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nicchinicchi
「カラマーゾフって何人兄弟?」って聞いた君
文学少女気取りは面倒くさいです。
文学青年に憧れるくせに、文学青年に見透かされるのが怖くてなかなか踏み込めない。
そんなわけでスポーツ少年が好きなんです。
本ばかり読んで虚弱な貧血気味の文学少女のテイで近寄り、珍しがってもらいたがり、可愛がってもらいたがる。
スポーツ少年と出かけたカフェで、私は読みかけのカラマーゾフの兄弟をテーブルに置いてお手洗いへ行く。
私がお手洗いから戻ると彼は、テーブルに(わざとらしく)置かれた本の表紙を眺めて、何か言わなきゃと思いながらも何を言ったらいいのか分からない様子(と勝手に私が思う)で「カラマーゾフって何人兄弟?」と聞く。
〈カラマーゾフって何人兄弟?って聞いた君 そんなところが好きだったのに〉
文学少女気取りの私は、このことを短歌に詠み、新聞の歌壇に投稿する。私の短歌が載った新聞を(得意げに)彼に見せると、彼はとても驚き、「すごいね!」と言う。そして「何人兄弟なの?」と聞いた。
大審問官のあたりで挫折したため、結局読み終わらなかった私は、にっこり笑ってごまかす。
難しいことはちゃんと読んでないから分からないけど、人数くらいは自信もって言える。3人兄弟。
と思っていたが、「何人兄弟か?」というのは実に主題に近い質問だったことに、のちにカラマーゾフの兄弟に再チャレンジした際に気づかされ、うわああああ!とひとりのたうちまわるほど恥ずかしい思いをした。
ちなみに、くだんのスポーツ少年は夫となった今も、いまだカラマーゾフが何人兄弟か知らされていないし、そんなことがあったことも覚えていない。
