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『改良』遠野遥(本紹介No.24)

『改良』は、平成生まれ初の芥川賞作家、遠野遥のデビュー作です。私はこの本を見つけたとき、シンプルながらとても引き込まれるタイトルだと感じました。私たちは日々自分たちを「改良」し続けています。見た目の改良、性格の改良、学力の改良、運動能力の改良。自身が満足しない限り、「改良」は終わりません。

本書の主人公は、「自分は美しくない」という劣等感に支配され、美しくなるために女装を始めます。女物の服を買い、ウィッグを買い、化粧を研究し、美しい所作を練習します。初めは美しくなった姿を自身で見ることで満足していましたが、やがて彼は美しさを他人に認められたいという欲望を感じるようになっていきます。

特にインターネットが普及し、意図せずとも多くの人々が自分よりも美しい人を目にする現代、ルッキズムは加速するばかりです。美しくないことへの劣等感や、外見の改良を突き詰めてしまう感覚は、他人事とは思えない人が多いのではないでしょうか。

また、主人公にはつくねという1人の女友達がいます。彼はつくねを「美しくない」と蔑視していますが、だからこそ美しい人間と接する際に抱く劣等感に苦しまずにいられると感じていました。包み隠さず描かれるこのような感情に居た堪れなさのようなものを覚えてしまいます。

本書の大きな特徴のひとつは、遠野遥氏の文体です。一貫して主人公の一人称視点から描かれるものの、主人公の客観的で固く、それでいてユーモアを含む語り口はとても印象に残ります。とっかかりにくさも感じさせますが、ルッキズムという誰しもに関係する身近な話題を描くことで、その絶妙なアンバランスさが大きな魅力となっています。

ルッキズムに抗うか、屈するか、読者自身の選択を問うような作品です。ぜひ読んでみてください。


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