戦争が始まって1週間、UAEという国
戦争が始まって、1週間と
移動してすでに数日。
UAEは中東という場所にありながら、平和を築いてきた国。
今回、まさか戦争に巻き込まれるとは夢にも思っていなかった。
私がUAEに越してきた理由の中でも「治安がいい」という点はとても大きかった。
子育てをしていると、安全という価値がどれだけ大きいか痛いほどわかる。
安全は何にも代え難い。
「中東なんだから元々危ないでしょ」
そういう意見もあると思う。
でもUAEを知れば知るほど、「中東の奇跡」とさえ思えるバランスで安全を築いている国だと感じる。
これまでドバイが「世界一安全な都市の一つ」と言われてきた背景
各国とバランス外交
UAEは地政学的な立ち回りが本当に巧みだ。
アメリカと軍事協力をしながら、中国とは経済協力を進め、ロシアやイランの富裕層も多く受け入れる。
各国の企業も受け入れビジネスで全方位に関係を持つ。
多国籍社会
UAEの人口はおよそ1000万人。
そのうち約9割が外国人、200以上の国籍がこの国に住んでいる。
インド人 約38%
パキスタン人 約17%
フィリピン人 約6%
イラン人 約5%
その他ヨーロッパ、アジア、アフリカ…
世界中の人がここで働き、暮らしている。
注目してほしいのが、イラン人5%
今回ミサイルを撒き散らしている首謀国であるイラン人は実はUAEにたくさんいる。人口で言うと50〜60万人。ドバイだけでいうと15%ほどいるようで、かなりの人数が住んでいることになる。
そのほとんどが、商人、トレーダー、不動産オーナーなど、ドバイの経済を大きく支えている人々。
国内には数千社のイラン系企業があり、年間数百億ドル規模の貿易を動かしていると言われていて、経済的な影響力は巨大。
「ドバイを攻撃すれば自分たちの経済も壊れる」という共倒れの状況。UAEを攻撃すれば、無関係の人種どころか自国民、自国の経済も巻き込まれる。
それでも攻撃された
その最大のメリットを、まるで踏み潰すかのように突然打ってきたミサイル。
これが今回の一番の衝撃だった。
私は中東情勢に詳しいわけではないが、今回のことを見てこれだけは思った。
「どうしたイラン・・」
それも今回の攻撃はUAEだけではない。
サウジアラビア
バーレーン
カタール
クウェート
オマーン
ヨルダン
イラク
さらにNATOに加盟しているトルコまで。
アメリカとは関係なかったり、元々敵対していない国にもかなり遠くの方まで当たり散らしている。
「誰と誰の戦争なの?何が目的?」
と頭にハテナが浮かぶレベル。
私の中では理解する為に日本軸で考え、こんなイメージが浮かんだ。
2018年、北朝鮮がアメリカと長距離弾道ミサイルで対立していた時期。
もし仮に、北朝鮮が折れず、金正恩が「あ、もう完全に暗殺されるわ俺」という状況になった時、自暴自棄になりどうせ散るなら世界もろとも道連れだと、ところ構わず近隣国に打ちまくる。その後軍は統制を失くし暴発する。そんな感じではないだろうか。
もちろんこれは完全に私のイメージだし、専門家から見たら全く違うかもしれない(違いすぎたら消します。)が、トランプも今回のことで「湾岸諸国に攻撃したことに1番驚いている」と言ってるくらい
「さすがに、いくらなんでもそれはしないでしょ」
をしてしまったのが今回だと思っている。
それでも街は回っている。
今回の状況になってからSNSではいろんな意見を見た。
「毎日怖くて震えている」という人もいれば、「通常運転!」という人もたくさんいる。
実際のところ、本当に街は回り続けていて誰1人パニックになってない。
店が普通にどこも開いている。
それどころか店員さんがいつも以上に明るい。
ラマダンの時期でもあるから、街のイルミネーションもすごい。
ブルジュ・ハリファはUAEの国旗カラーにライトアップされ、パームジュメイラもラマダン仕様になってキラキラと輝いている。


たまたま私の住んでいる地区はたまにアラートが鳴る以外に大きな出来事はほとんどなく、最後まで物理的に怖い思いをすることはほぼなかった。
これは住んでいる地域によってもかなり違うと思う。
スクールは一時休校になったが、息子の園からは、先生たちが毎日のように読み聞かせ動画や紙芝居の動画を送ってくれる。
家から見えるゴルフ場は、人が途切れることがなかったが、日に日に増えている気がした。

そして、何より象徴的なのは王様たちの姿。
国外に逃げたりせずシェルターに籠るわけでもなく普通に街に現れる。
ドバイモールでお茶をしたり、レストランでラマダンのイフタールを楽しんだり。あまりにも無防備に現れる。
もちろんそれは国民を安心させるためのパフォーマンスだろうが、それでも、この国に対する絶対的な自信とプライドがないと出来る事ではない。


