ふわりー王国の過去がついに明らかに!第十一話「ふわりー王国の記憶」
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第十一話「ふわりー王国の記憶」
ついさっきまでの金色に輝く世界から一転して、 辺りには不気味なくらい静かで、ひんやりとした空気が流れていました。
廊下に差し込む淡い光が、床に長い影を落としています。
こまたちは、語り始めようとするシローのじいさんの前に、 自然と円を描くように立っていました。

「……お前たちに、話しておかねばならんことがあるんじゃ」
その声はいつもの優しさのままなのに、 どこか深いところへ沈んでいくような響きを持っていました。
シローのじいさんは黄金の扉を一度見つめ、 その向こうを思い出すように目を閉じ、ゆっくりと語り始めました。
この扉の向こう──
そう、この黄金の扉の向こうに、美しくやわらかな光の国……
「ふわりー王国」があるんじゃ。
緑の野原には心地よい風が吹き、 花々は歌い、空はどこまでも青い。
そこがこの世界からどれほど離れているのか…… わしにもわからん。
ほんの少しなのかもしれんし、果てしなく遠いのかもしれん。

そこは、わしらのようなぬいぐるみたちの世界。
争いも裏切りも、憎しみもない、美しい国じゃ。
その国を治めるのが「フロベ王」。
おだやかで強いお方じゃ。
そして……フロッポの祖父でもある。
フロッポ…
フロッポがいつも言っていたことは正しかったのじゃ…。

フロベ王の統治のもと、王国は長く平和で豊かな時代が続いた。
……じゃがの。
そのもっと前、王国には危機が訪れたことがあった。
人間界から“ロボット兵”たちが攻めてきたのじゃ。
鋼鉄の体を持ち、心を持たぬ無数の兵たちによって、 王国は大きな傷を負った。

そのときじゃ……
王国のあちこちから、導かれるように勇者たちが集まった。

その中のひとりが、後に国王となるフロベ王じゃった。
戦いのあと、フロベ王は決めた。
二度と同じことが起きぬように── 人間界と王国をつなぐ唯一の道、この“黄金の扉”を封印したのじゃ。
魔法使いたちの力で扉を封じ、その力を“鍵”に宿した。

フロベ王が統治するその後の数十年は平和が続いた。
……じゃが、月日が流れたころ、どこからともなく“魔女”が現れた。
想像を絶する魔力で王国を闇に包み、 住民たちを絶望と恐怖に陥れた。
かつての光を奪い、影を広げようとしておる。
目的はわからん。
じゃが、あの魔力は……ただの魔女ではない。
いずれ王国そのものを滅ぼしてしまうやもしれん。

そこでフロベ王は決断した。
孫のフロッポを守るため、この世界──
「ふわりーハウス」に連れてくることにしたのじゃ。
封印の“鍵”とともにな。
鍵がこちら側にあれば、魔女がこちらに来ることはできないと考えたのじゃ。
じゃが、結果的には……魔女の魔力はその想像をさらに超えてしまっていたということじゃ…
扉を超えてフロッポを操ることができたのじゃからな……
しかし、あのころはそうするしかなかった。
それがフロッポを守る最善の方法だったからじゃ。
そう…
…あのころからすでに、魔女の恐怖はあまりにも強かった。
その影が王族であるフロッポの心に残れば、魔女に狙われる危険もあった。
そこで魔法使いたちは、フロッポの記憶を封じた。
王国のことも、戦いのことも、鍵の意味も……すべて。
すべて忘れさせることで、フロッポを守ろうとした。
だからフロッポは覚えておらんのじゃ。
たまに出てくる祖父の話は…… 消しきれなかった記憶のかけらが、感覚として残っていたのじゃろう。
……ふわりー王国は今も光を失わぬよう必死に戦っておる。
じゃが、もう時間の問題かもしれん。
多くの町が魔女の手に落ち、光を失っているらしい。
シローのじいさんはゆっくりと息を吐きました。
「ふぅ……」
そして皆を見渡しながら言いました。
「お前たちが今日、この瞬間、ここに集まったのも、きっと何か意味があるんじゃろう……
わしは、それを信じてみたくなった」
「集まった意味…」
こまが小さな声で呟きました。
「そうじゃ。
こまとたんたんが新しい仲間として来たこと。
フロッポが封印の鍵で扉を開けたこと。
そしてチョコのペンダント……“リーベの光”が奪われたこと。
これらすべてが運命のように絡まり合って、今があるということじゃ」
そしてシローのじいさんは続けました。
「数十年前、あのロボット兵との戦いのとき…
壊滅寸前の王国の全く違う場所から、全く関係のない者たちが運命のように導かれ、集い、戦う仲間となった…。
今……なぜか、あのときと同じ空気を感じる…。
運命のような……何かが…
……そう思わんか、マルク?」
シローのじいさんがそうマルクに言うと、マルクはしばらく黙っていたのですが
「そうらしーな」
とニヤリと笑いました。
するとシローのじいさんが言いました。
「フロベ王が……ふわりー王国がお前たちを呼んだのかもしれん…」
そして続けて
「ひとつだけ今わかったことがある…
魔女は王国の宝である”リーベの光”を奪っていったということは……
”力”を欲しがっているということじゃ。
しかもそれは”闇の力”ではない。
リーベの光に秘められた”光の力”を必要としているということじゃ。
なぜ魔女なのに光の力が必要なのか……それはわからんが……」
「光の力……」
たんたんが真剣な顔で呟きました。
その瞬間——
閉じたはずの黄金の扉の隙間から、白い光が差し込んだ気がしたのです。
「光の……勇者たち……」
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ついに語られたふわりー王国の記憶…
旅立ちの時はもう、もうそこまで来ています。
次回も見守っていただけたら嬉しいです。
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