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後輩と週1回の1on1を始めたら|「生意気」に見えていた態度が、少し違って見えてきた

「前職では、こうやってました」

後輩が入って間もない頃、作業の途中でそう言われたことがあります。

業務効率を上げるために作業エリアのレイアウト変更をチームメンバーで話し合っていた時です。

言っていること自体は、間違っていませんでした。

ただ、そのとき彼はまだ、うちの検品の基準もろくに覚えていませんでした。

正直に書きます。

そのとき僕が思ったのは「なるほど」ではなく、「まず今の仕事を覚えてからでは」でした。

挨拶がいまひとつ。休憩に入るときの声掛けもない。

なのに、自己評価は高い。

どこか「自分はできる」と思っているような空気が、態度から漏れている。

どう育てればいいのか、正直まったく分かりませんでした。

そんな後輩と、今は週に1回、1on1をしています

始めてみて分かったのは、後輩が変わってきたことと、変わっていない部分がむしろはっきり見えるようになったことでした。

検品の目で、人を見ていた

僕の本業は、返却された着物の検品です。

検品というのは、要するに「悪いところを見つける仕事」です。

シミ。ほつれ。汚れ。数の不足。

問題がなければ何も言わずに通す。おかしいところだけを拾い上げる。

それが正しい仕事の仕方です。

でも、たぶん僕は同じ目で、後輩を見ていました。

挨拶ができていない。声掛けがない。手順を飛ばしている。

拾っていたのは、ずっと「足りないところ」でした。

1on1を始めて最初に気づいたのは、後輩の変化ではなく、そのことだったかもしれません。

「どの仕事が好き?」から始めた

1on1では、できているかどうかの話をやめました。

代わりに聞いたのは、こういうことです。

今、仕事をしていてどうか。どの作業が好きか。逆に、やりづらいものはあるか。この先やってみたい仕事はあるか。

「同じ作業をずっとやるよりも、管理や自分で考えて効率化することが好き」

驚いたのは、効率化と答えたことでした。

普段の作業中には、一度も出てこなかった話です。

教育していると、どうしても苦手なところを直したくなります。

できないことをできるようにする。足りないものを埋める。

それも必要です。

でも、本人がどの仕事なら自分から動けるのかを知らないまま埋めていっても、たぶん埋まるだけで、伸びない。

実際、担当を任せてからは、以前より自分から動く姿を見るようになりました。

「生意気」と「自主性」は、思ったより近い

あれだけ気になっていた改善提案が、最近少し変わってきました。

前は「前職ではこうでした」でした。

今は「自分でやってみたら、ここで時間がかかったので、こう変えられませんか」になっています。

同じ改善案でも、受け取り方がまるで違います。

そこで、僕自身が少し考えさせられました。

改善したい。意見を出したい。早く戦力になりたい。

その気持ちは、最初から持っていたのかもしれません。

ただ、気持ちに経験が追いついていなかった。

だから周りには「生意気」に見えた。

言っていた本人は、たぶん最初から同じことを言っていたんです。

変わったのは、その言葉を乗せる土台の方でした。

質問が増えたのは、僕が上手くなったからじゃない

前回書いたとおり、この後輩は自分から質問ができない人でした。

「分からなかったら聞いて」では、聞けない。

だから僕から具体的に聞くようにして、質問の仕方も伝えてきました。

最近、質問が増えました。

自分の考えを先に話してから、「ここはどうすればいいですか」と確認してくることもあります。

これはかなり大きい変化です。

ただ、僕の教え方が急に上手くなったわけではありません。

たぶん、関係ができただけです。

思い当たることがあります。

うちの長男は、学校であったことをよく話します。次男もその横で割り込んでくる。

でも、あの子たちが毎日あれだけ話すのは、僕の聞き方が上手いからではありません。

話しても大丈夫だと思っているからです。

職場で同じことをやるには、たぶん週1回の30分が要る。

そういうことなんだと思います。

それでも、順調とは書けません

ここまで読むと、うまくいっているように見えるかもしれません。

現実はそんなにきれいではないです。

今でも、実際の仕事ぶりより自分を高く評価しているように感じる場面はあります。

そして、僕がまだ伝えられていないことがあります。

相手によって、態度が変わる。

これは、仕事を覚えるのとは別の話です。

作業を覚える。スピードが上がる。改善案を出す。自分から動く。

全部大切ですが、それだけで一人前にはなりません。

周りと声を掛け合えるか。誰に対しても同じように接せられるか。

そして、自分がどう思っているかではなく、自分が周りからどう見えているかを考えられるか

僕自身、ここを言葉にして伝えるのが、いまだにいちばん苦手です。

僕には話せる。それでは足りない

後輩は、僕にはよく話してくれるようになりました。

でも、仕事は教育係と二人でするものではありません。

他の先輩にも聞く。自分から声を掛ける。相手の立場で話す。

そこまでいって、はじめて一人で仕事ができるに近づきます。

できることが増えたから、次の課題が見えてきた。

そういう段階なんだと思います。

第1話の頃と比べれば、確実に前には進んでいます。

ただ、悪戦苦闘中なのは変わりません。

そして1on1で変わったのは、たぶん後輩だけではありません。

「なんでできないんだろう」から、「今、何を考えているんだろう」へ。

検品の目をいったん置くのに、僕は2ヶ月かかりました。

次回は、「僕には話せる。でも他の人には話せない」後輩に、仕事は人とするものだとどう伝えるかを書きます。

普通の家庭の、普通のパパの話です。

マガジンでシリーズ化もしています→

前回の記事はコチラ→


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