日本映画「箱の中の羊」
主演:綾瀬はるか、大悟(千鳥)、桒木里夢
2026年 127分
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★★
(写真=『箱の中の羊』公式サイトより)』
ちょっと思うところあり、今年になって是枝裕和監督の映画を数本観てみた。デビュー作の『幻の光』、ARATA様主演の『ワンダフルライフ』、そして本作だ。
最初の2本は感想記事は書いていないが、本作は色々と興味深い点があったので、記事を書いてみることにした。
死んでしまった息子の代わりのヒューマノイド
息子を亡くして2年、建築家の音々と工務店の二代目社長を務める健介の甲本夫婦は、息子・翔の姿をしたヒューマノイドを迎え入れることになる。
彼が到着した日、「おかえり」と駆け寄り喜びを隠さない音々と、戸惑いを隠せない硬い表情の健介。
「パパだよね」と問いかけられた健介は、「おじさんでええよ」と答えるのだった。
少しずつ動き始める家族の時間。静かに広がっていく波紋。
ほどなく予期せぬ事態が起こり、夫婦がそれぞれに抱く息子の死への想いが露わになっていくのだった。
夫婦とは?家族とは?彼らは大きな決断に迫られる。
そんな中、ヒューマノイド翔は密かにヒューマノイドの仲間たちとつながり始める──。
ヒューマノイドは本当に人間の代わりになれるのか?
考えさせられるテーマが盛り込まれていた
本作を見たかったのも、ヒューマノイドがテーマの一つだったから。ヒューマノイドといえば、最近個人的に最も印象深かった作品はこちら。
監督のインタビュー動画を見たが、本作のヒントになったのは、中国におけるヒューマノイドとして死者を蘇らせるサービスをしているビジネスだったそうだ。実際にそこの社長にインタビューをし、色々と話を聞いたらしい。
確かに、私が上記の中国ドラマを観たのも3年前で、そこではすでにヒューマノイドで埋め尽くされている未来が描かれていた。
それだけ発展の速いテクノロジーおよびビジネスなのだろう。
もし私が子供を亡くしてしまったら、ヒューマノイドの代わりを欲するだろうか?あまり考えたくないが、もし迎えるとしたら、今のティーンエージャーの姿ではなく、5歳ぐらいの頃がいいな。あの頃は可愛かったな。
おっと危ない。ここですでに人間のエゴというのが現れているのである。子供の代わりといっても、自分に都合のいい部分だけをヒューマノイドで再現したいだけなのだ。泣き叫んでいるところではなく、「ママー」って可愛い声で呼んでくれるのを聞きたいだけなのだ。AI美空ひばりだ。
しかし、本作のテーマはヒューマノイドだけではない。甲本夫妻のグリーフワークである。というか、これにうまくヒューマノイドを利用していたと思う。
彼らはヒューマノイド翔を迎え入れたことによって、自分たちにも向き合い、やっと息子の死を受け入れることができたといえる。
アジアではこれからも増えそうなビジネス
このヒューマノイドを製作するビジネスをしているのが「RE-birth」社。説明会から修理まで、なかなか現実味があり、本当にどこかにこういう会社がありそうな気がしてくる。
ちょっとの出番だけだったけれど、ヒューマノイドを修理するエンジニア役の中島歩はやっぱり印象的。彼らしい役割で、とっても良かった。
この死んでしまった人を再現するビジネスであるが、これはある意味、アジアでより需要があるような気がする。監督も言っていたが、やはり日本ではお盆のような「先祖の霊を迎える」行事もあるからなのかもしれない。
西洋だと天国か地獄に行ってしまった人たちに戻ってきて欲しいとは思わないのだろう。
そう言えば、この映画のビジネスも、ある意味共通点がある。
死んでしまった人をAIで再現し、通信できる電話アプリだが、こういうアイデアが出ること自体、やはり需要があるからなのだろう。これからも色々な形のものが出てきそうである。
AIやヒューマノイドというと、ちょっと前まではSFの世界のことのようだったが、もはや人間の世界とももう境界線がなくなってきているのかな。
noteの記事もAIに書いてもらっている人も多いみたいだし。

本作はテーマが分散し過ぎていて、どうやら作品としてはあまり評価が高くないようだが、個人的には『そして父になる』や『万引き家族』より印象深かった。
また配信されるようになったら、もう一度観たいかもしれない。
こちらが予告編。
