幼なじみの咲月#8【天使だって裏切る】
休日のショッピングモールを上機嫌のさつきと並んで歩く。
咲:今日は何買うの?
〇:今日買いたいのはさつきの・・・
奥:さっちゃん!?
五:えぇぇー、ほんまや!!
リハーサルを重ねた台詞は無慈悲にかき消された。
2人の女の子によって・・・・
咲:えっ、なんでいんのー
急激にテンションの上がったさつきが2人に駆け寄っていく。
奥:買い物買い物、すごいね偶然!
咲:やばいねー、運命じゃーん
五:ほんまに偶然やなぁ・・・それはそうと・・・
学校の友達かな。
楽しそうなさつきの様子を親のような感覚で見守っていると背の高い黒髪の子が訝しげに近寄ってくる。
五:あのー・・・〇〇さんやんな?
〇:え、はい
五:ふーん・・・
品定めをするようにオレの全身をねっとり視姦する。
・・・・・・
・・・・・・
五:なんか聞いてた話と違うんやけど
〇:はい?
奥:ちょっとまお;;;
五:だって5歳年上の幼なじみでしょ
五:こんなカワイイ系男子だなんて聞いてないやん
奥:そ、そうだけど;;失礼だから;;;
カワイイって・・・
オレ、5歳年上なんですけど・・・
奥:す、すいません。突然;;;
慌てた様子で長髪の子とオレの間に割って入って深々と頭を下げる。
〇:あ、いえ別に・・・
奥:あの;;私はさっちゃんのクラスメイトの奥田です
ずいぶんしっかりした子だな・・・
奥:ほら;;まおもちゃんと挨拶して;;;
んっ?まお?
〇:あっ、もしかして
咲:うん、いろはとまお
嬉しそうに2人を紹介してくれる。
さつきがする学校の話には大抵2人の名前が出てきていた。
相当仲がいいんだな、どんな子達なんだろうと思っていたが、こんなところで会うとは。
2人も多少オレの事は知っていそうな雰囲気だ。
こういう時はなんて挨拶したらいいんだ?
〇:あぁー、えっと・・・さつきがいつもお世話になってます
奥:えぇっ、はい。こちらこそ;;;
五:はは、なんやそれ、親かっ!
咲:あっははは!!!たしかにっ!!!
対照的な2人の反応が面白い。そしていつもよりテンションの高いさつきが・・・
まおちゃんは背が高くて細くて黒髪長髪。
モデルやってますって言われたら、でしょうねって返したくなるほどに恐ろしいスタイルの良さだ。
ほんとに高校生か?
ってか顔小さすぎないか?
それと見た目のおっとりさと関西弁のギャップにすぐに心を掴まれてしまった。

いろはちゃんはちょっと絡んだだけなのにめちゃくちゃいい子なのが伝わってくる。
姿勢が良くて、礼儀正しくて、みんなに優しいんだろうな。
キラキラの笑顔が眩しくてまるで天使だ。
こんな子が同級生でいたら絶対好きになってたと思う;;;

イィテっ!
2人をたっぷりめに観察しているとギュウっと手をつねられる。
咲:見過ぎなんですけど
〇:ん?
咲:モデルさんみたいだなーとか、天使みたいだなーとか思ってたんでしょ

