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おもてなしのすれ違い

少し前に、外貨両替についてnoteに投稿しました。

この記事を書き終えたあと、ある疑問が頭をよぎりました。
「今、日本に来ている海外からの方々は、一体どこで日本円を手に入れているんだろう?」と。

地方へ行けば行くほど『現金のみ』のお店は多いですし、比較的大きい都市の駅前ですら、コインロッカーが100円硬貨しか使えないことも珍しくありません。地方都市の地下鉄やバスに目を向けても、クレジットカードのタッチ決済が一部の路線でしか使えなかったり、券売機がクレジットカードに一切対応していなかったりするのに。
キャッシュレス決済を使う方が増えてきているからこそ、「彼らはどうやって日本を旅しているのだろう」と、ふと思ったのです。


日本の旅を支える、身近なインフラ

気になって少し調べてみると、彼らの有力な円調達ルートは、私たちの暮らしに身近なコンビニATMでした。

海外で普段使っているクレジットカードやデビットカードをそのまま日本のコンビニATMに差し込んで、日本円(現金)を引き出しているのだそうです。

訪日客にとって、日本のコンビニは単なる小売店ではないのだと改めて気づかされます。多くの方が称賛するおにぎりやホットスナックを目当てに通い、ついでにATMで日本円を調達する。食の満足と現金の調達を同じ場所で、しかも24時間完結できるコンビニは、彼らの旅を支える心強いインフラになっているようです。


あえて拒むという、お店の選択

一方で、街の飲食店に目を向けると、また別の側面も見えてきます。
私の知人である個人経営の店主たちの中には、あえて『現金のみ』を貫いている方もいます。
理由は、クレジットカードやQRコード決済の加盟店手数料といった、経済的な問題だけではありません。
一部ではありますが、訪日客の予約をあえて控えているお店もあります。

自国のルールをそのまま持ち込まれてしまうことへの戸惑いや、常連のお客さまとの時間や、自分たちのお店の雰囲気を守りたいという強い思いがあるようです。 決して意地悪ではなく―― 
葛藤の声を耳にすることも少なくありません。

そして、現場の負担という現実もあります。
日本語での接客を前提としているなかで、スマートフォンの翻訳画面を介してやり取りを重ねる時間は、少人数で回すお店にとって小さくない負担になっています。
日本語以外は話せないという不安も含め、お店側が対応しきれないと感じてしまう裏事情があるのです。

それは、ミシュランの星を辞退するような一部の名店であっても同じこと。日々の営業と自分たちの場所を守るための、境界線なのでしょう。
無理をしてすべてを受け入れるのではなく、身の丈に合った空間を守る。
それもまた、もう一つの商いのリアルなのだと感じます。



街で見かける中国語表記の、ちょっとしたすれ違い

海外からのお客さまを歓迎したい、と思ったとき、街の表記をめぐって、ちょっとしたすれ違いが起きていることに気づきました。

街を歩いていると、飲食店のメニューやポスター、POPに中国語の案内が載っているのをよく見かけます。でも、その多くは中国本土向けの簡体字(かんたいじ)だけだったりします。
「どちらも漢字だから同じだろう」と思われがちですが、国や地域によって、文字の形も文化も異なります。

繁体字(はんたいじ): 主に台湾や香港の方々が日常的に使用
・簡体字(かんたいじ): 主に中国本土の方々が日常的に使用

彼らにとっては、デザインの違いではなく、自分が育ってきた母国語の文字としての明確な違いがあるのです。


データを見てみると、地域ごとに こんなに違う

実際にデータを覗いてみると、地域によって訪れる方々の国籍の割合は大きく異なっていました。
自分の地域に「どの国の方々が多く来てくれているか」をなんとなくでも知っておくことで、こちらが選ぶ言葉や工夫は変わってくるはずです。

例えば、台湾からのお客さまに人気の地域なのに、街の掲示物が簡体字ばかりだとすれば、せっかくの歓迎の気持ちがうまく届かず、少しもったいないことになっているのかもしれません。彼らが普段使っている繁体字で届ける方が、ずっと相手の心に伝わるような気がします。

◆ 参考 ◆


⇩ こちらのサイトがとても参考になりました。


相手を知ることから始まる「おもてなし」

訪日客・インバウンドと一括りにするのではなく、「自分の地域にはどの国の方々が多く訪れているんだろう?」と目を向けてみる。それだけで、喜んでもらえる工夫や、次にできることが見えてくるはずです。

数字としての集客率だけではなく、目の前の人に「大切にされているな」と感じてもらえる顧客満足度や、また来たいと思ってもらえるリピート率という観点でも、言葉の使い分けはとても大きな意味を持つのではないでしょうか。

せっかくのおもてなし。主観や思い込みではなく、本当に相手の心に届く言葉で届けられたら素敵だなと思います。

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