映画感想『シャークスクワッチ』頭がサメの完璧な怪物を目撃せよ
シャークスクワッチ
監督:ロバート・ボールズ
池袋HUMAXシネマズ「第3回東京国際サメ映画祭」で観賞
サメが海から来るとは限らない
このnoteではこれまで、サメ映画のレビューをいくつか投稿してきました。サメが熱海の温泉街を襲う名作『温泉シャーク』。サメが川に出るニセジョーズ『ジョーズ'98/激流篇』。Z級映画の監督が子どもたちのために作った『キャットシャーク』…
それぞれ製作費もクオリティも面白さの種類も異なるヘンな映画たちではありますが、三作品ともにサメは海から来ました。
サメは海から来る。そのような先入観を持っている人は多いかもしれません。ですが、広くて浅いサメ映画の世界においては、海から来ないやつもいます。『シャークスクワッチ』も、海から来ないタイプのサメ映画です。

完璧な怪物がハリウッドを蹂躙する
ロサンゼルスに怪物が出現。映画『ラ・ラ・ランド』に登場したグリフィス天文台で有名なグリフィス公園や、近くの街で惨殺が続きます。
この惨劇を起こしている謎の怪物は、誰も見たことがないようなユニークな姿をしていました。ボディは北アメリカで有名なUMA(未確認生物)である二足歩行の猿人サスカッチ、そして頭がサメだったのです。(シャーク+サスカッチでシャークスクワッチ)
低予算のモンスター映画では、CGや特撮にかけられる予算も限られるため、かなり終盤までモンスターが出てこない場合があります。ジャケットを見てモンスターの活躍を期待していたのに全然出てこなくてガッカリしたりします。ですが本作にそんな心配は無用。シャークスクワッチは冒頭から普通に出てきてくれます。とても嬉しいことです。(のび太の家のご近所を歩くドラえもんくらい普通に町の中を歩いているのはさすがに笑いました)
シャークスクワッチは完璧な怪物です(劇中でそう言われている)。歩いている姿には可愛らしさすらあり、ドアをきちんと閉める律儀さもありますが、その恐ろしさは本物。狙った獲物は逃さない獰猛さを持っています。
頭部はサメですが、こいつは噛むよりも腕力にものを言わせてきます。犠牲者の死因はおおむね、めちゃくちゃ殴られたことによる打撲です。
映画『シャークスクワッチ』は、友人の不審死を調べる若者3人組がその謎を追う活躍をミステリータッチで描きます。といっても、連続不審死事件を起こしている魔獣シャークスクワッチは冒頭から頻繁に出てくる上に、見た目も楽しい奴なので、怖い感じではありません。人は死にますが、おバカで愛嬌のあるモンスター映画となっています。
おバカ映画がセカイ系になるシュールさ
そんな楽しいおバカ映画のままで終わっても何も問題はなかったはずですが、この作品は途中で様子が変わります。シャークスクワッチの事件を追う若者たちは、街に隠された真実の闇に触れることになっていきます。
『シャークスクワッチ』は、後半からメタな視点が多くなり、なんか難解っぽいメッセージを発信するアート系映画っぽい雰囲気になっていきます。その感触はまるで、90年代後半に日本の深夜アニメやPCゲーム、ライトノベルを中心に流行したセカイ系のようです。
邦画や洋画に関係なく、自主制作の映画が次第に登場人物や制作者の精神の内面世界に入っていく展開は自主制作映画あるあるではあります。
しかし、『シャークスクワッチ』は人生の機微を描いたミニシアター系のドラマ映画ではなく、頭部がサメの怪物が人を襲うジャンル映画なので、そんなふざけたモンスター映画が自主制作映画によくあるメタな内面の世界へと映画が転倒すること自体がシュールで面白かったです。
ハリウッド陰謀論妄想モノ
この作品はなぜだかロサンゼルスとハリウッドを舞台にしていますが、秘密の入り口を見つけることでこの世界に隠された真実(陰謀)に気づくという展開と、街の中をぐるぐると周り現実と妄想が分からなくなっていく構造からは、うだつの上がらない男がロサンゼルスの裏に隠された陰謀に勝手に気づいてしまうサスペンス映画『アンダー・ザ・シルバーレイク』(2018年)のオマージュを感じました。

この作品の感想をTwitterに投稿したところ、『シャークスクワッチ』の公式アカウントからこのオマージュについて返信をいただきました。

翻訳〉ありがとう、そして『シルバーレイクの湖の下』の鋭い指摘、素晴らしいです!
Thank you and great catch on Under The Silver Lake!
— SHARKSQUATCH (@BecauseJohnRob) July 19, 2026
映画『シャークスクワッチ』は、着ぐるみ一つで『アンダー・ザ・シルバーレイク』のようなハリウッド陰謀論妄想モノを撮ろうと挑戦した意欲作です。
「花咲く茂みに佇むシャークスクワッチ」のような、低予算おバカ映画と思えない美しいシーンもあります。62分の尺も体にやさしくエコロジー。そんな「ちょうどいい」楽しい映画でした。
8/4までの超短期限定配信がある
『シャークスクワッチ』のイベントでの上映は終わりましたが、UNEXTでは8月4日(火)までの超短期限定で配信中です。せっかくなので優先して観ましょう。
第3回東京国際サメ映画祭もラストスパート〜増えるサメ男たち
7月の頭から池袋HUMAXシネマズで開催されてきた第3回東京国際サメ映画祭も今週末の土日でラストスパートなのですが、8/1(土)上映作品の様子が明らかにおかしいです。
8月1日(土)上映作品
・モーズ
・ウェアシャーク
・シズリーグラーク

全て脚があるサメ男です。全然意味が分かりませんが、この謎の現象は映画館で目撃しないわけにはいきません。
↓池袋HUMAXシネマズ チケットページ
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サメ映画と何の関係もありませんが
かわいいぬいぐるみ『だいあぱん』の
同人誌を作っています↓
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