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返信を考えすぎて、返信しない人になる。

どうも。長谷川優貴(@hase0616)です。劇作家、演出家、脚本家で、絵画やイラストも描いています。エンニュイという劇団を主宰して脚本演出をしたりしています。稼働してませんが、一応、クレオパトラというお笑いコンビも組んでます。

返信を丁寧にしようとすると、返信が遅くなる。

相手に失礼がないように考える。
言葉を選ぶ。
「!」をつけるか考える。

「ありがとうございます」だけだと少し冷たい気がして、一文足す。

一文足したら今度は馴れ馴れしい気がする。

消す。

もう一度書く。

なんか違う。

あとでちゃんと返そう、と思う。

これが一番危ない。

「あとでちゃんと返そう」は、返信界の遭難である。

その時点では、今日中に返すつもりでいる。

お風呂に入ったあとに返そう。
仕事が一区切りしたら返そう。
電車に乗ったら返そう。
家に帰って落ち着いてから返そう。

そして家に帰る。

落ち着く。

寝る。

翌朝、スマホを見る。

昨日のメッセージがいる。

いる、という感じがする。

文字なのに。

昨日までは「返信しよう」だったものが、一晩経つと「返信しなければいけない」に変わっている。

もう少し経つと、「今さらなんて返せばいいんだ」になる。

ずっと頭の中にはいる。でも返せない、、、

メッセージの内容は、

「昨日はありがとうございました!」

くらいだったりする。

こちらも、

「こちらこそありがとうございました!」

で終わる話である。

十秒で終わる。

なのに二日経っている。

二日経ったことで、今度は「返信遅くなってすみません」を入れる必要が出てくる。

本来一行だった文章が二行になる。

三日経つと、謝罪が本文より長くなってくる。

返信を考えすぎた結果、返信するための仕事を自分で増やしている。

僕はこれを何度もやる。

LINEだけではない。

メールもそうだ。

特に、すごく丁寧なメールが来ると危ない。

丁寧な人には、こちらも同じくらい丁寧に返したくなる。

相手が三段落なら、こちらも三段落くらい必要な気がしてくる。

相手が、

「先日はありがとうございました。とても楽しい時間でした」

と書いてくれている。

こちらも、

「こちらこそありがとうございました。僕もとても楽しかったです」

でいい。

いいはずなのに、

「とても楽しかった、では雑ではないか」

と思い始める。

何が楽しかったのか書いた方がいい。

あの話が面白かった。
あの時の出来事が印象に残った。
またお会いしたい。

書いているうちに、ちょっとした感想文になる。

こんなの今返すのは重いかもしれない。

一度閉じる。

そして忘れる。

いや、忘れてはいない。

忘れていないから困る。

歯を磨いている時に思い出す。

スーパーで豆腐を選んでいる時に思い出す。

寝ようとして電気を消した瞬間に思い出す。

「あ、返してない」

相手はその間、普通に生活していると思う。

たぶん僕からの返信のことだけを考えて二日間過ごしてはいない。

分かっている。

でもこちらの頭の中では、未返信のメッセージがずっと小さく点滅している。

返信できないのは、相手をどうでもいいと思っているからではない。

むしろ逆のことがある。

大事な人だから、ちゃんと返したい。

好きな人だから、嫌な感じにしたくない。

仕事をくれた人だから、失礼にしたくない。

わざわざ連絡してくれた人だから、適当に返したくない。

ちゃんとしようとする。

ちゃんとしようとする。

ちゃんとしようとする。

そして返さない。

一番ちゃんとしていない。

人間は不思議である。

たまに、返信する文章を頭の中で完成させて、それで返信した気になっていることもある。

数日後、

「あれ、あの人から返事来ないな」

と思ってLINEを開く。

僕が返していない。

会話のボールは、ずっと僕が持っていた。

相手から投げられたボールを両手で大切に抱えながら、

「なんで次のボールが来ないんだろう」

と思っている。

怖い。

最近は、ちゃんと返すことより、早く返すことを少しだけ優先するようにしている。

「ありがとうございます!」

だけ送る。

「了解です!」

だけ送る。

詳しいことはあとで送ります、と一度返す。

以前の僕なら、そんな短い文章を送ることに少し抵抗があった。

冷たくないか。

雑じゃないか。

もっと何か書いた方がいいんじゃないか。

でも、三日間沈黙するよりはたぶんいい。

たぶん、というか、かなりいい。

相手からしたら、僕が文章を推敲していることなんて分からない。

画面上に存在するのは、返信がないという事実だけである。

僕の頭の中ではものすごく相手のことを考えていても、それは相手のスマホには表示されない。

これは結構大事なことだと思う。

