[ドラマ]「銀河の一票」を観て思うこと-「建設的なおばさん」になりたい-
「手放さないでください、幸福追求の権利」
その第一話の主人公のセリフに、私は強く心を揺さぶられた。
そして数日後、あるイベントに参加したことで、私は、
「民主主義」について大いに考えさせられた。
「銀河の一票」という、話題のドラマをご存知だろうか。
現在はNetflixやU-NEXTで配信されているようだ。
与党政党の幹事長の娘であり、秘書でもある主人公・まつりが、スナックのママとして暮らしているあかりと出会い、その人間力に惚れたまつりが、あかりを都知事候補としてスカウトし、選挙戦に奮闘するドラマだ。
まず惹かれたのは、
黒木華の可愛らしさだけでない芯の強さのようなもの。
そして、野呂佳代の、安定した演技力と、安心感。
いろんな場所に配された、障害者と呼ばれる人たちの存在。
マイノリティの意見を組み上げる、政治の理想が描かれていた。
本当に、このドラマには、何度も泣かされた。
私は、3日ぐらいかけて全部視聴し、大感動した。
「銀河の一票」の余韻も冷めやらぬ中、
私は、前々から行きたかった、あるイベントに参加した。
内田樹氏と、武田砂鉄氏、平川克美氏による、小田嶋隆氏を偲ぶトークライブ。
荏原中延の隣町珈琲というイベントスペースで開かれたものだ。
世間的には「リベラル」とか「左派」として受け取られがちの彼ら。
軽妙な語り口で、頷ける部分はたくさんあったし、
笑えるところもたくさんあった。
元々、大好きな書き手たちのトークだったから、楽しかった。
しかし語られることの多くは、昨今の政治に対する、ネガティブな意見だった。
私は、「だから、その先は?」と思ってしまった。
以前から私は、
「現代の日本には、市民的成熟をはかる場所がない」と思っていた。
学校では、思想や政治について深くは教えてくれない。
職場などの社会では、政治の話を避ける。
このままでは、私たちはどんどん思考停止していく。
だから、貴重な対話場所としてこの隣町珈琲を選んだ。
彼らは自分たちを「優等生的」と表現し、
また、「(国を愛するという意味で)保守」であると言った。
正義を掲げる優等生として、政権批判はしてしまうだろう。
でも、私は、その先の、建設的な言葉を求めていた。
家に帰りながら考えた結果、
きっと私はこういう言葉が欲しかったのだろう、と思い至った。
「とにかく対話を続けることです」
そして私は思い出した。
人種も文化も全く違う、三つの名言を。
1.ガンジーの言葉
「あなたが見たいと願う変化に、あなたがなりなさい」
2.フランツ・ファノンの言葉
「おお、私の身体よ、いつまでも私を、問い続ける人間たらしめよ!」
全てに対して「イエス」であり、
「ノー」であることを選択できる権利を持つ。
それこそが人間の自由なのだ。
そしてそれを問い続けること、
バージョンアップし続けることが大切なのだ。
と私は捉えた。
3.サン=テグジュペリの言葉
「人間であるということは、まさに責任を持つことだ。
おのれに関係ないと思われていたある悲惨さを前にして、恥を知るということだ。
仲間がもたらした勝利を誇らしく思うことだ。
おのれの石を据えながら、世界の建設に奉仕していると感じることだ」
この三つの名言は、「銀河の一票」のまつりの
「手放さないでください、幸福追求の権利」
というセリフに通じるものがある。
文化も、人種も、フィールドも違いながら、同じことを語っている。
社会を作るのは、「あなたと私のこと」なんだ。
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私は単なる専業主婦というかパートだ。
それでも、
社会の一員として、民主主義に参加したいと思う。
思考停止したくないと思う。
綺麗事を冷笑しない世の中を作りたい。
それを支えてくれるのが、この3人の名言と、
「銀河の一票」で語られることであるように思う。
「綺麗事じゃないよ。綺麗なことだよ」というセリフも思い出される。
市民的成熟を図るために対話を続けること。
意見の違う人と分断するのではなく、折衷案を出すこと。
不完全な我々は、個々の力は弱くても、
なんとか折り合いをつければ大きな力になりうる。
民主主義とは、本来、不完全な人々が寄り集まって、
折り合いをつけながら方向を決定していくことだ。
「銀河の一票」後半では、知事候補として敵であるはずの陣営が、最終的に業務提携する、という形をとる。
私は、その姿勢がとても好きだ。
以前も書いた伊勢崎賢治氏のような、「超党派で信頼される」人も素晴らしいと思う。
党議拘束とか、しがらみを超えて、
得意なことを売りにして、
手を結べるところは結ぶ。
「ここは譲れない」と思うところは一線を引く。
大きな銀河の、一つ一つの星である我々市民が、
それぞれに。輝くこと。
選び続けること。
考え続けること。
対話を続けること。
そんな当たり前なことを改めて考えたのだった。
ただ政治に文句をいうだけじゃない。
周りの人をそっと気遣う人。
ちょっとしたお節介で場を和ませる人。
今は苦しくて、自分のことで精一杯の人もいる。
でもそんな私たちが、政治を、国を、社会を作っている。
「世界の建設に奉仕している」。
だから、私は、「建設的なおばさん」になりたい。
電車で泣いている女の子がいたら、
「あんた、どーしたの?大丈夫?」
とお節介を焼くのはたいていおばさんです。
そんな、おばさんとして、世話を焼いたり、
場を和ませたり、誰かの言葉に耳を傾けたり、
包容力のある人間になりたい。
「銀河の一票」のあかりのように。
政治とは「偉い人たち」のすることじゃない。
お節介を焼いたり、人を和ませたり、
意見に折り合いをつけたりすることも、
きっと民主主義なんだ。
