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【映画感想】『開戦前夜』辛口レビュー|題材は100点なのに、なぜ微妙だったのか?



◾️映画『開戦前夜』、ぶっちゃけ微妙でした

ちゃんとしてない系教養ママの
harukaです。




本日、テアトル梅田にて
映画『開戦前夜』
観てまいりました!






うーん……微妙だった!!!!!!!




ここ最近
立て続けに名作級の戦争映画を
見まくっていたので




どうしても見劣りしてしまいました🥹







戦争を取り上げるテレビ番組が
年々減ってきたこの時代に




この手の
「硬派な戦争映画」を
作ろうとした心意気は
率直に素晴らしいと思います。




大日本帝国政府が
どのような経緯や空気感の中
開戦へと踏み切ったのか




映画を通して
大まかな流れを把握できたのも




事実を知り、知識を得られた
という意味でも
ありがたかったです。




小難しそうな戦術の話も
映像だとわかりやすい!




それでも




「もうちょっと面白くできたんちゃう……?」
という感が
最後まで拭えなかったというか🥹




無駄に芝居がかった演出。
変化に乏しいカメラアングル。




そして、待てど暮らせど
一向に明らかにされない
「各界のエリート達の知性」と
「時代の空気」の正体。





正直、不完全燃焼でした🥹




というわけで、本日は
一応、大学院の後期博士課程まで
演劇を研究していた元研究者として
また、元役者見習いとして




映画『開戦前夜』を見て
抱いた率直な感想を
好き放題書いてみたいと思います。





映画の内容もふくmw
かなり赤裸々に(そして辛口に)
語っておりますので
許容できる方のみお進みください。




◾️『開戦前夜』はなぜ微妙だったのか?

▶︎驚くほどの演出のダサさ

まず、びっくりしたのが
演出のダサさ




NHKドラマあるあるというか
半世紀前の洋画風というか




不必要に芝居がかった
演出や身振り

序盤から多かったんですよね……




最初にドン引いてしまったのは




やたら皆さんが
地球儀をクルクル回すシーン




内閣総理大臣直属の
極秘研究所




微妙に所属の違う官僚や
軍の人間が集められた空間




しかも
陸軍が常に同席しているって
緊張感ハンパないと思うのですが





そんな超緊張状態の会議の中




そんなに地球儀
くるくる回す必要
あります??????




しかも、地球儀を回しながら
「金で世界は動く (ドヤァ」
なんて決め台詞吐いたりするし。




個人的に
共感性羞恥レベルでした。




その後も
主人公・宇治田が
人気のない夜の東京を歩いていると




背後から人の気配! 足音!




逃げるように歩みを進めると




建物の壁には
憲兵の巨大な影がドーーーーン。




今どきヒッチコックかよ




誰 か ギ ャ グ だ と 言 っ て く れ




いやほんまに!! 今どき!!!!
バラエティ番組内の
再現ドラマもやらないような演出は
硬派な戦争映画では自粛してもろて😂




映画鑑賞前に私が期待していた




鋭く、斬新な切り口で描く戦争映画
・知性派ならではの緊張感ある応酬
・戦闘シーンにも負けない迫力ある頭脳戦




といったクールなイメージは





令和の気鋭の映画とは思えない
(しかも戦争を扱っているのに…)
バタくさい演出の連続により





序盤でガラガラと
音を立てて崩れていきました。





▶︎「エリート」揃いなのに、まるで「知性」が見えてこない

そう、私がこの作品に
一番期待していたのは



「負けると分かっていて、止められなかった
若手エリートと軍人達の緻密な攻防」




でした。




日本中から集められた
ジャンル横断的な若手エリートが
秘密裏に集められ




当時にしては珍しく
「自由闊達な議論」
奨励されていた、という事実は




映画の題材としては
うってつけの
素材の強さです。




実際、序盤の
エリート達のやり取りでは
個人的に馴染みのなかった逸話も多く




国防、外交、経済
様々な分野を横断した
「日米戦の展望」
が展開されるシーンは
大変興味深かったです。




でもなぜか




この序盤で出されたネタ




作品後半の「報告会」で
総理大臣や陸軍大臣に伝えられたものと
あんまり解像度が変わってなくて……




あれだけ議論して、月日も経って
言っていることが最初とほぼ変わらなかった



「仮にインドネシア方面を抑えて
潤沢な量の石油を確保できても




物資を運ぶ船の数が足りない
船を造るスピードが追いつかない
経済や治安が悪化する
諸外国と交渉しようがない」




いやそれ全部
序盤で言ってたやつですよね?!!?!