考えていることと、伝わっていることは別だ。

優しくしたいと思っていることと、優しくできていることも別だ。

だから最近は、完璧な返信を作ろうとしている自分に気づいたら、とりあえず一度送るようにしている。

できない日も多い。

「あとでちゃんと返そう」と思う日もある。

そして遭難する。

この記事を書いている今も、スマホにはまだ返していないメッセージがいくつかある。

この記事を書いている時間で返せたんじゃないか、ということには気づいている。

気づいている。

とりあえず、これを投稿したら返す。

たぶん。

いや、返す。

たぶん、、、、



10月は、ムリウイでエンニュイの新作を

10月8日から10日、祖師ヶ谷大蔵のムリウイで、新作『凹凹にして凸む 十月形』を上演します。

読み方は「おうおうにしてつばくむ、じゅうがつけい」。

出演は、二田絢乃、zzzpeaker、市川フー。
僕が作・演出。

同じ言葉を使っていても、同じ話をしているとは限らない。相手を分かろうとして、余計に分からなくなる。でも、その噛み合わなさがおかしくて、もう少し一緒にいたくなる。

そんな人間同士のやり取りを、三人それぞれの声や身体から作っていきたい。

エンニュイ新作公演『凹凹にして凸む 十月形』


2026年10月8日(木)〜10日(土)
会場:ムリウイ(東京・祖師ヶ谷大蔵)

  • 10月8日(木)15:30〈公開ゲネ〉/19:30

  • 10月9日(金)14:00/19:30

  • 10月10日(土)14:00/18:00

※開場は各回30分前。

出演:二田絢乃、zzzpeaker、市川フー
作・演出:長谷川優貴

一般:3,500円/各種割引あり
公開ゲネ:2,500円
※各料金+1ドリンク。詳しい料金区分はムリウイの公演案内に掲載。

本公演の予約はこちら
公開ゲネの予約はこちら

小さな場所で、人と人が近い距離にいる公演になる。
その場に居合わせてもらえたら嬉しい。


9月も、違う入口から演劇を作ります

9月も、atonariumで四回ワークショップを行います。

9月1日(火)・12日(土)「グラデーション」

短い台本を使い、役と自分、台本と即興のあいだを探します。
台詞をうまく言うことよりも、その言葉が自分の身体から出てくるまでの時間を試したい方へ。

9月22日(火・祝)「正常な台本を、演出でバグらせる」

全チームが同じ短い台本を使い、台詞を基本的に変えず、演出だけで別々の上演を作ります。
山の日のように、同じ場所や同じ言葉の見え方を、時間、身体、距離、音などによって変えてみたい方へ。

9月26日(土)「声の背骨」

雑談、言い淀み、聞き返し、言い間違いなど、物語になる前の声を拾い、四時間で小さな演劇を作ります。
完成した台本を演じるところより前から、創作に参加してみたい方へ。
この日に生まれた作品は、10月31日にatonariumで行う、一日だけの小さな公演へつなげる予定です。公演へ出演できない方も、ワークショップだけ参加できます。

すべて会場はatonariumです。

  • 会場:atonarium(東京都調布市菊野台1-27-19/京王線「柴崎」駅より徒歩3分)

  • 参加:3,000円

  • 見学:1,500円

  • 演劇経験不問

いきなり参加するのが不安な方は、見学でも大丈夫です。
台本と役のあいだから始めたい人は、「グラデーション」。
同じ台本の見え方を、演出で変えてみたい人は、「正常な台本を、演出でバグらせる」。
まだ物語になっていない会話から作りたい人は、「声の背骨」。
どれが正解ということではありません。
演劇の入口は、一つではない。
うまくできるようになってから来なくて大丈夫です。
何をしたいのか、まだはっきり分からなくても大丈夫です。
その分からなさや、うまくいかなさや、少しだけ気になるという気持ちを、そのまま持ってきてください。
演劇は、役になったあとだけにあるわけではない。
物語ができたあとだけにあるわけでもない。
部屋が完全に山に見えたあとだけにあるわけでもない。
何かになりかけている途中に、もう始まっている。
9月も、その途中で会えたら嬉しいです。


VLOGを更新しました!



【お仕事募集】

長谷川優貴です。
元お笑い芸人で、作家・演出家をして活動しています。
現在、脚本・構成・演出・企画まわりのお仕事を募集しています。

対応できるものは、
・ショートドラマ脚本
・YouTube/TikTok台本
・コント/漫才台本
・舞台、映像ドラマ、アニメ、などの脚本
・企画構成 ・脚本/プロット相談
・ワークショップ講師 ・イラスト
・文章執筆 ・舞台演出 などです。

お笑い、演劇、会話劇、少し変な人間ドラマ、構造的な話、などが得意です。 ご相談だけでも大丈夫です。 面白いこと、一緒に作れたら嬉しいです。

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