たった1時間のシンデレラ
火曜日の夜、私はシンデレラになる。
「行ってらっしゃ~い」
嬉しすぎてたまらない笑顔で、旦那さんを送り出す。
毎週火曜日は、娘が夕方から日本語学校へ行く。
学校は少し遠い場所で、終わるのも遅い。
だから、旦那さんが迎えに行く。
旦那さんが出かけたあと、私は愛犬とふたり。
そこから、1時間ちょっと。
私の時間が始まる。
たった1時間。
でも、私にとっては十分な魔法の時間だ。
愛犬という名の馬車に乗り、
ドレスという名のエプロンをつける。
そして、大好きなJazzを流す。
いつもなら、時間に追われながら作る夕食は、
ちょっと面倒な家事だ。
でも、この時間は違う。
誰にも急かされない。
ゆっくりでいい。
Jazzのメロウなリズムに合わせて、夕食を作る。
火曜日は休肝日。
だから、この時間のためにノンアルビールを用意している。
冷蔵庫という名の扉を開けて、おつまみになりそうなものを探す。
軽めのものがいいから野菜中心で。
セロリ、菊芋、茎わかめ。
シャキ・サク・コリッ。
ゴマ油と鶏がらスープの素で和えて、仕上げにゴマをササっと振りかけた、音と旨味のマリアージュ。
自分が食べたいものを、自分のために作る。
そして、
プシュッ。
ノンアルビールの缶を開ける。
トクトクトクトク、しゅぱ~。
舞踏会の代わりに、一人晩酌。
誰かと乾杯するわけでもない。
でも、これがいい。
そろそろ夕食も出来てきた。
チッチッチッチッ……。
愛犬がソワソワし始める。
私も時計を見る。
「もうすぐ帰ってくる…。」
ガチャ……。
ドアが開く音。
愛犬が吠える。
シュワっと魔法がとけた。
残されたのは、ガラスの靴ではなく、
空き缶がひとつ。
また来週、おめにかかりましょ。
さて、
ここからは
#エッセイしりとりのバトンを次の方へ 。
この企画は、前の人の記事タイトルの最後の一文字から始まるタイトルをつけ、140文字以上のエッセイを書くというものだそうです。
私は、キャンディさんから #エッセイしりとり のバトンを受け取りました。
「ぞ」で始めるという難技をさらっと、素敵な記事に仕上げているのは流石です。
そして、今回私がバトンを渡すのはtora9🍩さんです。
感覚派の私とは違い、引き出しが多く、身近な事でもとても理論的に分かりやすく書かれている方。一度頭の中を覗いてコピーしたいと思っています。
今回は「たった1時間のシンデレラ」なので、toraさんには「ら」から始めていただきます。
#エッセイしりとりを付けて投稿。一人にバトンを渡すそうです。
無理のない範囲で、どうぞよろしくお願いいたします。
バトンは置いても大丈夫らしいので。
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