こわ;;;;
顔に出てたんだろうか・・・
変に言い訳しても怪我しそうだし、ふくれっ面のさつきの視線はひとまずスルーしておこう。
奥:ほんとにびっくりしました、〇〇さんの話はさっちゃんからいっぱい聞いてたんです
〇:あ、オレもさつきから2人の話はよく聞いてたよ。いつも一緒にいるって
五:ってかほんまにいたんやなー
咲:いるしっ!!
ん?
どういう事って思っているオレの表情を見て丁寧に説明してくれる。
奥:さっちゃんいつも〇〇さんの話いっぱいするのに、写真とか全然見せてくれなくて・・・
奥:その・・・妄想だったらどうしようってちょっと心配してたんです
いろはちゃん・・・なかなか厳しいな・・・
でも確かに・・・
恋人だったらデート行ったりして写真が増えてったりするもんなんだろう。
そういえばさつきと写真撮った事なんてあったっけ・・・
そういうとこでも咲月に寂しい思いをさせてたのかもしれない。
五:まあ秘密にしときたかったんやろ。私だけのカワイイ年上彼氏を
咲:そういうんじゃないよ/////まだ彼女じゃないし;;;
五:あー、そうやったっけ・・・
咲:うんうん
奥:そうだったね・・・
咲:2人にはちゃんと彼女になってから紹介しようって思ってたから・・・
・・・・・・
・・・・・・
妙な間が流れる。
それもそうだ。周りからしたらオレとさつきの関係はよく分からない状態だろう。
だからこそさつきもオレとの関係について詳しく説明はしていないし、できていないんだろう。
オレだって今誰かにさつきとの関係を説明するのは難しい。
五:なあ、〇〇さん
〇:ん?
五:ほんまに付き合ってないん?
〇:え、ああ・・・うん
五:さっちゃんの気持ち分かってるよな?
〇:それは・・・
五:今だって手繋いでデートしてんのになんでなん?
奥:ちょっと;;まお!!
五:こんなんかわいそうやんか!いろはもいつも心配してるやん!
咲:違うのまお;;;〇〇が悪いとかじゃなくて;;;
咲:卒業まで待つっていうのも私が勝手に言いだした事だし;;;
五:黙っとき!!今は〇〇さんに聞いてんねん

さっきより低い声を発してオレに詰め寄る。
五:真面目に付き合う気あるんやろな
まおちゃんが可愛い眉を歪ませて威嚇してくる。
睨みつけながらもパチパチと瞬きを繰り返していて、
大切な人の為に一生懸命慣れない表情をしているのが分かる。
奥:まお・・・
いろはちゃんはそんな様子を心配そうに見守りつつ、この場の全員に気を使っている。
ほんとにいい子達だ。
今のさつきとの関係をしっかり説明するのは難しいし、説明したところで理解してもらえるかは分からない。
それでもさつきの大切な友人が少しでも安心できれば・・・
そう思った。
〇:2人とも心配かけてごめん
〇:ちょっと長くなるんだけど聞いてくれるかな・・・
〇:さつきとは小さいころから一緒だったんだけど、オレにとっては年の離れた妹みたいな感覚で・・・
〇:さつきは昔からオレにいっぱい気持ちを伝えてくれてたんだけど・・・
〇:オレは真剣に向き合ってなくて、いっぱいさつきを傷つけてきたと思う・・・
〇:世間的に5歳差っていうのは珍しくないのかもしれないけど、小学生の頃からさつきを見てるオレには大きくて・・・
〇:それでもさつきはずっと気持ちを伝え続けてくれて、高校卒業まで待つからって言ってくれて・・・
〇:オレがちゃんとさつきの気持ちに向き合わないとって思ったのは去年の事なんだ
〇:だからさつきが高校卒業するまでの時間でさつきの事をしっかり考えたい
〇:今まで向き合ってこなかった分ちゃんと考えてちゃんと答えを出して
〇:今までの事もこれからの事も全部伝えられるように
〇:さつきにはいっぱい我慢させてるし、まおちゃんにもいろはちゃんにも心配かけちゃってるけど
〇:オレはさつきの事が好きだし、これからもっと好きになると思う
〇:こんな事で安心してもらえるとは思わないけど、ずっと大切にするっていうのは約束できる
咲:〇〇・・・
眼に涙をいっぱい溜めたさつきにキュッと腕を握られる。
咲:ありがとう・・・
咲:ちゃんと伝わってるよ。〇〇のそういう気持ち・・・ちゃんと・・・
〇:さつき・・・

〇:えっとだから、そのっ
五:はっずうぅっ!!
〇:えっ
五:なんなん、聞いてる方がはずいねんけど/////

五:よく初対面のまお達の前でそんなの言えるわ、〇〇さんどんだけさっちゃんの事好きやねん
〇:いや、まあそうだけど;;;
奥:もぉー、まおは素直じゃないんだから・・・〇〇さん
〇:え、はい;;;
奥:ちゃんと話してくれてありがとうございます。安心っていうか感動しちゃいました!!

