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塩対応されていた理由が分かった

みなさんこんにちは、浮雲です。

私は撮影現場で、ほかのエキストラの方とわりと話すようにしています。
実際に芝居になったときに、助監督から「あなたたちは友達で」「会社の同僚で」と設定を指示されることも多いためです。事前に少し話しておけば現場も和みますし、演技も自然になります。
アイスブレイクのようなものですね。

楽しく話せることも多いのですが、現場によってはあからさまに「塩対応」をされることがあります。 特に歴史のある人気シリーズや、有名な大作の現場でそういう経験が多く、「なんだかなぁ」と少しモヤモヤしていました。

ですが、ふとその理由が分かった気がしたのです。

私はもともと、広告業界に長くいました。
広告業界はライバル他社との競争がバチバチです。
プレゼンの場で競合と鉢合わせしても、会釈程度でそれ以上の交流はしません。互いに「この案件は絶対にうちがとる!」と張り詰めているからです。

そんな環境にいたせいか、エキストラを始めた当初は、CMや広告の撮影現場に行くたびどこかスパイにでもなったような緊張感がありました。

先日、かつての競合他社が関わる現場にいきました。
以前から「いい作品を作るな」と一目置いていたクリエイターの仕事を間近で見られたのは面白かったですし、その作品を彩るひとつの駒として自分が動いている感覚も、実に面白いものでした。

芸能の世界もまた、広告業界以上に熾烈な競争の世界です。
現場のマネージャーは自社タレントの枠をひとつでも増やそうと必死ですし、出演者同士も当然ライバルです。

実際、以前同じ事務所の先輩から、
「浮雲さん、俺とタイプが似てるから嫌なんだよな」

と言われたことがありました。

冗談めかしてはいましたが、目はマジでした。
「俺の領分に入ってこないでよ」という本音が透けて見えましたし、事実、ポジションを奪い合うような仕事の呼ばれ方をすることもありました。

撮影の合間に話した女の子は、中学卒業後に俳優を目指して上京してきたそうです。昭和のアイドルみたいですが、令和でもあるんですね。
上京からはや3年。いまだに仕事はエキストラや端役ばかりで、かなり焦っていると打ち明けてくれました。

その必死な話を聞いていて、ふと気づきました。

あの塩対応は、かつて広告業界で競合と対峙していた頃の自分そのものだったのだと。

あの頃の私は、待ち時間で競合他社と鉢合わせしても、ヘラヘラ話すことなんて絶対にしませんでした。「絶対に負けられない」とピリピリしていたからです。

現場で塩対応をしてくる人たちも、まさにあの頃の私と同じだったわけです。

今の私はもう、この世界でガツガツ勝ち上がっていこうという気持ちはありません。 真剣にピリピリと戦っている人たちからすれば、その「余裕のある感じ」や「緊張感のなさ」は、鼻につくものだったのかもしれません。

たとえ自分に競争意識がなくても、相手の緊張感に合わせた空気感を保つのがマナーだな、と思いました。

そんなことを考えた1日でした。

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