オラフ・ステープルドン『最後にして最初の人類』――「第十六章 人間の終焉」「 第二節 宣告された者たちの振る舞い」
いよいよ物語も残すところあと2回。 太陽の暴走による「逃げ場のない完全な滅亡」を宣告された最後の人類(第18期人類)。本節では、滅びへと向かうカウントダウンの中で、彼らが直面する最も残酷な内なる悲劇と、その果てに輝く人間の尊厳が描かれる。
太陽系を襲う凄まじい宇宙放射線は、最後の人類の完璧な肉体だけでなく、彼らが20億年の歩みの果てに築き上げた「至高の精神」をも容赦なく侵食していく。脳の高等中枢が破壊されたことで、彼らは誇り高きテレパシー能力や、私心を挟まない客観的な意志を失い、かつて我々第一期人類が囚われていた利己主義やエゴ、嫉妬、憎悪、さらには不和や争いといった「原始的な精神状態」へと退化していく。
自らが狂気と野蛮へと引きずり下ろされていく恐怖。しかし彼らは、自らを「被宣告者(Condemned)」と呼び、互いに手を取り合って「同胞団」を結成する。すべてが崩壊していく中で、他星系へ人類の種子(生命の胞子)を送り届けるという、人類最後の、そして最も困難な義務を果たすために。
そして、この絶望と退化の暗黒の中で、人類の歴史の最後に誕生した最も若く気高い「最後の子」が、奇跡のような光を放つ。過酷な放射線に唯一耐えうる強靭な精神を持つ彼は、狂気と恐怖に怯える人々に、静かに、そして優しく、至高の平和と美のビジョンを語りかける。
滅びの苦痛を丸ごと宇宙の調和(音楽)の一部として肯定し、笑いながら最期を迎えようとする、生命の最後の輝き。 次回、20億年に及ぶ「人類の神話」はついに最終回を迎える。この圧倒的なフィナーレへの架け橋となる、気高くも切ない被宣告者たちのドラマを、ぜひ受け取ってほしい。
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