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​布団の中の世紀の大発明→「いいアイデア」を思いついただけで満足していませんか?  画餅(がびょう)の罠と、世界を変えるたった一つの方法


「布団の中で思いついた最高のアイデア」という誰もが経験する日常の「あるある」から始まり、ビジネスの厳しい現実、そして仏教の「実践」の教えへと深く繋がっていくコンテンツです。

​アイデアという「頭の中の妄想」から抜け出し、現実を一歩踏み出すための勇気と癒やしを与えるものです。




布団の中で消えていく「画期的なアイデア」たち

まどろみの中、温かい布団に包まれている時。ふと「これだ!」という画期的なアイデアを思いついた経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

「これは世界を変えるかもしれない! でも、まあ起きてからメモすればいいか……」と安易に考えて二度寝に落ち、次に目が覚めた時には「あれ、さっきの最高の思いつき、何だっけ?」と完全に記憶から消え去っている。


​あの時の「メモしておけばよかった!」という強烈な後悔。

しかし面白いもので、それを予期して枕元にメモ帳とペンを常備するようになると、今度はパタリと「世紀の思いつき」がやってこなくなるものです。


​私たちはよく、「あの時のアイデアさえ忘れなければ、今頃大成功していたかもしれないのに」と嘆きます。しかし、それは本当でしょうか?


厳しい現実を言えば、「世界で初めての画期的な思いつき」だと自分が興奮しているアイデアのほとんどは、すでに世界のどこかで、他の誰かが思いついているものです。


​私たちが本当に直面すべき問題は、「アイデアを忘れてしまうこと」ではありません。「素晴らしいアイデアさえあれば成功できる」という思い込みそのものです。

本当の勝負は、その思いつきを現実の世界に引きずり出し、泥臭く実行してみて初めてスタートします。そこまで進んで、ようやく「周りの景色」が見えてくるのです。



航平の「ブルーオーシャン」と、コンサルタントの言葉

会社員の航平(こうへい)は、「いつか自分の事業を起こしたい」と熱い野心を抱いていました。

ある朝、布団の中でまどろんでいた彼は、ついに「これだ!」という画期的なサービスのアイデアを閃きました。今度こそ忘れまいと飛び起き、夢中でノートに書き殴りました。

​(間違いない。これはまだ誰も手をつけていないブルーオーシャンだ!)

興奮冷めやらぬ航平は、知人のツテを頼り、新規事業の立ち上げを支援しているベテランコンサルタントの柳田(やなぎだ)に会いに行きました。


​カフェの席で、航平の熱弁を静かに聞いていた柳田は、ふっと優しく微笑みました。

「素晴らしいアイデアですね。目の付け所がとてもいい」

その言葉に航平がパッと顔を輝かせたのも束の間、柳田は静かにコーヒーカップを置き、こう続けました。


​「でも航平さん。実は私、ここ1年の間に、あなたとほぼ同じアイデアを別の3人から聞きました」

​「え……?」

頭を鈍器で殴られたような衝撃を受ける航平に、柳田は穏やかなトーンで語りかけました。


​「アイデアを思いつくのは、思いつかないよりずっと素晴らしいことです。でもね、『思いつく人』が1万人いたとして、それを実際に『形にする(行動する)人』は100人しかいません。さらに、それを諦めずに軌道に乗せ、『成功』と呼べるまで発展させられる人は、たったの1人かゼロです。


新しいビジネスモデルは確かに画期的で、ブルーオーシャンに見えるでしょう。でも、そこへ漕ぎ出すための船を作り、嵐に耐えて航海を続ける人がほとんどいない。これが、現実なんです」

​「僕だけの、世紀の大発明じゃなかったのか……」


肩を落とす航平。しかし柳田は、航平のノートを指差して言いました。

「落ち込むことはありません。誰も思いつかない魔法を探すのはやめましょう。あなたが今持っているその種を、誰よりも早く土に埋め、泥まみれになって水をやれるかどうか。あなたの価値は、頭の中ではなく、その『手と足』にあるんですよ」



『画餅(がびょう)』 描いた餅では、お腹はふくれない

「自分だけの特別なアイデアだと思っていたのに」

「結局、行動力のある一握りの天才しか成功しないのか」

​そんな風に自信を失い、立ち止まってしまいそうになる私たちへ。禅の教えに、「画餅(がびょう)」という非常にストレートで本質的な言葉があります。

鎌倉時代の道元禅師が残した言葉で、文字通り「絵に描いた餅(おもち)」のことです。


​どれだけ精巧で、美味しそうな餅の絵を頭の中で思い描いても、現実のあなたのお腹を満たすことは決してありません。

布団の中で思いついた画期的なアイデアも、ノートに書き出した完璧なビジネスプランも、実行に移さなければすべて「画餅」です。


​仏教は、頭の中で哲学的な宇宙の真理を「理解する」ことよりも、目の前のゴミを拾い、呼吸を整え、今日を生きるという「実践(行=ぎょう)」を何よりも重んじます。お釈迦様も、「頭で考えるばかりで行動しない者は、毒矢が刺さっているのに『この矢を射たのは誰か』と議論しているようなものだ。まずは矢を抜け(行動せよ)」と説かれました。


​あなたが思いついたアイデアが、他の誰かと同じだったとしても、全く問題ありません。むしろ、それは「ニーズがある」という証明です。


アイデアの「目新しさ」に執着するのを手放してみませんか。


​布団の中でアイデアを忘れてしまっても、「まあ、縁がなかったんだな」と笑って手放せばいいのです。

そして、今あなたの目の前にある小さな思いつきを、不格好でもいいから「形」にしてみてください。頭の中で完璧な絵を描く時間を減らし、実際に泥をこねて、本物の餅を作ってみるのです。


​その一歩を踏み出した時、あなたの目の前には、布団の中では決して見えなかった「本物の景色」が広がっているはずです。焦らず、あなた自身のペースで、一つずつ形にしていきましょう。




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