日本トップクラスのエリートが集まって
数ヶ月話し合って、それですか!?!?!!





そう、議論が
全然深まってなかったんです。




こんなことも話した
こんなことも研究した




など、話題は色々出てくるんですが




それぞれの話題で
分析され、練り上げられ
導き出されるはずの
「日本必敗」の解像度




いつまで経っても
観客側に見てこない🥺




エリートならではの
話のキレや分析の鋭さを
味わえる場面もほとんどない。





主人公が鬼気迫る表情で
会議中に何を計算していたのか





どんな恐ろしい結論が
導き出されたのか




映画を観る側には
ごく断片的な情報しか共有されず





「とりあえず日本必敗らしい」
という論調だけが
熱っぽく伝わってくる。




まるで




「いくら分析しても無駄なのだ」
「結局は時代の空気に流されてしまうのだ」




というテーゼが
まず第一にあって




それを成立させ、補強するはずの
エリート達の頭脳の切れっぷりや
具体的なロジックを観客に示す必要ない

とでもいうように。




日本の選りすぐりの
エリートを集めた
、という設定ならば




そのエリートたちの
エリートたる所以
個人的にはもっと見てみたかったです。




「戦時中に国の天才を集めて進められた極秘作戦」
といえば、『イミテーション・ゲーム』




エリート達の知性が光らないことには




劇中に登場する登場人物も
所詮「エリート」という
「記号」的な存在にすぎず




軍事作戦の地図上に置かれる
何ら変わりない役回りで
終わってしまうからです。





▶︎戦争映画は潤沢な予算とセットであるべきだと思う

戦争映画の難しいところは





最低限のリアリティがないと
物語としての厚みや説得力が
薄くなってしまうこと
です。




・被害が甚大に見えない
・登場人物の表情が薄く見える
・武器や装いが安っぽい
・時代考証が浅い




そうすると
「戦争映画」は途端に
「ごっこ遊び」に見えてしまう上に




当時の人々への
リスペクトも感じられなくなって




「戦争を舐めてるんか?」
「お涙頂戴したいだけちゃうか?」
という印象まで与えてしまう。




だから私は最近
「戦争映画には潤沢な予算が必須」
だと、とみに感じています。




ディテールが雑だと
肝心なメッセージは
上滑りします





ちょっとした要素に
気合いやこだわりを入れようとすると
やはりどうしても
お金がかかってくるからです。




そういう意味で





今回の映画は
先述のエリート達の議論以外にも
ディテールの甘さを感じる場面も
多々ありました。




戦闘シーンや
屋外のシーン全般で
十分な人数のエキストラが
いるように見えなかった
こと




夜の東京を歩くシーンなどは
似たようなカメラアングルが多く
撮影セットの限界?を感じさせたこと。




他にも、夜の車移動シーンの
照明の当たり具合が
不自然
だったりと




どうにも細かいところで
何とも言えない
ディテールの甘さが目について




作品世界に集中できませんでした。




後から知ったことですが
こちらの作品は元々
「ドキュメンタリードラマ」という
体裁だったそう。




そう考えると
「ドラマにしては本格的」
なのかもしれませんが




映画館の大画面で見るには
やはり映像作品としての強度は

気になるところではありました。




出演俳優はかなり豪華なので
それなりの予算を投じられて製作された
作品かとは思いますが




少なくとも画面から感じる
それこそ「総力」については
物足りなさを感じてしまいました。





◾️『開戦前夜』それでも良かったところ

▶︎「日本はなぜ戦争したの?」の入口としては面白かった

と、ここまで散々
ボロクソ書いておりますが🤣




観てよかったことも
もちろんあります。




筆頭は、冒頭にも書いた通り
「なぜ日本は開戦したのか」
いろんな背景を、一気に知ることができました




日中戦争の長期化で
日本が石油を求めていたこと。




