32年間を山一で過ごし、経営の一端を担った元常務が「100年の歴史と伝統」を誇る同社の企業体質を分析し、失敗の本質に迫る。 一時代を築いた巨大企業がなぜ凋落するのか。長銀や北海道拓殖銀行、最近のエンロンやワールドコムの事例も思い出される。本書は、32年間を山一証券で過ごし、経営の一端を担った著者が、山一の歴史から経営者の資質まで幅広く検討を加えた研究レポートである。破綻当時の担当者らに実際に取材し、事実を積み重ねて書き上げた力作である。破綻の原因は、企業倫理の欠如だが、その根底には成功体験への盲信があったという。 巨大企業の崩壊に共通するのは、「大成功をおさめたあと、大失敗(経営判断の誤り)をしていて、事業の大成功が最高経営責任者にもたらした、ある種の傲慢さと驕りではないか」と推察されるという。本書の冒頭にふれているように、「失敗から教訓をくみ取らなければ、より大きな失敗を将来に招くことになる」。山一消滅から5年。歴史上の事実を正しく検証することで、多くの教訓を学べるのではないか。
※2026年8月6日 16:32時点
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