こんな夢を見た 第六夜
野菜売り場の木村多江さんが怪我した
心配や。
なんという5月や
いや、
5月は関係ないけど。
(今年わしが
この五月に拘ったんは、己れの勝手な思い入れに過ぎない。)
多江さんの災難は
どれほど注意深くても
誰にでも起こり得る。
わしも他者の故意なき行為で
指の骨に癒ることのない痛みがあるから
つらい。
詩人の五月
寺山修司の「われに五月を」
三木露風の「去りゆく五月の詩」
立原道造の「五月の風をゼリーして、、」の五月
お日様の匂いのする五月
ソニー・ロリンズを7枚も買うた。
聴いた。
夢中で聴いて、泣けて、閃いて
「猛ふぶき氏とロリンズ」を
いくつも投稿した五月やった。

そのロリンズさんがまさかの
亡くなったよ(泣)、の五月。
わしは半年前に遇うたばかりや、
人は「巨星墜つ。」て言うけど
わしにとっては
降って湧いた突然の死や。
レコード屋で探しまくったロリンズやけど
今は
新しい音源を購入する気持ちにはなれない。
聴いたら泣くと思う
切なくて
手持ちのレコード、
意を決して久しぶりに針を落としたら
やっぱり泣けて、前が見えない。
「サニーデイズ、、」やで。
カリプソやで?
カリプソ カリプソ カスリプ クソリプ おやあ?
でやで?
カリプソで涙が溢れるんや。

ほんで六月に入って
しばらく会えんかった
多江さんが店頭におって、、。
怪我したって
、、、
わしはなにもできへん
けど、聞いてて
一瞬頭をかすめた。
多江さんが10年後
定年退職したらやりたいってた事を
思い出して、
よかったら使ってください、うちの空き家。とかな、
浮かんだよ、頭に。
ほんまに幼稚やな、わし。
けどこの先の
彼女の長い人生の
心のお守りになればとか
思ってん。
多江さんの夢が
利便性のいい街なかじゃないとあかんのは
判ってる。
わしの実家の周りは
どんどん不便になって
砂漠みたいな立地や。
アスファルトと住宅だけ。
緑がない
コンビニがない
公園もない
医療センターは櫛の歯が欠けてく状態
それでも、もしよければ
どんな使い方でも。
思う通りの
場所が見つかるまで、
あるいは
それが見つかっても、
トランクルーム使いでもしてもらえたら、
と思ったんや。

目を瞑ったら
10数年後の庭の景色が浮かんだ
そこに
わしはいない。
そらそうや、多江さんは
うんと年下やから
夢に踏み出す頃、
わしが庭仕事してるわけがない
ゼーラントかな、
老人ホームやな。
女の人が台所で、お皿に取り分けてる、
3時のおやつ
ふかし芋かな、庭で穫れた。
きびきび動くそのひとは
多江さんかもしれんし、他の人かもしれへん。
敷地のどまんなかを耕して、じゃがいもや
さつま芋、玉蜀黍を作ってるんやね。
(そういえば近所の奥さんも
「白菜や大根はめっちゃ簡単よ」て云うてはったな。
このへんで庭がある人は、野菜を作り始めてる。
土地を持つ。というのは庶民の強みや。)
夏の間はザクロ、木苺
無花果、枇杷をおやつにしたんやろうな
ぼちぼち柿の季節や。
梅のシロップもええ頃合いかな

アサガオがあちこちに。
ええなあ
わしはアサガオが好きで
いつかここを
北摂のアサガオ屋敷にしたるっ
て、夢見ててん。
いろんなひととタネを交換してたくさん蒔いた。
でも隔週の手入れでは大きくは育たんかった。
今、人が住んでるから
こんなに見事に咲くんやね
子どもがいる
昆虫採集かな、
女子と若い衆もいる。
お風呂が沸いたよと、誰かの声がする
「今日の勉強はここまで。
晩ご飯までテレビ観ていいよ、あまり近づくなよ、目に悪いからな」
そうか、
ここは、
寺子屋みたいな
居場所になったんやね
そんな夢を見た。

