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シルク募集馬の測尺、普通はどのくらい? ― 相場感、そして頓挫・成績との関係

シルクホースクラブ募集始まってますね。
皆さんは好みの測尺などありますか?

私は馬体重は重ければ重いほど、走りそうな気がします。
陸上も大きい身体の人の方がストライドが伸びる気がするから…。

それは置いといて今回は測尺の話題です。
結構長めの記事になりますので、飛ばしながらでもOKですよ。


カタログを見ていて、体高154cmって大きいの? 小さいの? と迷ったことがある人向けに、これまでのシルク募集馬1,094頭分の実測データから、体高・胸囲・管囲・体重の相場感をまとめました。
あわせて、測尺の大小が実際に頓挫の可能性や成績と関係するのかも、全クラブ5,284頭のデータで検証しています。

中央5割はこの範囲に収まる


シルク募集馬の測尺分布(中央値・中央50%レンジ

体高は中央値154.5cm(中央5割は152.0〜157.0cm)。

胸囲は中央値175.0cm(中央5割は171.5〜179.0cm)。

管囲は中央値20.0cm(中央5割は19.5〜20.5cm)。

体重は中央値441kg(中央5割は418〜468kg)。

管囲は19.5〜20.5cmのわずか1cm幅に半数が収まっており、他の項目に比べて個体差が小さい傾向があります。

逆に体重は418〜468kgと50kgの幅があり、同じ月齢・同じクラブの馬でも仕上がりの個体差が大きく出やすい項目だとわかります。

使い方の注意

この数字は良し悪しを判定する基準ではなく、あくまで過去の募集馬全体の分布です。

測尺は測定時期・個体の成長段階によっても変わるため、単純に大きい方が良い、小さいと不利とは言えません。

カタログの数字を見て、極端に外れているかどうかを確認する目安として使ってください。

では実際のところ、測尺の大小は頓挫の可能性や成績と関係するのでしょうか。
ここからはデータで確認していきます。

全クラブで見ると、体重を中心に緩やかな右肩上がり


全クラブ・測尺クォータイル別 頓挫可能性率

募集時の測尺を4等分し(Q1=小さい方25%〜Q4=大きい方25%)、頓挫の可能性の記録率を比較しました。

全クラブ(n=5,284)では、体重が26.3%→31.9%ともっともはっきりした右肩上がりを示し、胸囲も27.2%→31.2%、体高も27.8%→31.1%と、程度の差はあれ同じ向きの傾向が見られました。

管囲だけは29.0%→27.8%→29.0%→31.0%とQ2で一度下がっており、他の3項目ほどきれいな右肩上がりにはなっていません(このあと管囲だけさらに掘り下げます)。

ただし、この傾向を相関係数(点双列)で見ると、体重ですら+0.054、他の3項目は+0.02〜+0.04程度しかありません。
方向はおおむね揃っているものの、値そのものはかなり小さく、これだけで強い関係があるとは言えない水準です。

シルクだけに絞ると、傾向はほぼ消える


シルク限定・測尺クォータイル別 頓挫可能性率

同じ集計を、上記のシルク募集馬(n=902)だけに絞ると、様子が変わります。

体高はQ1の29.6%からQ2で24.3%まで下がり、Q3・Q4でまた27〜28%台に戻るという、上がるとも下がるとも言えない動きになりました。
胸囲・管囲・体重も26〜29%の範囲でほぼ横ばいで、全クラブで見えていた右肩上がりは見当たりません。

相関係数もシルク限定では体高+0.006・胸囲+0.024・管囲+0.015・体重+0.026と、全クラブよりさらに小さい値になっています。

全クラブで見えていた弱い傾向が、シルクという1クラブ・約900頭の規模ではノイズに埋もれて見えなくなった、と捉えるのが妥当です。

逆に言えば、上記のシルクの測尺分布を見て、大きい・小さいで頓挫を過度に心配する必要はなさそうです。

そもそも測尺4項目は別々の指標ではない

もうひとつ押さえておきたいのが、体高・胸囲・管囲・体重は互いに独立した指標ではないという点です。

シルクのデータで4項目どうしの相関を確認すると、胸囲×体重が+0.830ともっとも強く、体高×体重も+0.691、体高×胸囲も+0.668と、いずれも強い正の相関がありました。