ただし、石油が潤沢にある
インドネシア方面に手を出せば
中立の立場だったアメリカが敵となり
貴重な石油供給源を失ってしまうこと。




ただし、迷っている間に
アメリカとの国力差はますます開く
ため
戦うならすぐに決断するしかなかったこと




そして、戦争が無謀であると
上層部も理解していたにも関わらず
誰も止められなかったこと……




東南アジアへの侵略。真珠湾攻撃。
そして、戦争長期化による
各地での悲惨な連敗………




それぞれ別々に覚えていた歴史が
この映画を機に
一本の線として繋がっていく感覚
率直にありがたかったです。





▶︎俳優陣の熱演が素晴らしかった

さらに、豪華俳優陣による熱演
素晴らしかったです。




特に、佐藤浩市さんの東條英機




エンドロールを見るまで
佐藤浩市さんだと
気づかなかったレベルで🤣




本人へのなりきり具合はもちろん
セリフがない場面でも
自然と醸される威厳や風格
立ち居振る舞い
は、見事の一言でした。




ちなみに東條英機は史実でも
当初は開戦派だったのが
途中から慎重派に変わる
のですが




思想的な立場が変わっても
佐藤浩市演じる東條英機は
東條英機としての一貫性が崩れず




作品で求められた人物像を
きっちり成立させていたのが
見事でした。




北村有起哉演じる近衛文麿や
岩田剛典演じる海軍少佐も
個人的にハマり役でした。




◾️そして、訴訟問題

▶︎係争中のまま公開された皮肉

さらに、映画公開のタイミングで
避けては通れないのが
「訴訟問題」




すでに報道にもあるように




この作品に登場する人物と
近い立場にいた実在の人物の遺族が
「卑劣な人物に描かれ精神的苦痛を受けた」
として、2025年12月に訴訟を起こしています。





これに関しては
メディアコンサルタントの
境治氏が『東洋経済』に
秀逸な記事を寄稿されています。






「問題があると認識しながら、止まらなかった」
という意味では、確かに




映画で描かれているような日本政府を
当の映画製作チームが
体現してしまっている
皮肉があります。





▶︎描きたいものの「外側」をどこまで描けるか

訴訟問題に関して




どちらの主張が正当か
詳細を知らない私は
どうこう言えることでは
ありませんが




それでも、この映画を観た後で
訴訟の件について
改めて記事を読んだ時




妙にしっくりくるものがありました。





それは、この映画が
全体を通して




自分たちが描きたい物語の
「外側」への敬意が
全体的に足りていないように
見えたから。




「総力戦研究所のエリート」を
描きたい。



でも



その知性を具体的に描こうとはしない。




実際に彼らが
どんな議論を重ねて
「日本必敗」という結論へ
どう辿り着いたのかも描かない。





戦争を描きたい。




でも




当時の街、社会、官民の人々
国家全体が絶望的に動いていく
圧倒的な規模感は描かない。




「時代の空気」を映し出すための
物量、出演者数にエネルギーは投じない。





実在した人々が苦悩した現実
実際に起こった歴史の話を
題材にしたい。




でも




その歴史に関わる遺族から
「違う」と声を上げられる
訴えられている。




個人的に「歴史フィクション」
史実とは違っていいと思いますし




むしろ、記録に残されてない
歴史資料に回収されない
様々な可能性に思いを馳せられるのが
醍醐味の一つだとは思っています。




でも



当事者として、実際に苦しい時代を生き
必死に時代を繋いだ人様の人生を
物語の素材として借りるなら




そうした人物や出来事に対する
誠実さや敬意は不可欠だと思います。




どんなに描きたい物語があったとしても
そうした方々がいなければ
そもそも作品は成立し得ないのですから。





戦争という
途方もない犠牲を生んだ
出来事を描くなら




自分たちが「描ける範囲」
「描きたいもの」だけで済ませない
覚悟や責任感が必要
だと思います。




そして、そうした気概が




