オラフ・ステープルドン『最後にして最初の人類』――「 第十五章 最後の人類」「 第二節 子供時代と成熟」
前節で、海王星の大気圏を突き抜ける巨大な居住塔や、空を泳ぐように飛翔する姿など、究極の進化を遂げた「最後の人類(第18期人類)」のユートピア社会が明かされた。本節では、平均寿命が約25万年にも及ぶ彼らの途方もない「成長と成熟」のプロセスが描かれる。
彼らは妊娠期間だけで20年、誕生後の乳児期に約100年、そして1000年という気の遠くなるような時間を「青春時代」として過ごす。若者たちは、海王星の南半球に保存された過酷で美しい手つかずの大自然「青年の地(Land of the Young)」へと赴き、親の保護から離れて自立した生活を営む。
「青年の地」で彼らは、狩猟や農耕、部族の結成、恋愛や愛憎、そして時には原始的な戦争に至るまで、人類が過去何億年もの間に辿ってきた感情のドラマや過ちを、自らの肉体で追体験していく。高度な技術社会から一時的に離れ、野生の猛威と向き合いながら人生の甘苦を味わい尽くすこと――この1000年間の冒険と試練こそが、彼らが真の精神的成熟へと達するために不可欠なプロセスなのだ。
過去の全人類の歴史を「青春の1000年間」で凝縮して味わい、それを乗り越えて至高の静寂と調和を持つ大人へと成長していく最後の人類。25万年という悠久の時を生きる彼らの、詩的で荘厳な「生命の旅路」をぜひ見届けてほしい。
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