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ASD・ADHDのオマケ扱い?注目されない「DCD」と「LD」|併発多い!不器用・読み書きが苦手

たくさんのフォローありがとうございます。基本的なことから最新知見のガイド記事シリーズ最後はDCD・LDについてです。

DCD(発達性協調運動症)LD(学習障害)は、発達障害の中でもASDやADHDに比べて注目されにくい特性です。
発達障害の支援者でもASDやADHDの副次的な障害という認識の人は少なくありません。

DCDやLDのある人は、失敗体験の積み重ねから抑うつなどの二次障害につながる例も報告されており、決して軽視できません。
当事者の中には、恥ずかしさを感じて障害を隠してしまう人もいます。

本記事では、DCDとLDの特徴、ASD・ADHDとの併存、支援方法、避けたい対応について解説します。

DCDとLDが話題にならない理由

ASDやADHDには、メディアで扱われやすい切り口があります。

  • ASD → 空気が読めない、こだわり、感覚過敏、天才性との関連

  • ADHD → 忘れ物、先延ばし、多動、衝動性、ハイパーフォーカス

こうした切り口は、「自分にも障害特性があるのではないか」と見る人の関心を集めやすいです。
一方、DCDとLDの困難は「ただの苦手」「努力不足」に見えやすい傾向があります。

  • 靴ひもが結べない

  • 板書が遅い

  • 漢字が覚えられない

  • 音読で詰まる

  • 定規やコンパスが使いにくい

  • 球技が苦手

  • ノートが取れない

ASDはDCD、ADHDはLDと似たような症状に見えることがあるため慎重にチェックされやすく、結果的に併存も多く報告されています。
発達障害全体を一括りにした偏見もあります。

「ADHDだから××が悪い」
「ASDだから運動音痴」

周囲から差別的な扱いを避けるため、発達障害の当事者が健常者に擬態する大きな理由となっています。
その一方で、併存がないDCD単体やLD単体に合わせた支援が重視されない傾向があります。

主に本人だけが困る発達特性のため、学校でも問題行動がなく目立たない子であれば、放っておかれるケースが目立ちます。
ASD・ADHDが併存してないと支援ルートに乗りにくい現実もあります。

※DCDやLDに似た困りごとは、視力・聴力の問題、知的発達症、不安、睡眠不足、教育環境のミスマッチでも起こります。

診断や支援方針は、自己判断ではなく医師、心理士、作業療法士、学校の支援担当者と確認しましょう。

↓ASD、ADHDの記事はこちら。


※初めてバラードを作りました。不安症をテーマにしていますが、いつも載せている曲と違ってまともな歌です。

歌詞はこちらをクリック

DCD(発達性協調運動症)とは何か

DCDは明らかな体の病気や障害がないのに体の動きをうまく協調させられない発達障害です。
手と目、左手と右手、足と腕など複数の部位を同時に動かす「協調運動」が極端に苦手です。動作性IQが低いという意味ではありません。

字を書く、箸を使う、服を着る、階段を上る、自転車に乗るなど、日常生活の動作でつまずきます。

DCDは中枢神経系の機能特性によるものであり、反復練習すれば自然に克服できるものではありません。

幼児期に出やすい困りごと

  • スキップができない、片足立ちが続かない

  • ボタン留め・靴紐結びが極端に遅い

  • 箸・スプーンがいつまでも上達しない

  • なわとびが跳べない、ボールがキャッチできない

学齢期~思春期に出やすい困りごと

  • 板書をノートに写すのが間に合わない

  • 字がマス目からはみ出す、筆圧が極端に強い/弱い

  • 定規・コンパス・ハサミがうまく使えない

  • 体育の集団競技で「足を引っ張る」立場になりやすい

大人で出やすい困りごと

  • 工具・器具・機械の扱いが苦手

  • タイピングが遅い、書類記入でつまずく

  • 物にぶつかる、落とす

  • 車の運転や自転車が難しい

数字で見るDCD 

  • 学齢期(5〜11歳)の子どもの 5〜6%に見られる。1クラス35人なら1〜2人。

  • 症状の50〜70%は青年期以降も残存

  • ADHDの子どもの約55%、ASDの子どもの約79%にDCDの併存が報告されている

※有病率は調査方法や診断基準によって差があります。

DCDへの支援法

放課後等デイサービスなどの療育の場では、遊び、制作、運動、食事の準備などを通じて、子どもの手先の使い方や姿勢を見ます。
医療機関ではないので、支援計画や保護者説明では、「手先の操作が苦手」「姿勢保持が難しい」など、具体的な困りごととして扱います。

