欲望と理性

物語を読み終えて客観的に振り返ると、勉強もスポーツもできて、彼女もいて、とても充実した憧れのキャンパスライフを送っている大学生の物語であることに驚く。
読んでいる最中は、そんな充実感なんて微塵も感じさせないくらいに、主人公自身はなんだかさめていて、冷たくて、いつだって理性を強く働かせて毎日を生きている。
いささか極端すぎるとは思ったけれど、この主人公の感覚は現代社会を生きる上で非常に大切な感覚だと思った。
自分自身から湧き出てくる欲望を、まず先に客観的に、合理的に理性で判断して、極力さまして、つめたくして、とことん押さえつけた方が、現実的には、いわゆる普通に、無難に生きることができる。
それで本人が幸せを感じるかどうかは別として、煙すら立たない人生はある意味安全で、安心である。
