【超訳】杜牧「江南春」
晩唐・杜牧の七言絶句「江南春」(江南の春)は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた江南(長江下流域)の春景色を歌った詩である。南朝(宋・斉・梁・陳)は、貴族文化が栄えた華やかな時代で広く仏教が信仰されていた。多くの寺の堂塔が霧雨に霞んで見えるさまは、空間的・絵画的なぼかしだけでなく、遠い過去の南朝の風景を彷彿とさせる時間的・歴史的なぼかしも効かせてる。
千里鶯啼緑映紅 千里 鶯啼いて 緑 紅に映ず
水村山郭酒旗風 水村 山郭 酒旗の風
南朝四百八十寺 南朝 四百八十寺
多少樓臺煙雨中 多少の楼台 煙雨の中
千里四方 ウグイスが鳴き 照り映える 新緑と赤い花
水辺の村 山沿いの村 春風にはためく 酒屋ののぼり
かつて 南朝の時代 建ち並んでいた 四百八十の寺院
幾多の堂塔 今も霞んで見える 煙るような霧雨の中に
