秘密結社velvet編|エピソード朧(Oboro)Vol.2 ~新たなる火種の予感~
その日、朧が率いる医療局の一団は、爆発事故の起きた工場跡へ派遣されていた。
本来ならvelvetが災害救助に動くことはない。
秘密結社である以上、表の現場に姿を見せることはない。
もちろん組織の方針にも、そぐわない。
だが、朧の考えは違った。
velvetと関わりのある協力者。
表の病院に運べない負傷者。
名前を出せない者たち。
そうした者たちに医療的な支援を行うことも医療局の役目である—
というのが、朧の考えである。
救える命を繋ぐことと、善人であることは同じではない。

瓦礫の隙間から、かすかな呻き声が聞こえた。
芒は迷わず膝をつき、負傷者の状態を確認する。
その動きに無駄はなかった。
蕾もまた、別の負傷者のそばに身を屈める。
小柄な身体に似合わず、その手つきは落ち着いていた。
朧は二人の動きを見届けながら、次の処置を指示する。
肩書きも、立場も、過去も、ここでは関係ない。
まだ息がある—
ならば、救う。
それが朧の言う、医療局の任務だ。

ひとまず救助は終わった——
しかし、朧には少し違和感が残っていた。
このような災害は今年に入って二件目だった。
前回も、今回も。
巻き込まれたのは、velvetと関わりのある施設や関係者だった。
偶然にしては出来すぎている…
朧は歩きながら静かに目を伏せた。
これは、ただの事故ではないのかもしれない―
つづく—
~Fragment Log~
秘密結社velvet|医療局 芒と蕾
朧のもとで働く医療局の部下は、芒と蕾の二人である。
芒は物静かで落ち着いており、朧の考えをすばやく汲み取る補佐役だ。
蕾はまだ若く、粗削りなところは否めない。
だが、人の痛みには敏感である。
同じ医療局に属していても、二人の気質はまるで違う。
そんな二人を、朧は信頼している。

彼女が、芒である。
朧から医療技術を、幹部の蕚からは戦闘技術を叩き込まれたエリート構成員だ。
冷静な判断力と高い実務能力を持ち、次期幹部候補とも目されている。
趣味は麻雀。
本人いわく、運よりも読み合いの競技らしい。
芒は、二卵性双生児である。
姉の樒は、velvetの電脳局に所属している。

彼女が、蕾である。
朧と芒に憧れる、医療局の三番手である。
小柄で可愛らしい外見からは想像がつかないが、戦闘能力はvelvetの中でも高い。
特に剣術を得意としている。
ちなみに、二年ほど前——
蕾は、velvet・制圧局の榊に戦いを挑み、肩から右腕を切断される重傷を負った。
現在は義手を使用しているが、普段は人工皮膚によって普通の腕とほとんど変わらない外見をしている。
蕾と榊の因縁のエピソードは、また後々—

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