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【常に陰がやや勝った状態に保つ】

『人間学の勧め「恕」安岡正篤・孔子から学んだこと』著:下村澄



大学で中国語を履修したせいで無理やり書かされた読書感想文

中国の歴史や文化に大して興味がない。
なにか興味が持てそうな題材がないか考えた私は、高校の倫理の授業で習った「孔子」の教えに関する本でも読んでみようと思った。当時、なんとなく面白かった記憶があったからだ。

では論語を読もうとしたかと言えば、そうではない。大昔に孔子の弟子が残したとされる論語を今、不躾ながら 2026 年を生きている私が読んだところであまり刺さるとは思えない。もっと手っ取り早く、孔子の教えのいいところを掬い取って、生活で実際に活かせるようなことだけを教えてくれる本を求めた。短期報酬型の典型的な現代人ムーブである。こうして本屋を巡って見つけたのが、上記の本だ。


あらすじ


『人間学の勧め「恕」安岡正篤・孔子から学んだこと』は、論語の中に出てくる「恕」の実現に向けて、我々が実践すべきことを事柄を日々の生活を事例にして教えてくれる本だ。安岡正篤は日本の思想家であり、漢学に精通していて、国家社会において役立つ有力な人材の育成に力を注いだ人物だ。孔子の教えを現代で実践的に活用するための「活学」として説いたそうだ。なるほど期待できそうだ、ということで購入して読んだ。
内容を要約するとこうだ。 『 「恕」とは相手を許すという意味で、余裕ある人間は持っておくべきものらしい。でも余裕のある人になるには、自分自身が成長していないといけないし、自信を持てていないとダメだよね、だから「恕」を持つために必要なことを学ぼう。どうやら安岡正篤の「人間学」でも学べそうだぞ。今っぽくてとっつきやすいからそこから学ぼう。一章から六章まで教えをまとめといたよ。〜 一章から六章でありがたい話が書かれる』一章から六章まで様々な教えがあるが、私は三章の「本物の思考」が特に気に入った。この章では自己実現する上で大事になる考え方について書かれている

お気に入りポイント

私がこの章を気に入ったポイントは、「陰と陽」の一見して対に見える二要素を、互いに共存するものとしてどちらにも使い方があることを教えている点だ。陰と陽は表裏一体であるらしい。本文を引用させていただく。

物事の本質というのは、実は、陰にあることを知っておかねばなりません。本質である陰の裏打ちがあってこそ、陽は表面に出ることができます。 (p46 2 行目)
自分の内部の陰と陽のバランスを、常に陰がやや勝った状態に保つように心がけることが大切なのです。 (p46 5行目)


特に 5 行目の言葉はすごく私に刺さった。「常に陰がやや勝った状態に保つ」なんて目から鱗である。人間の本質は陰。(そうでないとそもそも孔子なんていらない)私は「やや」がこの言葉の肝だと考える。この具合が、陰のエネルギーを上手にプラスに変換するためのエッセンスだと思う。陰を少し残しておくことで、陽に敏感になり、謙虚に一歩一歩成長できるのだと思う。

クソなところ

だがしかし、この本はそこまで深い説明がされず、ダイジェストのようにポンポンと進む。テスト前のまとめノートを読んでいる感覚だ。だからもっと深く掘りたいと思ってもなかなか掘れずに終わって歯がゆい。

総評

総評してこの本は「恕」の実現に向けた人間学のすすめの表層をさらりと触る内容であり、 「一個一個の教えは興味深いが、深掘りする前に終わるために煮え切らない」というのが正直な感想だった。実際、『この教えはさっきの内容と矛盾しているのでは?』『それが大事な理由は説明しないの?』というようなツッコミどころも多かった。しかし、人間学への興味の導入に読むとすればいい入門書になると思った。


参考文献
「創設者・安岡正篤について - 郷学研修所」 https://kyogaku.or.jp/yasuoka/about.html

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