ついに冒険へ旅立つとき!第十二話「光に呼ばれて」
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第十二話「光に呼ばれて」
シローのじいさんの話が終わった時、何か不思議な風が吹いたような気がしました。
そして閉じたはずの黄金の扉の隙間から、白い光が差し込んだ気がしたのです。
その瞬間——
「光の……勇者たち……」
扉の向こうから確かにその言葉が聞こえました。
さっき聞いた魔女の声とはまったく違う、優しく温かい声が。
「今…聞こえたよね…?」
こまがみんなを見渡しながら言いました。
「きっと…呼んでいるんじゃろう…
フロベ王が……ふわりー王国が…お前たちのことを」
そう、シローのじいさんは言いました。

白い光は、ゆっくりと呼吸するように揺れていました。
その光に照らされると、胸の奥がそっと震えるような温かさが広がりました。
その時——
シローのじいさんが、扉の光を見つめながら静かに言いました。
「……来たか……」
その直後、廊下の奥から静かな足音が聞こえました。
コアラのセイキチでした。
その隣には、リスのシェリーも立っていました。
こまは驚いて目を丸くしました。
「セイキチさん……シェリーさん……どうして……?」
シェリーは優しく微笑みました

「ふくすけがね……じいさんを呼びに行った時、私たちにも知らせてくれたんだよ。“何か大変なことが起きてる”って」
セイキチは扉の光を見つめながら、静かに言いました。
「ただ事じゃない空気は感じていたが……
来てみれば……やっぱり、そういうことだったか…」
こまは少し息を整えながら、魔女が現れたこと、黄金の扉が開いてしまったこと、そしてチョコのペンダントが奪われたことをセイキチたちに話しました。
「ぼくがね…ぼくが鍵で扉を開けてしまったんだよ…」
フロッポがまた悲しそうな声で言ったのですが
「相手が魔女なら、しょーがねーよ、そりゃ」
セイキチがフロッポの頭に手を置きながら言いました。
そして古びた布に包まれた一枚の紙を取り出しました。

「これを持っていけ。
ふわりー王国の地図だ。
これから必要になる…」
布をほどくと、やわらかな線で描かれた古い地図が現れました。
草原、森、城や町、川、そして遠くにある大きな山、そのすべてが、少し色あせたインクで描かれていました。
セイキチがたんたんに地図を渡そうとすると
「セイキチさんは、もしかしてふわりー王国のことを…?」
とたんたんが聞きました。
するとセイキチが
「昔……ちょっとな……」
そう言うと、たんたんに地図を渡しました。
「わかりました…大切にします…」
たんたんは胸の前で地図をそっと抱きしめました。
紙は少し温かく、まるで誰かの想いが残っているようでした。
すると、シェリーはこまの手に、小さな手提げ袋をそっと渡しました。

「今日ね、昼間にクッキーを焼いたんだよ。
実はセイキチが少し食べちゃってたけど、まだたくさんあるから。
まさかこんなふうに渡すことになるとは思わなかったけど……
道中、おなかすいたら食べてね」
「おっさん、また食っちまったのかよ~」
マルクが呆れたように言うと
「ふん、うまいんだからしょうがねぇだろ」
いつものセイキチの調子で言い返しました。
こまは、前に聞いたことがあるようなやり取りだな…と思いつつ
その温かさを、そっと受け取りました。
「ありがとう…」
その時、シローのじいさんが静かに口を開きました。
「向こうに行ったら……まず最初にフロベ王のいる城に行くんじゃ。
扉を出た場所からそう遠くはない…フロベ王なら、きっと道を示してくれる」
こまは強く頷きました。
たんたんも、チョコも、フロッポも、真剣な顔でじいさんを見つめました。
そのときです。
突然黄金の扉が、ゆっくりと、深い音を響かせながら開いていきました。
その向こうからあふれ出す光は、まるで春の風のようにやわらかく、
どこか懐かしい香りを運んできました。
「行け、今しかない」
セイキチが静かに言いました。
「気をつけてね」
シェリーが優しく言いました。
こまは一歩、光の中へ踏み出しました。
たんたんが続き、
チョコは胸に手を当てながら歩き、
フロッポは、少し恐る恐る、光に包まれながらゆっくりと歩き出しました。
そしてマルクが一番後ろから、仲間の背中を押すように進みました。
その時、シローのじいさんが小さな声で言いました。
「……マルク……頼んだぞ……」
マルクは振り返らずに、ただ短く頷きました。
扉に入っていった五人の影が光の中に溶けていきました。
——白い光に包まれながら…どのくらい歩いたでしょうか…。
ほんの少しなのかもしれないし、ものすごく長い時間だったのかもしれません。
真っ白な世界…
どこまで進んでも出口が見えてこないようなそんな不安さえ感じてくるのでした。
そんな中、よっぽど怖かったのか、フロッポは下を向きながら、チョコの手を強く握っていました。

「大丈夫だよ、フロッポ」
チョコが優しく言うと
「こわくなんかないやい、ぜんぜん、こわくなんかないやい」
と、歩いていくのでした。
そんなフロッポをマルクが一番後ろから、ニヤリと笑いました。
こまはその様子を見て、胸の奥が少しだけ軽くなるのを感じました。
その時でした。
白い光が消え、ふっと前を見たとき、そこには一面に野原が広がっていたのです。

「…ふわりー王国……」
こまが小さな声で呟きました。
青い空。
歌う花々。
心地よい風。
遠くには夜明けの光に染まる城の影。
そして、どこまでも続く緑の野原。
たんたんも、チョコも、マルクも、フロッポも、
しばらく言葉を失って草原を見渡していました。
その後ろで、黄金の扉が静かに閉まりました。
その音は、まるで新しい物語の始まりを告げる鐘のように響きました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ついにふわりー王国へ…
冒険が今、はじまります。
次回も見守っていただけたら嬉しいです。
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