「雑な介護」はこんなところに表れる―送迎車のドア、どう閉めていますか?
介護の仕事は、ほんの小さな所作に、その人の「姿勢」が表れます。
食事介助、声かけ、挨拶、身だしなみ。そして、意外と見落とされやすいのが送迎車のドアの閉め方です。
デイサービスやショートステイでは、送迎は毎日のこと。慣れてくると、車椅子を固定し、後部ドアを「バーン!」と勢いよく閉めてしまうことはありませんか。
でも、その車内にいるのは荷物ではありません。大切にお迎えしたい
一人の利用者さんです。
大きな音に驚く方もいます。認知症のある方なら、不安や恐怖を感じるかもしれません。そして、その様子を見ているご家族や近所の方もいます。
私自身、新人として営業の仕事をしていた時、会社の車のドアを乱暴に閉めて、先輩から注意されたことがあります。積んでいたのは玄関マットやモップでした。
「まず商品を大切に扱いなさい。そして、車を雑に扱う姿をお客様が見たら、どう思う?」
当時は「そこまでやらないといけないのか」と思いました。しかし今なら、その意味がよく分かります。
人は、サービスの質を大きな出来事だけで判断しているわけではありません。ドアを静かに閉める。乗り降りの時に「閉めますね」と声をかける。
そんな小さな行動の積み重ねから、「この人なら安心できる」「この事業所なら任せられる」と感じるのです。
介護の接遇とは、特別なことをすることではありません。
目の前の人を大切に思う気持ちを、行動で表すことです。
丁寧にドアを閉めて、不快に思う利用者さんはいません。
けれど、乱暴な一回の動作で、不安や不信感を与えることはあります。
だからこそ、明日の送迎から少しだけ意識してみませんか。
ドアを閉める、そのわずか数秒にも、あなたの優しさは伝わります。
そして、その小さな心配りこそが、介護という仕事の価値を静かに高めていくのだと思います。
