元会社員が驚いた、教員の夏休みは「40連休」ではなかった
会社員時代の夏休みは、9日間だった。
4月から9月の間に、好きなタイミングで5日間取る。土日とつなげて、9連休にするのが慣例だった。
教員になった今、子どもたちの夏休みは約40日ある。
日数だけ見れば、会社員時代より圧倒的に長い。
けれど、教員として何年か過ごしてみると、これは単純に「休みが増えた」という話ではないと気づいた。
会社員時代の夏休み
マーケットに夏休みはない。
だから証券会社では、みんな代わる代わる休みを取っていた。
とはいえ、本当に好きな時期に取れた。
ボーナスをもらった翌週に、必ず休む先輩もいた。理由は、聞くまでもなかった。
私はというと、旅行や帰省が主な使い道。
そして、もう一つ大事な用途があった。
教員採用試験の面接だ。
面接が行われる時期は、毎年だいたい決まっている。ただし、何日の何時からなのかは、一次試験に合格したあとでなければ分からない。
だから、その週を狙って休みを取った。いつ呼ばれてもいいように。
面接の日程が決まってから、残った日に遊ぶ予定を詰め込んだ。
何のための夏休みなのか、だんだん分からなくなってくる。
教員になって驚いたこと
いざ教員になって、一番驚いたのは、
「思ったより仕事があるな」
ということだった。
初任のとき、夏休みの始まりは、あまり「休み」らしくなかった。
午前中はプール開放。
昼に急いで髪を乾かし、身なりを整える。
午後は保護者との個人面談だった。
コロナ禍を境に、その文化はなくなった。
今はプール開放も個人面談もない。
夏休みの始めと終わりに数日ずつ、出勤日という名の研修や作業が組まれている。
それでも、夏休み明けに子どもたちをどう迎え、3月までにどう成長させていくか。
そのことは、頭から離れない。
夏休みに入っても、私の頭の中は仕事のことでいっぱいだ。
実際の今年の予定
私は、この約40日を律儀に三つに分けている。
7月は、積み残しを片づける
勤務校は二学期制なので、通知表の締め切りは9月にやってくる。
成績処理そのものは、実はそれほど大変ではなくなった。
教員としての経験値が積み上がってきた証だと思う。
ただし、大変なのは体育。マット運動だ。
児童が授業ごとに、「とっておきの一つ」として、技の動画と振り返りをセットで送ってくる。
7回×30人分。
つまり、210件の動画を、審査員のように見続ける。
隣では同僚の先生が、音楽のリコーダー演奏や歌唱の動画を、ひたすら見続けていた。
合間を縫って、研修にも参加した。
自分が興味をもったものを三本。
「問題行動の分析」を扱う研修では、ある子について、「もしかすると、こういう理由で立ち歩くのかもしれない」と考えていた予想が、確信に変わった。
さらに、オンデマンドの研修動画もチェックする。
8月前半は、教員ではない自分をアップデートする
出勤する時間を短くしつつ、自分の中の「教員ではない部分」をアップデートしていく。
例えば、スイングトレード(株取引)。
新卒で証券会社にいたので、投資の仕組みはなんとなく分かっている。
ただ、株取引はあまり経験したことがない。
証券会社時代はガチガチに規制されていて、教員になってからは忙しくて。
7月のピークから半値になった半導体株に手を出し、ハラハラドキドキの日々を過ごしている。
自分をアウトプットする場として、半年温めていたnoteへの投稿。
ついにデビューした!
スキが一つ、また一つとついていくのが、素直に嬉しかった。
読んでくださった方、ありがとうございます。
この時期にちゃんとした「休み」も取る。
娘と過ごす時間、夏休みだからできる経験。
また走り出すパワーをため込む。
8月後半は、夏休み明けの負担を減らす
授業の準備。
行事の見通し。
学年の先生たちとの会議の議題づくり。
夏休みが明けた瞬間に、全速力で走り出さなくてもよいように、少しずつ準備をしておく。
今年は学年のメンバーに恵まれているので、例年より少し余白がある。
余白ができると、普段は見ないふりをしているものまで気になってくる。
校舎の片隅の、あの教室とか…
休みとも仕事とも言い切れない独特さ
子どもたちが来なくても、出勤日はある。
会議、研修、出張、遠足の下見、備品整理、夏休み明けの準備。
授業がないから暇なのではない。
授業がある期間にはできない仕事が、この時期に回ってくる。
一方で、チャイムには追われない。休み時間のトラブルも、給食指導も、下校後の保護者連絡もない。
途中で作業を中断されにくいから、「今日はこの資料を完成させよう」と、一つの仕事にまとまった時間を使える。
年休も、授業期間中よりは取りやすい。
平日に自分や子どもの予定を入れられるのも、教員の夏休みならではだ。
会社員時代は、仕事がある日は通常営業。休みの日は完全に休む。
その区切りが、比較的はっきりしていた。
でも、教員の夏休みには、
必ずやらなければならない仕事。
やった方がいい仕事。
今年こそやりたい仕事。
そして、休む日。
それらが全部混ざっている。
だからこそ、自分で線を引かなければ、際限なく仕事ができてしまう。
反対に、自分で計画を立てれば、普段できないことに挑戦できる期間でもある。
休みなのか、仕事なのか。
そう聞かれると、少し答えに困る。
会社員時代のような、「働く日」と「休む日」がはっきり分かれた夏休みではない。
仕事と休みの間にある、少し不思議な期間だ。
母の目線の「夏休み」はこちらから。
こんな夏休み、理科主任として、理科室をどうにかしようと思い立った話は、こちらから。
