【AIマンガ】気づいてないふりも、父の仕事

朝の光の入るリビング。
ソファでうっかり寝落ちしたお父さんの背中に、7歳の画家が近づいてくる。手にはクレヨンの箱。すりすり、と背中をなでる音。あれは筆をおろす前の、儀式みたいなものだ。
娘は言わない。父は気づかない。
そのまま、いってきまーす。
会社の椅子に座って、部下に指摘されて、はじめて知る。
背中に、太陽。ハートがふたつ。手をつないだ、ふたりの人間。そして大きく「パパ」。
ふつうなら、あわてる場面。
トイレに駆け込んで、上着を羽織って、なかったことにする場面。
でもこの父は、椅子を回して、こう言う。
「……ああ。娘です」
いいパパだな、と言われて、
「でしょ。12色、全部使ったんですよ」
12色。
つまり、手を抜いてない。全力の作品。
父はちゃんと、数えていたのだ。
子どもの落書きは、いつか終わる。
クレヨンは短くなり、箱はどこかへ消え、背中は誰にも借りられなくなる。
だからいまは、貸しておく。
洗濯すれば落ちるものを、その日いちにちだけ、背負って歩く。
わが家のキャンバスは、父の背中。
展示期間は、本日限り。

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