管囲だけは他の3項目との相関が+0.315〜+0.525とやや低めで、前述の個体差の小ささ(19.5〜20.5cmの1cm幅に半数が収まる)とも符合します。

つまり、体高・胸囲・体重はほぼ「馬体全体の大きさ」という1つの軸を別の角度から測っているようなもので、全クラブで見えた弱い右肩上がりも、体重・胸囲・体高のどれか1つが特別に効いているというより、全体的に大きい馬というひとまとまりの傾向として捉えるのが実態に近そうです。

管囲だけがやや違う動きをするのも、この項目だけ相対的に独立性が高いためと考えられます。

管囲だけをさらに掘り下げる ― 「細いと故障しやすい」は本当か

管囲は「細いと故障しやすい」という言い方で語られることがよくあります。

ここを十分位(件数で等分、D1=細い方10%〜D10=太い方10%)まで分けて確認したところ、頓挫可能性率は非単調で「細いほど高い」とは言えない一方、勝ち上がり率・オープン以上到達率は細い方から太い方へ右肩上がり、という結果になりました。

ただしこの十分位という区切り方には注意点があります。

件数で機械的に10等分すると、もっとも太い10%(D10)が21.0〜23.8cmという幅広い1つの塊にまとめられてしまい、記事18(体重)で見つかったような山型(ある地点でピークを迎え、そこから下がる形)を見落とす恐れがあります。

そこで件数ではなく実測cm幅の固定ビンに刻み直しました。


管囲・実測cm幅ビン別 頓挫可能性率と成績

刻み直すと、はっきり山型が現れました。

勝ち上がり率は17.5〜18.5cm層の44.0%から上がり続け、21.0〜21.5cm層で66.2%とピークをつけたあと、21.5〜22.0cm層で53.0%、22.0cm超で47.1%と、ピークの手前まで一気に戻ってしまいます。

オープン以上到達率も同じ形で、21.0〜21.5cm層の21.3%がピーク、そこから17.4%→9.8%と下がります。

頓挫可能性率も、実は21.5cm以上で様子が変わっていました。

17.5〜21.5cmの範囲では27〜31%とほぼ横ばいなのに対し、21.5〜22.0cm層で40.9%、22.0cm超で39.2%と、太い方の極端な層でだけ明確に跳ね上がっています。

つまり「細いと故障しやすい」は支持されませんが、「太すぎても良くない」は頓挫可能性率・成績の両方で支持される形になりました。

太い方の極端な層(21.5cm以上、n=183)は特定クラブへの偏りではありません(carrot63・silk50・sunday34・shadai12・その他6クラブで計24頭、と広く分散)。
ただし21.5〜22.0cm層はn=132、22.0cm超はn=51と、他の層(n=698〜1,467)に比べるとかなり小さく、この2層の数字はまだ振れ幅を割り引いて見る必要があります。

細い方はどうかというと、もっとも細い10%(19.0cm以下、n=801)とそれ以外(n=4,484)を比べると、勝ち上がり率は45.6%対58.8%、オープン以上到達率は8.6%対15.4%と、細い方がはっきり見劣りします。
もっとも細い5%(n=272)まで絞るとさらに差が開き、勝ち上がり率41.9%対57.6%でした。
細い側は山型のような下降は見られず、素直に細いほど厳しいという形です。

まとめると、管囲と成績の関係は「細いほど良い」でも単純な「太いほど良い」でもなく、21.0〜21.5cmあたりをピークにした山型で、細い側は成績の面で明確に不利、太すぎる側は成績が落ちるだけでなく頓挫可能性率まで上がる、という三者三様の形でした。
太すぎると頓挫可能性が高くなっている傾向は意外でした。

シルクの測尺相場(管囲は中央値20.0cm、中央5割は19.5〜20.5cm)に照らすと、シルク募集馬の大半はこの山型のピーク(21.0〜21.5cm)よりやや細い側に分布していることになります。

