ」

どれほど高度なシステムでも、障害を完全にゼロにすることは難しい。

だからこそ重要なのは、障害が発生した後の対応である。

これからの通信サービスが目指すべき基準は、

回線障害ゼロではなく、利用者による復旧作業ゼロ

ではないだろうか。

高価な最新ルーターを購入しても、上流側の機器が止まり、最後は母親の寝室へ行って電源を抜かなければならない。

通信速度だけが進歩し、運用の仕組みは何十年も変わっていない。

AIとは、人に新しい作業をさせるための技術ではない。本来、人が繰り返してきた面倒な作業を、システム自身に引き取らせるための技術である。

「つながらなければ再起動してください」という時代を、そろそろ終わらせるべきだ。

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