見出し画像

【読書感想】遠野遥『教育』

読み進めるうち、なんだか既視感を覚えた。

あ、これ『約束のネバーランド』と似てるかも……

私の知っている範囲だと、類似するものがこれしかなかった。
孤児院の物語かと思いきや、子どもを食べる人種に支配されている世界を描いた漫画。

タイトルやあらすじ、帯を見て購入したが、まさかディストピア小説だとは思わないじゃないですか。

成績向上のため、一日三回以上のオーガズムを推奨する全寮制の学校で、念力テストや授業、翻訳部の部活動に励む私は、ある日、友人の真夏に恋人ができたのを知って――。
勝てば天国、負ければ地獄の、規律と欲望が渦巻く閉鎖空間。

正直あまり読んでいて心地いい話ではないながら、結末はどうなるんだろうと気になって、3日で読み終わった。
ぼんやりとした、思わせぶりな雰囲気でエンディング。
暗喩がいろいろと含まれているが、それらもよくわからないまま終わった。
いや、それを読み解くのも読書の面白みなのかもしれないが……
ディストピアな作品にあまり触れることがないのだけど、良い方向か悪い方向かくらいは明かされるものかと思っていたので、なんとなく悪い方なんだろうなあという方向で終わるのは、普通なんだろうか。

巻末の解説で本文にない設定に言及されるのも、あまり納得がいかなかった。
普通は読み解けるものなのだろうか。

自分で想像に励むのもアリなのだけれど、正直、あまり考えたくない。放棄。
全寮制学園モノ、と言えなくもない。
その中でオーガズムを推奨されるという特殊空間。
それが物語にどう作用するのだろうか、というわくわくでこの本を買ったのだが……
これが裏目に出た。
当たり前なのだけど、性生活と切り離せない物語だ。
青少年に、個人の自由のはずの性行為を推奨するのは、物語の芯ではあるものの、私にとってはあまり気分のいいものではない表現も多々あり。

冒頭に挙げた『約束のネバーランド』と比較するとすれば、主人公。
主人公・勇人は、この特殊な空間に適応し、支配者の望む方向へ成長していく。
一方、女友達の真夏は、この空間の歪みに気づいている。その中で自己表現をしようと足掻いている。
主人公は、世界に順応していき、成績をあげて進級する。一方、真夏は落第する。落ちた友人から、勇人の心が離れていく。

この世界に順応することを無意識に選ぶ主人公の男子が、この世界への暗喩なのだとしても……
読後感がいいとは言えないし、もやもやが残る。
エンタメ小説ではなく、文学小説とすれば、この作品は良作なのだろうか。
褒め称える解説を読んでも、同意はできなかった。

まあ、そんな約束のネバーランドも、途中で怖くなってしまって読むのを辞めたため、ディストピアモノに向いてないかもしれない。

そんな煮え切らない気持ちで、本をブックオフ行きの紙袋に入れた。

いいなと思ったら応援しよう!