対遺族というだけでなく
作品作りにおいても
個人的には甘く感じられたので




何だか嫌な納得を
してしまったのでした。




◾️「いったい我々は何に飲み込まされたのか」

日米開戦は
なぜ、止められなかったのか。




結局、この問いの答えですら
この作品は提示しきれていなかった
と私は思います。




高まる世論。時代の空気。




既にに走り出していた
血気盛んな陸軍や
軍の指示を受けて動き出した工場。




じゃあ結局、全部
「時代の空気のせい」だったのか?
「自分以外の他人のせい」だったのか?




ゴリゴリの開戦派と見せかけて
実はその難しさを認識していたという
東條英機や、近衛文麿の描写は




厚みのある人物像を
示しているように見せつつ




「じゃあ結局彼らは何だったの?」
「悪いのは誰だったの?」

という結論に行き着くほどの
強い描写ではなかった気がします。




「陸軍の暴発」も
セリフの上では度々出てきましたが
その割に「暴発しそうな陸軍」は
大して見えてこず(そして人数も足りず)




「エリートたち」と同様
「精神論で突っ走る陸軍」という
「記号」を貼られているようにしか
見えませんでした。




結局誰が悪いのか、描ききらない。




中途半端にあれこれを匂わせて
確固たる回収は行わない。




挙げ句の果てに
「日本必敗」という
強い結論を出した総力研究所ですら




報告会の後も
謎に集まっていて




ぼーっと窓の外を見たり
地図を眺めているなど
建設的な意見を
戦わせている様子もなく




陸軍や海軍の諸君に至っては



「君ら、ここでずっと何してるん?
お国の大事なのに本職大丈夫なん?」





と、心配になってしまうほど😂




それくらい、あまりにも
議論が薄かった。ディテールが甘かった。




そして、予測通りに
滅びの道を辿る日本の姿を




エリートたちは
ただ黙って見ているだけ。




一体、我々は
何を見せられたのか?




何に呑み込まされたのか?




こちらが聞き返したくなる
138分でした。





ちなみに、物量に物を言わせた
戦争映画としては
『プライベート・ライアン』(1998)





戦時中における知性の描き方や
戦闘シーン少なめの戦争映画を
味わいたい方には




『ヒトラー最期の12日間』(2005)
『イミテーション・ゲーム』(2014)
『日本のいちばん長い日』(2015)
『ウィンストン・チャーチル』(2017)

あたりをおすすめしたいです。




『開戦前夜』を観た直後だからこそ
「戦争を映画で描く」ことや
「戦時中における知性の役割」について
考えさせられる作品群です。






以上



私にしてはかなり珍しい
辛口映画感想に



最後までお付き合いくださり
ありがとうございました!



「いやそれは言いすぎやろ!」
「実はちょっとわかる!」などなど



もしよろしければ
忌憚のないコメントをいただけると
私も視野が広がり、ありがたいです。




6000字越えの
大ボリュームとなりましたが



「最後まで読んだよ!」の合図に
「スキ」を押していただけると
大変励みになります💃




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よろしければ
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【haruka プロフィール】

演劇研究10年、高校教師13年。ぜーんぶ辞めて、家族で世界一周に出た41歳。大阪生まれ、京都育ち。幼少期にアメリカ3年🇺🇸

国際学会、進路指導、国際交流支援……一見ちゃんとしてそうなのに、博士論文を出せずに大学院を単位取得退学。

「どこにも使えなくなった知識と教養」を育児・旅・自分のために注入中。

育児のモットーは、「親のメンタル死守」。自分の心を大事にしつつ、子どもには豊かな世界を見せたい。

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