比例しなかった「偏差値と現場力」
今回は番外編として、前回お話しした「4つの学習法」を私の実体験にあてはめてみました。長年のモヤモヤがスッキリする方もいらっしゃるのではないかと思いますので、是非最後まで読んでいってください。
学生の時、私は地元の飲食店で働いていました。住宅密度はそこそこの、でもあまりお店が無い地域だったので、そりゃあもう大繁盛でした。土日は行列で1時間待ってもらうこともあるくらいです。だから私たちは、効率良く回転させるには何を優先して動けばいいか、どの席へどのお客様を案内するとスムーズかなどを動きながら考えなければいけませんでした。

で、そんな風に止まることなく動いている時、ふと気付いたんです。
「動けない子」と「めちゃくちゃいい動きをする子」が、はっきりと分かれることに。

そのお店では「偏差値の高い」学校に行っている子たちの方が動きが悪く、反対にいわゆる「勉強が出来ない」と言われる学校に行っている子たちの方が驚くほど機転を利かせて動けていたんです。
ちなみに動きがプロ並みだったのは「俺勉強できないから高校卒業したら働くんだ」と言ってたやんちゃな男子くんでした。
ここで、先日の4つの学習法です。これを使うとその仕組みが、すんなり腑に落ちました。

偏差値が高い=現場での動きが苦手
という意味ではありませんのであしからず。
・偏差値が高いけれど動けなかった子
「正解のある学習」は得意。でも、「強化学習(その場で試行錯誤する)」や「模倣学習(周りを見て真似る)」が苦手だった。
・偏差値が低いけれど動けた子
「正解のある学習」は苦手。でも「模倣学習(周りを見て真似る)」や「強化学習」のセンスが抜群に良かった。
「僕、頭悪いから」という呪い
もうひとつのお話です。
先日、工業高校1年生の男子に話を聞く機会がありました。
「工業高校ってどう?実は夫が工業高校をこどもに激押ししていてね、生の声が聞きたくて…良ければ教えてくれない?」
そう尋ねた私に、彼は驚くほどしっかりと「自分が通う高校の分析」を聞かせてくれたんです。
・うちの高校はいろんなタイプの生徒がいるから、流されやすい子や陽キャにビビる子は辛いかもしれない。
・でもそこさえクリアできれば、質問すれば親身に教えてくれる先生がいる。
・先生達はその道の専門だから実践力を身に付けられる。
・今日は推薦されて大会に出てきた。進学や就職にもプラスになるからって、そういうアドバイスや機会もある。
・在学中に資格も取れる。
・初めて触れる分野だから、中学までの勉強とは違う点で最初は大変。
高校1年生で、自分の環境をここまで冷静に、かつ前向きに捉えられるなんて!!正直驚きました。

けれど、彼は話の間、何度も申し訳なさそうに繰り返しました。「自分みたいな勉強ができない人が行く学校だから」と。
どうして、こんな賢い子に「勉強が出来ない」なんて自分を卑下する言葉を何回も言わせる国に、日本はなってしまったんだ!
・・・ということはまた考察するとして…。
※ちなみに、こどもの通っている公立小学校は、正解のない学習や強化学習に積極的に取り組み始めています。つまりこれは学校教育の問題を指摘しているわけではありません。
悶々とした私は考えました。そうしてまとめたのが、前回ご紹介した4つの学習法です。
「正解のある学習」が得意
「正解のない学習」が得意
「模倣学習(真似)」が得意
「強化学習(試行錯誤)」が得意
いろんな組み合わせの子がいると思います。でも、分けて考えれば「正解が覚えられない」=「出来が悪い・頭が悪い」にはなりません。
あるいはもっと細分化してこどもたちを観察してもいいかもしれません。
・正確に再現することがものすごく上手い。
・アニメや動画で見たことはすぐ覚える。
・コミュニケーションや「場の空気」を読む力が高い。
・体の使い方が抜群。
などなど…
AI時代に求められる「理解」の形
これから先「シンプルな正解」はAIに聞けば事足りるでしょう。 特殊な職業を除けば「暗記していること」の価値は下がり「その場で調べて理解し、応用できること」の価値の方が上がっていくかもしれません。
もちろん、誤解のないようお伝えしますが、私は土台としての「正解教育」は必要だと考えています。 けれど、そこに偏りすぎないことが、多様な変化が起きるこれからの世の中では、大切ではないかと思うのです。
いかがでしたでしょうか?
今回は番外編1として4つの学習法を身近な例に落としてみました。
もし、このような実体験があれば是非コメントで教えてくださいね。
さて、次回は…。
そもそもなぜ、日本人はこれほどまでに「周りと同じ正解」を求めてしまうのか。 江戸、明治、大正……歴史を遡って考えてみます。
次回予告
なぜ日本人は正解にこだわるのか?
— 日本教育150年の物語」—
【連載|日本の未来とこどもの未来】
