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世界一「正確」な時計と、人間の大雑把さ(日曜エッセイ)

※今回は「時間」の話です。
(ムダな時間です)
最後まで読んでも、何の役にも立ちません。


東京大学が

「100億年に1秒しかズレない時計」

を開発したそうです。

光格子時計というそうです。

最初にその数字を見たとき、
私は素直に思いました。

「すごい。」

科学って、
ここまで来たのかと。

100億年。

地球の年齢がおよそ46億年と言われていますから、
それよりも長い時間を見据えた精度です。

1秒も狂わせない。

研究者の執念には頭が下がります。

ここで私は、ふと疑問に思いました。

誰が見届けるんでしょうか。

100億年後。

「はい、今ズレました。」

と報告する担当者は、
たぶんまだ募集されていません。

いや、それ以前に、
説明書は残っているのでしょうか。

保証書は?

メーカー保証は1年なのか、
100億年なのか。

その頃には会社名も変わっていそうです。
(存在するのかという疑問も)

そんなことを考えていたら、
もっと不思議なことに気付きました。

人類は100億年に1秒しか狂わない時計を作ったのに、
その時計を使う本人たちは、

「だいたい5分前。」

「あと10分くらいで行く。」

「今週もあっという間だった。」

という、
驚くほど大雑把な感覚で毎日を生きています。

私は毎朝、
起きたら時計を見ます。

そして、

「まだ5分ある。」

と思っていたら、
気付けば出勤する時間です。

100億年に1秒の精度どころか、
5分単位で人生を見失いかけます。

人間って、
不思議です。

ここまで精密な道具を作れるのに、
時間の使い方だけは、
昔からあまり上手ではありません。

だからこそ、
時計はどんどん正確になっていくのかもしれません。

……でも私は、100億年後の1秒より、

明日の朝、
目覚ましを止めてからの5分のほうが、
よほど信用できません。

そして、1週間の短さにも愕然としている
土曜日の夜です。

正確な時間という
ムダな時間を使っていただき
申し訳ないやら有難いやら……。

(8がいない……)
(いなくても成り立つけどなんか寂しい)
(お刺身のツマみたいなヤツだったのかもしれない)


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