成人ではDCDそのものではなくASDやADHD、LD、感覚統合、作業療法の相談から支援につながることが多いです。
各都道府県の発達障害者支援センターが最初の相談先にしやすいです。子ども中心のセンターでも、問い合わせれば他の相談機関を紹介してくれます。

CO-OP(コアップ)

CO-OPは、DCDに対する作業療法のアプローチです。反復練習を重ねるだけではなく、本人が作戦を考えながら課題に取り組む点に特徴があります。

たとえば「字をきれいに書く」でも、ただ何度も書かせるのではなく、

  • 紙を少し斜めに置く

  • 太い鉛筆にする

  • マス目を大きくする

  • 書く前に見本を指でなぞる

  • 一文字ずつ確認する

など、本人と支援者が一緒に作戦を探します。

CO-OPでは、Goal-Plan-Do-Checkという流れを使います。

Goal:何ができるようになりたいか決める
Plan:どうやるか作戦を立てる
Do:実際にやってみる
Check:うまくいったか振り返る

今後のDCD支援は本人が実際に困っている動作を練習する「課題志向型介入」が、引き続き中心になります。
これは、本人が困っている動作を目標にし、動き方や環境の工夫を考えながら練習する方法です。

DCDの障害者雇用

DCD単独の障害者雇用率を示す公的データは、ほとんどありません。
障害者雇用の統計では、DCDはASD・ADHDなどと併存する発達障害の一部として扱われることが多く、独立した雇用データは確認しにくい状況です。

手先の細かさや作業スピードを求められるA型・B型作業所の仕事は、相性が悪くなりやすいです。

LD(学習障害)とは何か

LDは、全般的な知的発達に大きな遅れがない一方で、読む・書く・計算する力の一部に強い困難が出る状態です。学校ではDCDよりは問題に気付かれやすいです。

LDの主な困りごと

・ディスレクシア(読字障害)
文字が読みにくい・読むのが極端に遅い・行を飛ばす

人によっては文字が波打つ、単語や文節の切れ目の判別が困難、二重に見えるなどがあります。

耳で聞けば理解できても、文字で読むと極端に時間がかかるタイプです。読解力自体が低いとは限りません
算数や理科でも、設問を読む段階でつまずきます。
音読を小さい声で読むことが多く、ただの内気に見えやすいです。

・ディスグラフィア(書字障害)
書き写しができない・字形が崩れる・鏡文字

同じ漢字を何度も書くだけでは、定着につながりにくいことがあります。「読めるけど書けない」もよくあります。書いた内容だけ見られて、理解力を低く見られがちです。
黒板に写すのが遅いと、丁寧すぎる子に見えがちです。

・ディスカリキュリア(算数障害)
数の概念がつかめない・繰り上がりが理解できない・図形がわからない

単なる「算数が苦手」とは違います。計算力だけでなく、数字を読む・並べる・配置する段階でもつまずきます。

数を比べても、どちらが大きいのか直感的につかみにくい人もいます。
数字や記号を扱う、時間やお金を管理するといった場面で、年齢や知的能力に比べて大きな苦手さが出ます。

筆算で位がずれ、答えが合わないこともあります。

「聞く・話す」の困りごと

LDの中心は読み書きや計算の困難ですが、聞いた内容を整理する、順序立てて話すといった面でつまずく人もいます。
先生の説明を聞いても要点を取りにくく、似た音の言葉を取り違える聞き間違いも目立ちます。

ADHDの不注意やASDの言語理解の偏りとも重なるため、LD単独の困りごとなのか、併存の影響なのか見極めが必要です。

学校で相談できるLDの配慮

・板書をすべて写させず、プリントや写真で補う
・漢字練習の回数を減らし、読み・意味の理解を優先する
・計算問題では途中式の書き方を減らし、考え方の説明を重視する
・テスト時間を延長する
・解答欄を大きくする

