トランプ大統領がエフー王に重なる理由
今日は、日曜日。礼拝を献げ、その後のお昼の時間、教会のメンバーから、「トランプ大統領が、銃撃されそうになったニュースが流れていますよ」と知らせてくださり、すかさず見ました。何度も、会場で銃声の聞こえる動画が、SNSで流れてきます。
そして帰宅して、会場の服装のまま記者会見をしているトランプ大統領の様子を見ました。
本当に無事で良かった、と思いましたし、また、同じく記者たちも晩餐会に招待を受けた人々ばかりで、彼らも正装のまま質問しています。すべてが、とっても良い質問、適切なものばかりで、同じ空間を共有していたからでしょうか、またはプロ意識が良く表れていると思います。
イスラム思想研究者の飯山陽さんが、早速NOTE記事でまとめています。
この記事で、彼女がトランプ氏のことを高く評価しているのは、「政治家がこれまで踏み込めなかったこと、責任逃れをいつでもできそうなことを、彼はぶれずに成し遂げている」ということです。
イランへの軍事作戦なんて、「前例踏襲」をしていればする必要などないのです。イランは核兵器をつくる気なんてないと言っているのだから、「前例踏襲」でそうだそうだと言っておけばいい。ニヤニヤしてイランと手を結び、じゃあ核開発しないでねと口約束して制裁を解除しておけばよかったのです。そしてイランが核兵器をもったときに、だってイランはそんなつもりないといっていたんだからと言い逃れすればいい。そう、歴代のアメリカ大統領と同じように。そして、彼らが北朝鮮の核武装をみすみす見逃したように。
でもトランプやそうしなかった。
世俗の政治権力者が、聖書的価値観を反映した政策を実行
ところで、今、日本でのマスコミ界隈では、「福音派が、トランプ政権に影響を与えている。対イラン戦争については、福音派の終末論が影響を与え、ハルマゲドンをもたらそうとしている。」という、トンデモ福音派陰謀論が出て来ています。
それで、私みたいなキリスト教会の牧師、福音派の牧師がトランプ大統領のしていることを支持するような発言をすると、怒りだす人々がいます。そのことについて、すでに以下の記事で反論しています。
そして、ユーチューバーでキリスト教会の指導者でもある、高原剛一郎さんも、受け取った手紙に応答する形で、トランプ支持について、キリスト者としての応答を、一つ一つ、根拠を出しています。
私も、彼と根拠が同じです。すなわち、①トランプ大統領は、クリスチャンではない。②しかし、聖書の価値観に沿う政策を次々と打ち出している、ということです。
私の教会に、自由主義研究会というリバタリアンという経済思想の普及に努めている団体の、マット・ノイズさんがいます。彼は、12歳から政治の保守運動に携わり、チャーリー・カークの創設したTurning Point USAの支部も立ち上げ、共和党の活動には深く関わっていた、いわば「当事者」です。
かつ、純粋な福音的信仰、聖書信仰を持っているクリスチャンとしての、彼の意見であります。
福音派がなぜトランプを支持していたのか、とよく聞かれます。トランプはキリスト教徒とは思えないし、聖書とは異なる価値観を持っています。例えば、同性婚やトランスジェンダーにも肯定的で、中絶にも賛成ですし、汚い言葉を使ったり、過去に不倫もしていました。… https://t.co/cmQhM4LJYE
— Matthew Noyes (マット・ノイズ) (@matt_noyes_) April 18, 2026
福音派がなぜトランプを支持していたのか、とよく聞かれます。トランプはキリスト教徒とは思えないし、聖書とは異なる価値観を持っています。例えば、同性婚やトランスジェンダーにも肯定的で、中絶にも賛成ですし、汚い言葉を使ったり、過去に不倫もしていました。
しかし、そうしたトランプの欠点を見ると同時に、オバマの民主党がキリスト教徒に対してどれほど敵対的だったか、政府の力を使ってどれほど差別してきたかを理解する必要があります。トランプは決して福音派の「身内」ではありませんが、オバマ政権のように積極的にキリスト教徒の信仰の自由を攻撃してこなかったという点は、福音派にとって非常に大きかったのです。
私も、以下の記事で、この件について述べました。
現代のペルシア王キュロスか?