「細いとダメ」という俗説の向き自体は当たっていますが、理由は故障のしやすさではなく素直な競走成績の差、という点は変わりません。

なぜこうなるかは今回のデータだけでは断定できません。
管囲は測尺4項目の中でもっとも個体差が小さく、他の測尺との相関も比較的低いため(体高×管囲r=+0.390、胸囲×管囲r=+0.315、体重×管囲r=+0.525)、単純な馬体の大きさだけでは説明しきれない、管囲固有の何かを拾っている可能性があります。
また以前牧場担当者へインタビューした際には、逆に我々がなぜそこまで菅囲を気にするかわからないと言われたほどです。

ただし、測定時点でまだ成長途中で細いだけの馬が混ざっている可能性は今回調整できていません。この点は今後の課題です。(そもそもちゃんと測れるものか…?)


どう捉えればいいか

体高・胸囲・体重については、測尺が大きいほど頓挫しやすい、小さいほど頓挫しやすい、どちらの見方も強くは支持しません(四分位で見た限りでは、です。
これらも管囲同様、固定幅ビンで刻み直すと山型が隠れている可能性はあり、確認できていません)。

全クラブの大きな母数で見ると、方向としては大きい馬でわずかに記録率が高いという弱い傾向は出ましたが、相関係数は+0.02〜+0.05程度とごく小さく、シルクのような1クラブ規模まで絞ると見えなくなる程度の弱さです。

募集時カタログの測尺だけを見て頓挫リスクの高低を判断するのは無理があります。

管囲は掘り下げると話が変わりました。
細い側は頓挫しやすいわけではなく勝ち上がり率・オープン以上到達率がはっきり低く、逆に太すぎる側(21.5cm超、n=183とやや小さめ)は成績が落ちるだけでなく頓挫可能性率も上がる、という21.0〜21.5cmをピークにした山型です。
「細いとダメ」という俗説自体は方向として当たっていましたが、その中身は故障ではなく成績だった、という点は覚えておく価値があります。

頓挫の可能性の記録率自体、公開情報等をもとにした参考記録であり、医学的な診断ではありません。
相関であり因果でもないため、測尺以外の要因(歩様や繋ぎの角度、成長スピード、測定時点の成長段階など)が絡んでいる可能性も十分あります。

長々とありがとうございました!

まとめ

  • シルク募集馬(n=1,094)の測尺中央値は体高154.5cm・胸囲175.0cm・管囲20.0cm・体重441kg。管囲は個体差が小さく、体重は個体差が大きい。あくまで相場感の目安であり、優劣を判定する基準ではない

  • 全クラブ(n=5,284)で測尺4項目と頓挫可能性率を比較すると、体重(26.3%→31.9%)を筆頭に胸囲・体高でも緩やかな右肩上がりが見られたが、相関係数はどれも+0.02〜+0.05ときわめて小さい

  • シルク限定(n=902)で同じ集計をすると、この弱い傾向すら見えなくなり、ほぼノイズの範囲に収まった

  • 体高・胸囲・体重は互いに強く相関しており(r=0.67〜0.83)、実質的には「馬体全体の大きさ」という1つの軸に近い。管囲だけはやや独立性が高い

  • 管囲を実測cm幅の固定ビンで刻み直すと、勝ち上がり率・オープン以上到達率は21.0〜21.5cmをピークにした山型(そこを超えると下降)、頓挫可能性率は21.5cm以上でだけ跳ね上がる非対称な形が見えた

  • 細い側(19.0cm以下)は頓挫しやすいわけではないが勝ち上がり率45.6%対58.8%とはっきり見劣りし、太すぎる側(21.5cm超、n=183)は成績が落ちるだけでなく頓挫可能性率も上がる

  • 「細いとダメ」という俗説の向き自体は当たっているが、理由は故障のしやすさではなく素直な競走成績の差。「太すぎてもダメ」は成績・頓挫可能性率の両方で裏付けられた

  • 測尺の大小から頓挫リスクを読み取るのは難しいが、管囲だけは太すぎる極端な層(n=132・51とやや小さめ)に限り頓挫可能性率も上がっており、他の測尺と単純に同列には扱えない

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※本記事のデータはウマアイ -eye×AI-独自データベースの集計であり、特定の個体の成長・成績・故障リスクを診断・保証するものではありません。
頓挫の可能性フラグは公開情報等をもとにした参考記録です。


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