女子や大人しい子だと「まじめだけど勉強が苦手な子」扱いされがちです。

教師はLDの子に人前で失敗させない配慮が必要になります。
他の子へ加害行為があった場合、背景にからかいへの反撃被害の蓄積があるケースがあります。

成人になってからのLDの困りごと

LDの困りごとは、学校生活だけで終わりません。以下のような困りごとがあります。

・文書による手続き
役所・保険・契約書などの文章理解に時間がかかる。誤字脱字、記入漏れ、数字の転記ミスが多い。事務作業で請求書、見積書でミスが出る。

・金銭管理
桁、割合、利率、日付、時間計算で混乱する

・会議
議事録が取れない、資料を読むのに時間がかかる

・メール
読み間違える、返信内容を取り違える、長文がつらい

次のような工夫ができます。

・電話メモは手書きではなく録音・文字起こしを使う
・議事録は会議中に完成させず、録音やAI要約で下書きを作る
・手書き書類は可能な限りPDF入力・テンプレート化する
・Excelはゼロから作らず、既存フォーマットを使う
・チェックリストで作業手順を固定する

苦手を根性で克服するより、失敗しにくい作業設計に変える方が現実的です。

LDは、現在の医学的な診断名では「限局性学習症(SLD)」と呼ばれます。
「限局性」とは、学習全体ではなく、読み・書き・計算など特定の学習領域に困難があるという意味です。

学校教育や一般的な説明では今もLDという呼び方が広く使われます。

LDへの支援法

LD支援では、「できるようにする支援」と「苦手なことを別の方法で補う支援」の両方が必要です。

代表的なのは、読み書きや計算の「作戦」を教えるストラテジー指導や、目標を立てて実行し、振り返る自己調整学習です。

たとえば作文が苦手な子には、書く前にメモを作る、順番を決める、書いた後に見直すといった手順を教えます。これは、CO-OPの「Goal-Plan-Do-Check」と似ています。

LDでは、文字と音の対応を明示的に教える読み指導、音声読み上げやキーボード入力などのICT活用、テスト時間の延長なども重要です。

LDの障害者雇用

読み書きや計算の困難は「学力」「事務能力」「作業能力」の問題に矮小化されやすいです。
精神障害者保健福祉手帳の対象になるかは、日常の困りごとの程度で判断されます。診断名だけで決まるわけではありません。

障害者雇用では事務補助、データ入力、バックオフィス業務などが多く、LDと相性が悪い業務が少なくありません。

企業側がLDの配慮を具体的に理解していないと、採用時に「ミスが多そう」「事務作業が難しそう」と判断されがちです。

厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」では、発達障害者の診断名別の割合として、LDは2.4%でした。
ASDの69.1%、ADHDの15.2%に比べると、雇用の統計上でLDは少数です。

DCD・LDと他の発達障害との併存

DCDやLDは、他の発達障害と併存することがあります。特に目立つのは、DCDとASDLDとADHDの組み合わせです。

DCDとASDの併存

ASDに強い運動面の困難がある場合、DCDの併存も確認対象になります。

ASDのある人には、運動のぎこちなさ、着替えの遅さ、不器用さ、姿勢の崩れ、手先の使いにくさなど、DCDと似た困りごとが見られます。
背景には、感覚処理の偏り、身体模倣の苦手さ、予測しにくい状況への負荷などがあります。

DCDと混同されやすいASDの特性

  • 集団行動が苦手

  • こだわりで体が動かない

  • 感覚過敏で運動を嫌がっている

  • 模倣が苦手

協調運動の苦手さはASDの診断基準ではなく、運動が得意なASDの人もいます。

LDとADHDの併存

ADHDの不注意、ワーキングメモリの弱さ、先延ばし、衝動性がLDと併存すると、学校生活や仕事でのつまずきがより大きくなります。

LDとADHDが併存している場合は、「勉強が苦手」「集中力がない」と一括りにせず、読み書き計算の困難と、注意・実行機能の困難を分けて見る必要があります。

やってはいけない対応|叱責と根性論

叱る・反復させる

DCD・LDの子に必要なのは、叱責や根性論ではなく、失敗しにくい環境づくりです。

DCD・LDの子は、できないことにすでに自分で気づき、傷ついています。そこに叱責が加わると、自己肯定感が下がり、うつや不安など二次障害という形で人生全体に影響します。

宿題を隠す、体育を休みたがる、学校に行き渋る、人前で書くことを避ける、といった行動が出ます。
これは反抗ではなく、失敗体験から身を守る反応です。

まとめ|DCDとLDは「努力不足」ではなく支援が必要な発達特性

  • DCDは、体の動きや手先の操作をうまく調整しにくい発達特性

  • LDは、知的発達に大きな遅れがないのに、読む・書く・計算する力の一部に強い困難が出る発達特性

  • ASDやADHDと併発すると、DCDやLDの困りごとが見落とされることがある

  • 支援では、反復練習や叱責ではなく、ICT活用・道具の調整・作業手順の見える化が重要

主な参考資料


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