カワイイは、怖い。──増田セバスチャン個展【KAWAIITOPIA】と〝Colorful Rebellion〟
増田セバスチャンの個展【KAWAIITOPIA】を見に、ハイパーミュージアム飯能まで足を運んできた。

高校生の頃から増田セバスチャンを知っていた私にとって、今回のKAWAIITOPIAはちょっと特別な個展だった。



会場に入ると、そこかしこに色が溢れている。
でも、ただ「カラフル」なだけではない。作品ごとにテーマとなる色やモチーフが違っていて、見ていて本当に飽きない。

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増田セバスチャンのことは高校生の時に知り、2011年発売の自伝『家系図カッター』を発売当初に買って何度も読み直しては夜中にクッソ泣いてた。原宿の神様みたいなオトナの人も、私みたいに機能不全家族のなかで育ったり酷い仕打ちを受けたりしていたんだって。
きゃりーぱみゅぱみゅのアートディレクターとしてしか知らなかった彼は、実は壮絶な生い立ちの持ち主だったのだ。
チープな言葉で言うといわゆる毒親育ちだったことや、妹がリスカをしていたことなどを知った。

そして寺山修司の作品との出会いが彼を変えたのも自分と重なりまくった。家系図カッターについては別記事でじっくり書こうと思う。
で、2019年の六本木での個展の時やその他トークイベントにも私は何度か参加してて、実際に何度か増田氏にはお会いしたことがある。常に実験的で面白い表現を追い求めている彼の姿勢は、さながら現代版・寺山修司のようだといつもそう思う。
少し熱く語りすぎた、すまん。話をカワイイトピアに戻す。
私が本個展【KAWAIITOPIA】で特に惹かれた作品は勿論、目玉展示である「Colorful Rebellion」である。



増田セバスチャンにとってカワイイとは。著書『世界にひとつだけのカワイイの見つけ方』によればそれは「自分の中に誰にも邪魔されない小宇宙をつくること」だそうだ。
ちなみにcolorful rebellionというのは私が小中学生だったか、増田氏のブランド【6%DOKIDOKI】での憧れのショップガール(ロクパーでは店員のことをそう呼ぶ)がいた頃から、ロクパーのタイツの柄の名前にもなっていたな。
つまり、昔から一貫して彼の表現したいことの軸みたいなものがこのcolorful rebellionなのだと思う。直訳すると「色彩の反抗」。
喜怒哀楽。幼少期の満たされなさ。それでも自分の殻を破りたい…。色々な感情の渦が、荒波が押し寄せてくるかのような圧倒的かつ暴力的までの、見渡す限りの色。色。色。
このまま吸い込まれてしまうんじゃないかって恐怖を感じるほどのカラフルさだ。
カワイイものも沢山集まりすぎると人は恐怖心を覚える。不思議の国のアリスのように、可愛らしい世界観の裏には毒気ありというのも最早半分必須事項だ。
陰の黒と陽のピンクやパープル、イエロー。その全てを混ぜ合わせたものこそ、真の〝カラフル〟なんじゃないか。そのように私は思う。
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増田セバスチャンのKAWAIIは、嫌なものや悲しいものを排除して作る〝カワイイ〟ではない。
むしろ怒りも悲しみも寂しさも、全部ひっくるめて自分の中にあるものを、色と形にしてしまう。だからあんなにも鮮やかなのに、怖い。そして、その怖さがあるからこそ私は惹かれるのだと思う。
高校生の頃に『家系図カッター』を読んでクソ泣いていた私も30歳になった今、こうして自分の言葉で文章を書いている。
増田セバスチャンが「自分の中に自分だけの小宇宙をつくること」をKAWAIIと呼ぶのなら、私も私なりの小宇宙を作っていきたい。
今日、飯能まで行ってよかった。
そんなことを思いながら、私はもう一度、あの色だらけの空間を心の中でギュッと抱きしめるのだった。