高原さんは、先の動画の中で、異教徒なのに、神のみこころを行った人物として、ペルシアのキュロス王を挙げています。同感で、私自身、上の記事で述べたように、聖書を神のことばとして信じている、保守的な福音派のキリスト者には、トランプ氏について、多くがキュロス王のことを思っていることを書きました。
さらに深堀りをしたいと思います。私は、「世俗の政治権力者が、神のみこころにかなうことを行う」例として、キュロス王をあげるのは適切だと思います。
しかし、キュロス王は、ゾロアスター教というユダヤ人の信仰とは異なる異教徒であったのに対して、トランプ氏は、少なくとも文化的にはキリスト教徒を名乗っています。けれども、福音については、まだ理解ができていないと思われます。
キリスト教文化を受け継ぐ指導者
そういった人で、聖書に出て来る人物で、北イスラエル王国の王エフーがいます。彼は、南ユダ王国も含めて広範囲に全イスラエルに広まった、だれもが取り除くことのできなかった、バアル信仰を、ことごとく除去し、洗浄したのに用いられました。しかし、彼自身は、北イスラエル王国が初めから陥っていた、ヤロブアムの罪から離れることができなかったのです。
トランプ大統領は、これまで政治家が正しいと分かっていているのに、手をつけてこなかったことに、ことごとく手を付けていきます。そして、その悪いものを除去していっています。米国内の問題もそうですし、外交もそうです。
中東情勢を注視してきた者たちにとっては、アブラハム合意という、イスラエル建国以来続いてきた、イスラエル・アラブ紛争を完全に終結させる合意の仲介を果たしました。そして今、世界一のテロ支援国家である、イラン・イスラム現政権の核兵器保有の一歩手前で、それを除去するべく実行に移し始めたのです。
彼はまだ、イエスを真実な意味で主として受け入れていません。また、(彼が原因だとは思いませんが)彼を取り巻く世界が、分断や混乱が起こっています。それで、彼が大統領職から降りた後の世界が、どうなるのか?という一抹の不安があります。それは、ちょうどエフー王朝が、最後に、繁栄してから(ヤロブアム二世の時代)一気に衰退し、北イスラエル王国が滅んだという教訓があるからです。
エフー王が出てくる前まででの経緯
イスラエルが選ばれ、神が彼らの前に天からシナイ山に降りて来られた時、神は、「わたし以外に、他の神々があってはならない」と命じられました。
しかし、イスラエルの民はすぐに偶像礼拝に陥ります。それが四百年ぐらい続いて、主が、預言者サムエルを起こし、次にダビデ王を選ばれました。そして、イスラエル王国が立てられ、その息子がソロモンです。非常に繁栄し、平和に満ちました。ところが彼は晩年、あまりにも多くの女と結婚し、その異邦人の女がそれぞれの出身の国から持ち込んだ神々を、こともあろうに拝み始めたのです。
それで主は、ソロモンの死後、イスラエルを北と南に引き裂きました。北の十部族の初代王、ヤロブアムは政治的には優れていたかもしれませんが、霊的(信仰的)には堕落していました。「エルサレムに神殿があり、それは南ユダ王国にあるので、このままイスラエル人が礼拝しにエルサレムに行くならば、心がそっちに寄ってしまうかもしれない」と恐れて、それで、北イスラエルの南端ベテルと、北端ダンに、それぞれ金の子牛を造りました。これは、イスラエルがかつていたエジプトで拝まれていたものです。そして、勝手に祭司たちも立てていき、それで、「主(イスラエルの神、ヤハウェ)を拝みなさい」と言ったのです。
それから、北イスラエルの王たちは、この罪から離れることはできませんでした。
不従順の罪から、意図的な背教へ
彼らは、曲がりなりにもイスラエルの神をあがめていました。偶像を使っていますが、自分たちが信じているのはヤハウェ神であると知っていました。ところが、イスラエルの暗黒時代がやってきます。それは、アハブ王が、シドンから嫁イゼベルをもらい、イゼベルがバアル神をイスラエルに持ち込んだのです。これは、全くの異教の神であり、イスラエルが背教していったのです。
分かりやすく喩えれば、欧米がキリスト教の伝統を持っていたのに、その倫理観から離れてきただけでなく、イスラム教が持ち込まれて、イスラム教の国になりかけている、といった危機です。
それで主は、エリヤという預言者を立てて、彼は全くひるむことなく、アハブに対峙して、預言していきました。数百人ものバアル神の預言者と、たった一人で、対峙して、霊的に勝利したこともあります。しかし、バアル信仰は残ったままでした。
対して、南ユダ王国は、ヤハウェ神から離反、また偶像礼拝は、あからさまには犯しませんでしたが、それでも高慢になったりして、主から離れるという王たちはいました。しかし、主に立ち返るように国を運んでいった、善王たちも現れました。
致命的な過ちを犯した善王
その一人が、ヨシャファテと言います。(Ⅱ歴代誌17‐20章)彼は、主を愛して、主の教えを国中に広めて、国は繁栄しました。他の王のように、高慢になることもありませんでした。ところが、彼には分裂してしまった、北イスラエル王国との和解を強く願いました。しかし相手は、主なる神を憎んでいる悪王です。