〇え、あぁ;;;
毒づくまおちゃんと
キラキラとオレを見るいろはちゃん。
とりあえず多少は安心してもらえたんだろうか。
咲:あぁぁーん、まおーー
五:なにい;;;
さつきがまおちゃんに駆け寄って抱き着く。
咲:心配かけてごめんー、ありがとうー、好きぃー
五:分かった分かった;;;もうこっちはお腹いっぱいや。いや、お腹減ったわ
五:ウチらなんか食べ行くから
咲:まおちゃん!!まおちゃん!!
両腕を巻き付けてなかなか放れないさつき。
心配してくれる気持ちがよほど嬉しかったんだろう。
〇:あのさ、オレ達もごはん食べ行くとこで
〇:テストがんばったご褒美で焼肉をご馳走って事になってるんだけど一緒にどうかな?
五:え、ほんまに?驕り?

奥:ちょっと、まお;;;さすがにお邪魔しちゃだめでしょ
〇:もちろん2人がよければって話だけど、テストは赤点大丈夫だった?
奥:えっ、さすがに赤点はないです
五:あるわけないやろ、さっちゃんじゃないんやから
咲:ひどっ!私も今回はなかったし!
〇:はは、じゃあご赤点回避って事でご馳走させてもらえる?
大切な人の為にお金が使えるのは幸せな事だ。
大切な人とその人の大切な人ならなおさら。
最終的には遠慮するいろはちゃんを3人で説得して4人で焼肉会となった。
仲良し女子高生3人が集まった時のテンションにはさすがに圧倒されっぱなしだったが、
オレといる時と違うさつきの表情を味わう事ができて幸せな時間だった。
ーーーーーー
五:めっちゃ美味しかったー。〇〇さん、ありがとう
〇:こっちこそつきあってくれてありがとね
五:お礼に今度まおがデートしてあげるわ
咲:ちょっとー、それはダメっ!!
奥:〇〇さんごちそうさまでした。結局私達までご馳走になってしまってすみません
お店を出て、いろはちゃんからもう何度目かのお辞儀をされる。
〇:いやいや、テストがんばったご褒美だから気にしないで。オレも楽しかったし
五:へぇー、じゃあ次の期末が終わったらまたご褒美くれるん?
〇:はは、もちろん2人がよければまた4人で
五:やたぁー
奥:もぉー、まおったら
咲:〇〇、ほんとにいいの?
ふっ・・・
心配そうに確認してくる仕草が可愛すぎて思わず吹き出す。
自然にさつきの頭に伸びかけていた右手に慌ててストップをかける。
・・・あっ、あぶねっ/////
2人の前で何やってんだオレは;;;
咲:〇〇?
〇:いや;;なんでもない;;;
五:そーいや例のご褒美まだもらってなかったなー
五:ほら頭なでなでのやつ
えっ、そんなの話してんのか;;;
奥:まおダメだよ、それはさっちゃんだけのやつでしょ
五:えぇーいいやん、減るもんやないし
奥:そういう事じゃありません
〇:はは;;;
いろはちゃんのお陰でなんとか回避できそうだ。
咲:あー、待って
ん?
咲:2人にはちょっと体験してもらいたいかも
は?
咲:〇〇の鬼のような癒しの力を。ほんっとにヤバいから/////
はあぁ?
さつきさん?
五:じゃあやってみてー
〇:いやいや;;好きでもない男からされても嬉しくないでしょ;;;
五:いいやん、やろやろ
〇:ダメだって;;オレがさつき以外にそういう事するのは
〇:ね、ねえ;;;いろはちゃん;;;
助けてください!!
情けない話だがここはいろはちゃんを頼るしか;;;
奥:・・・たいです
ん?
天使みたいなキラキラで無垢で透き通った目が真っすぐにオレを見る。
奥:さっちゃんがいいなら私もされたいですっ!!

あれ?
いろはちゃん?
【続く】
