オラフ・ステープルドン『最後にして最初の人類』――「 第十五章 最後の人類」「 第四節 宇宙論」
前節で、全人類の意識が完璧に調和した「種族の精神」へと覚醒した最後の人類(第18期人類)。本節では、彼らが20億年の苦難と進化の果てに到達した、最も深く壮大な「宇宙論」が語られる。
前節で、全人類の意識が完璧に調和した「種族の精神」へと覚醒した最後の人類(第18期人類)。本節では、彼らが20億年の苦難と進化の果てに到達した、最も深く壮大な「宇宙論」が語られる彼らは、時空の「始まり」と「終わり」が巨大な円環をなして繋がる宇宙の循環構造を解き明かした。無数の銀河や星々が生まれ、やがて冷え切って消えていく流転の中で、生命がいかに一瞬の儚い閃光に過ぎないかを彼らは客観的に理解している。
しかし彼らが到達した真の至高点は、単なる知識の獲得ではない。彼らは、過去20億年の間に倒れていった何兆もの生命たちの苦悩や暗黒の悲劇、そして宇宙の冷酷な猛威のすべてを、途方もなく複雑で美しい「宇宙の音楽(球体の音楽)」の不可欠な一節として丸ごと肯定し、鑑賞する精神性を獲得したのだ。
宇宙は決して自分たちの都合の良いユートピアではなく、時に恐ろしく悲劇的である。それでも「現実」のありのままの姿を壮大な芸術作品として愛で、自らの運命に深く敬服する――。
人類の知性と精神が辿り着いた究極の覚醒と、時空を超えた絶対的な調和のビジョン。ステープルドンが描く哲学史の頂点を、ぜひ心ゆくまで味わってほしい。
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