「ヨシャファテには富と誉れが豊かに与えられたが、彼はアハブと姻戚関係に入った。(Ⅱ歴代18:1)」とあります。こともあろうに、アハブと姻戚関係に入ります。このことで、あやうく自分自身も殺されかけ、その後に、預言者によって「悪者を助け、主を憎む者を愛するというのですか。」と叱責を受けます。
ここで大きな教訓を得ます。主を愛して、かつ平和を愛していても、悪との交わりがあってはならないということです。自分自身は高潔を保っていることができたことでしょう、けれども、父として、国王として、その懐柔的な和平が、どれだけ恐ろしいことをもたらすか、想像できなかったようです。
ヨシャファテの息子ヨラムは、他のヨシャファテの息子たちを殺し、バアル信仰を南ユダ王国に取り込んでいったのです。それは、「アハブの娘が彼の妻だったからである。(21:6)」とあります。彼の死後、彼の息子アハズヤが王となり、彼もバアル信仰に陥っていました。
体裁を全く気にしない改革者
そこで、預言者エリヤの後継者、エリシャが自分の若い者に、北イスラエルの将軍エフーに、油を注ぎに行きなさいと言いつけます。その若者の預言者が将軍に油を注ぐと、部下たちは彼を王として迎えます。
それから、エフーはただちに、血相をかけて、猛烈なバアル信仰排除を行っていくのです。ぜひ、列王記第二9-10章を読んでいただきたいです。
エフーは、自分の主君、アハブの子ヨラム王に謀反を起こします。彼は、次々と部下たちや仲間を味方につけて、気が狂ったように馬を爆走させ、一気にヨラムを殺します。たまたま、ユダの王アハズヤがヨラムのところにやってきていたので、速やかに彼も討ち取ります。
そして、イスラエルにバアル信仰を持ち込んだ張本人、イゼベルに対しても、彼女のすぐそばにいた人々に、エフーは「私にくみするものはいないか」と声かけて、彼らは彼女を窓から投げ落としたので、彼女を突き落としました。犬によって食われたので、頭蓋骨と手足しか残っておらず、それがかつて預言者エリヤが語ったとおりになりました。
そして、イスラエルの都サマリアに手紙を送り、王の子どもたち七十人を、王に仕える者たちはすべて殺し、首のいくつかをエフーに持ってきました。
そして、エフーは、南ユダの王アハズヤの身内の者たちも殺しました。
さらに、すべての民を集めて、「私は大いにバアル信仰をするから、預言者たちも、信者たち、祭司たち、皆集まれ」と言って、バアル神殿で集会を催させました。そして、神殿に彼らが全員入ったら、片っ端から惨殺しました。
そしてその神殿を打ち壊し、「これを便所とした(10:27)」としています。驚くほど徹底的に、彼はバアル信仰をイスラエルから根絶やしにしました。
改革の断行者は、自身を改革できなかった
彼は、かつてエリヤが預言したことを、自分が実行する者として油注がれていることを自覚していました。これまで歴代の王が、手をつけられなかったこと、しかもヨシャファテの融和政策によって南ユダまで及んだ、危機的状況が、彼の手によって救われました。
ところが、彼自身は、これまでのイスラエルの王たちと同じように、初代王ヤロブアムの罪、すなわち金の子牛を拝む罪からは離れられなかったのです。それでせっかく改革しても、結局、アッシリア帝国によって北イスラエルは、滅ぼされるのです。
トランプ大統領は、第一期の時、「Drain the swamp(沼から水を引く)」という政治スローガンを掲げました。それは、「ワシントンD.C.の汚職や既得権益(政治的ヘドロ)を一掃する」という意味です。第二期になっても、その基本路線は変わらず、むしろ、もっと徹底していると思います。
民主党、共和党関係なく、表面的にはきれいに語る政治家が圧倒的に多い中で、「みんながやらないといけないと分かっていながら、手を付けたら泥だらけになってしまう」という恐れがあって手を付けられなかったところに、手を付けているというのが、トランプ氏の政治手法です。
対イラン戦は、まさにその一つです。
トランプ大統領だけでは限界がある
多くの改革や変革が行われていると思います。でも、反作用もそれだけ大きいでしょう。米国に広範囲に広がっている、ヤロブアムの罪、つまり「神をあがめているといいながら、偶像礼拝をしている」というところは、これからも残るでしょう。
彼の亡き後、これらの改革が持続するのか?ということが心配です。そして、キリスト者として大事にしていることが、トランプ政権の下でかなり守られていることはうれしいですが、その反動も大きく来るのではないか?と思います。
結局は、キリスト者自身が、しっかりと信仰に立って、頼るべきは国の指導者ではなく、主ご自身であり、御霊によるのだということを身を引き締めていないといけないと考えます。
「権力によらず、能力によらず、わたしの霊によって。」と万軍の主は仰せられる。(ゼカリヤ4:6)