その姿に呼応するように住民は言う。
「ドバイは安全」
「私たちの国は大丈夫」
外から見ればお花畑に見えるかもしれないが、戦下なのに声高にそう叫ぶ人が多いのは、指導者たちの力が本当に大きい。
安全なのも本当。
危険なのも本当。
だから人によって発信の色がかなり変わる。
毎日情報も出してくれており、飛んでくるものはほとんど迎撃されている。

被害は稀に落ちてくるとしてもドローンの破片程度。
・・・破片。もちろん十分怖い。
怖いからと言って、常に自宅待機なわけではない。
アラートが鳴ると「迎撃の破片が落ちる可能性があるので建物の中に入ってください」という通知が来るが、20-30分ほどで「迎撃は順調に作動し、もう安全なので通常の生活に戻ってください」という連絡もちゃんと来る。
このルールを守っていれば、まず命の危険はないと思う。
じゃあ、なぜ私含め次々と出国して政府便まで出ているのか。
理由は単純で、この先どうなるか誰にもわからないから。
実際に自分が怖い目にあっていなくても、SNSには次々に情報が流れてくる。フェイクニュースも含めてこれからどうなっていくのか、悪い情報を見れば気持ちは落ち込む。
子連れとしては、どれだけUAEを信頼していても戦争に巻き込まれた以上、一旦出るしかないという判断になる。
外国人の反応
日本人と比べ外国人、特にロシア人、インド人、アラビックの人たちとの温度差を感じた。
戦争慣れしているのか、宗教柄なのか余裕で構えている人が圧倒的に多い。
「元気?」とお互いの無事を確認したあと、その話題はすぐ終わり、普通に学校の話、食べ物の話、旅行の話をしている。
ストーリーを見ても毎日海やプールで遊んだり、本当にいつものドバイの生活。
ロシア勢からすれば
「笑止、まだ逃げる時ではない」
という感覚なのかもしれない。
アラビックの知り合いも、何かあった時はそれが天命なのだから抗っても仕方ない。と達観していた。
日本人でも残るという選択をした人たちが沢山いる。残った上で正確な情報を発信し、ボランティアやサポートをしている人たちがたくさんいた。残る方が偉いという事は全く無いが、信頼できるソースからの情報だけを信じ、UAEを信じた結果そのような判断を下す事はなんらおかしくないとも感じる。
だからこそ、脱出して「イェーイ!」も残って「イェーイ!」も違う。戦争なので当たり前だが、何を発信するにしても非常に難しい状況だと感じた。
日本から来るニュース
日本から届く情報は驚くほどフェイクが多かった。
心配して友達や家族が送ってくれたニュースや自分で見たニュース。
「ドバイの航空便は全部止まっている」
→実際は日本便が後回しにされてはいたが、エミレーツは3日目以降運行。
爆撃動画や逃げ惑う映像
→AIのフェイク動画多数。
UAEが戦う宣言
→数分後にUAE自身がフェイクを訂正。
等々。
しかもそれらは、そこそこちゃんとしたニュースサイトから出ていたりする。
距離が離れると、ここまで情報は歪むのかと思った。
情報の怖さとSNSを鵜呑みにしてはいけないことを改めて実感した。
そしてフェイクにとどまらずポジショントークやUAEディスなど心無い声もあまりにも多い。
中東なんて遠すぎて他人事かもしれないが、本当にそうなのか?と問いたい。
戦争を身近に感じて初めて、「これは、どの国も全く他人事じゃない。」そう感じた。
夢にも思わないタイミングでそれは始まる。
大事なのは準備と、覚悟、そして国を信頼できるかどうか。それだけで国内がパニックになるかどうか大きく分かれる。
イラン人も多いUAEで人々が争うこともなく、何かを争奪することもなく、お互い気遣いあって社会を回しているのは本当に素晴らしいことだと思った。
この先
情勢によっては、もう戻れない可能性もある。
でも今の正直な気持ちは一つ。
一刻でも、1分でも早くUAEに平和が戻ってほしい。
そして戻れるなら戻りたい。
今回湾岸諸国が巻き込まれてしまった事はやり切れないが、UAEのとった対策自体は全て素晴らしく、不満一つないどころか感謝している。もちろん不安ではあったが、その気持ちを上回るくらい、この国を前よりもっと好きになってしまった。
UAEは本当に素晴らしい国だ。
だからこそ、私は祈る。
一刻も早く、平和が訪れますように。
・・・ちなみに、今回日本への不満はめちゃくちゃある。笑
もう一生帰ってくるなと思われるだけだと思うが、他の人たちへ注意喚起も含め、役に立つかもしれないので次で書く。
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