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家族会にとっての高次脳機能障害者支援法施行の意義〜「高次脳機能障害者支援法をいかに活用するか」座談会の補足〜 Part 2

 Part 1からの続きです。


法律の中身

 高次脳機能障害者支援法の法律の条文を仔細に眺めてみると、その多くは、この四半世紀の間、全国の当事者・家族・支援者が取り組んできた内容そのもの、すでにやってきたことが大半のように読めてしまいます。切れ目ないシームレスな支援、とか、専門機関の設置とか、相談体制・ネットワークの整備とか、なんとかかんとか。身も蓋もない言い方だけど追認でしかないわけ。もちろん、それらが完全に実現できたわけではないし、今、現在、それらの目標のために関係者は尽力しているわけだけれども、目新しい内容ではないよね。だから、今回の法制化にあたって、「何も変わらない。」と冷ややかに見ている当事者・家族も少なくない。

法律に盛り込まれた画期的な視点

 もちろん、今回記載された、ある意味画期的な視点もありますよ。それはたとえば行政による評価、例えばインクルーシブの概念。
 従来、地域によっては行政は高次脳機能障害支援を現場の支援者に丸投げ、行政が行政としての当事者意識を持っていないところもあったんです。今回の条文には行政が支援施策の進捗を評価し改善することが求められています。PDCAサイクルとしての書き方になっていますが、要は、「行政が行政としての責任を果たすこと」を法律が規定したって点が非常に大きな進展だと思います。
 もう一つ。インクルーシブ概念の明記。障害者雇用促進法の法定雇用率を満たすために、農園出向とか特例子会社設立とか、本来インクルーシブな就労環境を目指したはずの雇用促進法がむしろ逆に、社会からの障害者の”隔離”を推進してしまっている現在の日本の社会の障害者の就労環境の現状を鑑みると、高次脳機能障害者支援法にインクルーシブの概念が明記されたことは大きな意義があると思います。
 とはいえ、これらの視点は理念法としての側面が強く、上で述べた、支援内容の充実という点では新たな支援策を具体的に提示しているわけではないので、具体性を欠いていることに違いはありません。

器はできた

 以上の話を(いささか乱暴ではありますが)まとめると、今回の高次脳機能障害者支援法の成立の意義は、法制化そのものが最大の意義であり、おそらく全国の当事者家族が求めている支援内容の充実という観点については具体性を欠いているということになるでしょう。
 やや飛躍しますが、現状は、法律という器ができたが、その中身がまだない状態と言えるのではないかと思いますがいかがでしょうか。

 器はできた。では、その内容、器の中身は誰が盛るのか?
 それは私達、当事者であり家族です。
 ここまで述べてきたように、法制化により、私達は要求する権利を得ました。社会=行政は法という判断基準に基づき、私達の要求に応える義務があります。私達は要求する権利を行使できることになったのです。これは私達が、要望を実現するための手段あるいはツール、いわば強力な武器を手にしたことを意味します。この点が私達家族会にとっての、法制化の意義と言えるかと思います。

 Part 3へ続く。

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