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家族会にとっての高次脳機能障害者支援法施行の意義〜「高次脳機能障害者支援法をいかに活用するか」座談会の補足〜 Part 5

 Part 4からの続きです。


自ら主体として作り上げる

 家族会は自然現象ではありません。いつの間にか生えてきたわけではない。必要があって、当事者・家族が立ち上げたのです。
 本来必要なシステムが、従来の枠組みの中に存在しない。必要である以上、なければ作るしかない。そもそも高次脳機能障害という概念がそれまで存在しなかったのですから、高次脳機能障害にまつわるすべてが、”存在しないもの”だったのですね。
 当事者団体家族会に限らない。教科書がない、マニュアルがない、だったら作ろう。訓練課題集がない、なければ作ろう。そのようにして一つ一つ、手作りで作り上げてきたのが高次脳機能障害支援の歴史です。

ないものは作ればよい

 今では想像しにくいかもしれませんが、筆者の子供の頃はまだ、必要なものが手に入らない(ない、あるいはあっても高価)、そんなとき、自作するのが一般的でした。当時はラジオもステレオも天体望遠鏡も、皆、自作に励んだものです。以前アップした加藤先生の軽バイオリンの製作・普及活動も、その根っこには、「必要なものは自分で作る」という自作、DIYの考え方があるのだと思います。
 大抵のものは商品として手に入る現在では、大量生産される商品のほうが一つずつ手作りする自作品よりも遥かにローコスト(手間も時間もお金も)に入手できることもあって、自作という発想自体、今となっては流行らないかもしれません。
 とはいえ、高次脳機能障害支援なる商品が存在するわけではない(いずれビジネスとして登場するかもしれないけど)。ないからと言って、誰かが与えてくれるのを待っていても、何も解決しません。既存のフレームワークにないのであれば、自ら主体的に動いて作り上げていく姿勢こそが大切だと思うのです。
 高次脳機能障害者支援法という強力なツールを手にした私達は、権利の行使主体として自ら活動していきたいですね。

”法”を知る

 この強力なツールを使いこなすために、ここに少し触れたような、”法”についての理解を深めることも必要でしょう。
 2025年4月、高次脳機能障害の支援に関する議員連盟が発足、12月に支援法成立、今年2026年4月施行と、この一年間ほど、支援法をめぐる動きが一気に進みました。それに呼応するように学会、講演会など支援法をテーマにしたイベントが行われました。これらの講演では、当然ながら法律の内容、高次脳機能障害の来し方行く末が議論されました。
 一方、法という概念そのものについてはメインテーマとして挙げられて来ませんでした。この点は従来、高次脳機能障害の講演などで法曹関係のテーマの場合、交通事故の係争についての解説などが主で、法概念そのものについて議論される機会はほとんどなかったように思います。

法律家からの提案

 とすれば、私達は法という概念そのものについて、まだよく知らないままだと言えるのではないでしょうか。法律というツールを使いこなすために、法律について知る必要があるのではないか。
 皆さんよくご存知の福祉に関わる有名な民事訴訟を勝訴に導かれた、ある高名な弁護士の先生から、高次脳機能障害に関わる皆さんのために、法律についてのお話をするとよいのではないかというご提案を頂いているのです。法律の専門家の視点からも、当事者・家族・支援者が”法律ということ”について正しい理解をもつことが大切だとのお考えがあるのだと思います。
 高次脳機能障害に関わる法的場面は何も交通事故の損害賠償だけにとどまるものではないでしょう。「ミカちゃん裁判」を持ち出すまでもなく、就労場面でも当然、法律は関わってきます。そもそも社会による障害者支援がなされるべき法的根拠、それを支える思想、ひいては人権という概念そのもの、すべて法にかかわり、かつ、私達の日常生活に直結する問題です。
 今年も例年通り、全国各地で家族会主催の高次脳機能障害リハビリテーション講習会が開催されるかと思います。また各家族会ではそれぞれ勉強会を開かれると思います。その際、講習会、勉強会のテーマとして「法」はいかがでしょうか。

 高次脳機能障害者支援法の施行を機に、法そのもの、法という概念について学ぶことができれば、それもまた、法制化の意義の一つと言えるでしょう。

 Part 6に続く、のか?もういいって?

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