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面白い試みになったアンソロジー「異常論文」

<SF(168歩目)>
「異常論文」というタイトル、目を引きました。

異常論文
樋口 恭介 (編集)
早川書房

「168歩目」は、樋口恭介さんによる、とても面白いアンソロジーで、新たな世界を知りました。
また、この本はM.K.さんにご紹介いただきました。
読めてよかったです。ありがとうございます!

M.K.さん

「空間把握能力の欠如による次元拡張レウム語の再解釈 およびその完全な言語的対称性 青島もうじき」
日本で新たなジャンルになったと思う「言語SF」のすごい作品。
おそらく、この本で「異常論文」のお題で集めた作品の中で、最上位の一つ。

音声言語を持たないレウム族の視覚言語との設定ですが、この設定がとても斬新でした。特異な言語を介したファーストコンタクトは、いろいろな作品がありますが、いずれにしても人類はまだファーストコンタクトを経験していない。

ファーストコンタクト以降に発達するであろう分野ですが、少数民族の言語として設定したことでより具体的に、ファーストコンタクトのシミュレーションとしての研究が進むことが素晴らしい。

現実社会では、話者が少ない言語であっても、集中して存在するから言語として独立していく。聴覚障がいの方が、特定の民族集団で偏って多いことはないと思う。

しかし、ここで考えてみた。
新たなテクノロジーで世界に散らばる聴覚障がいを持つ人々を「つなげる」ことが出来たら、視覚言語が発展するのではないか?

この過程が研究できれば、言語の分化や発展の研究に、1から設計する言語の研究ができるような。言語って、方言でもそうですが、近い人間集団で共有されるものですが、これだけリモートがアタリマエの時代になったからこそ、テクノロジーでつながることにより、新たな「視覚言語」が生まれたら、これこそ未来に起こるかもしれない「ファーストコンタクト」へのシミュレーションになると感じました。

「インディアン・ロープ・トリックとヴァジュラナーガ 陸秋槎」
この作品は、なんとなく南アジア、中央アジアの辺境地域で「あるかも!?」と思わせるところあり。インドのザンスカール地方に、このインド・アフガン境界を個人的に感じました。

「裏アカシック・レコード 柞刈湯葉」
「すべての嘘が収録されているDB」という設定が、とても面白かった。
ものすごく演算大変だと思うけど。

「フランス革命最初期における大恐怖と緑の人々問題について 高野史緒」
いつも思いますが、高野さんの書斎にはヨーロッパやロシアのいろいろな資料が整然と置かれている気がします。

それを、どのような手段か?時系列にまとめてから取り組まれていることを感じる。そこに「緑の人々」が入ると、きわめて面白い歴史「異常」論文になる。
面白い。

「火星環境下における宗教性原虫の適応と分布 柴田勝家」
いつもながら、宗教に特化するとすごいことになる柴田さん。
宮内悠介さんの「エクソダス症候群 東京創元社」が精神疾患で掘りこんだと思ったら、柴田さんは宗教性原虫で切り込まれた。面白い。
宗教性〇〇で考えると、生命がいる可能性ある天体の作品に応用できますね。

「SF作家の倒し方 小川 哲」
「異常」論文というも、「異常」ではない。
ただ、SF作家がキャラが立っていて、「異常」なのかもしれない。
目線が面白い。樋口恭介さんとか、「手ごわい」と思います。(笑)

一読者として、樋口さんには感じたこと、そのままにどんどん積極的に面白い切り口でのアンソロジーを提示してもらいたいです。
何よりも、私のような一般的な読者にとって、新たな才能との出会いは雑誌か?アンソロジーであることが多いので。

是非とも、どんどんけん引してください。

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