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ヨズア・キミッヒ(Joshua Kimmich)の復活、そして新たな「キャプテン」へ!:FCバイエルン・ミュンヘン


ヨズア・キミッヒ

Joshua Walter Kimmich
所属クラブ:FCバイエルン・ミュンヘン
生年月日:1995年 2月8日(29歳)
出身地:ロットヴァイル, バーデン=ヴュルテンベルク州, ドイツ
身長:177cm 利き足:右足
ポジション:ゼクサー(守備的ミッドフィルダー), 右サイドバック




ヨズア・キミッヒの復活

2024/25シーズン、冷遇されたトーマス・トゥヘル監督時代と打って変わり、ヨズア・キミッヒは、FCバイエルン・ミュンヘンの守備的な中盤として欠かせない存在となった。敵陣に相手を押し込んだ際には、2人のCBの右脇に降りてボールを展開する役割を担い、ボールが相手ゴールに近づくにつれて前進し、ラストパスを供給。被カウンター時にはフィルター役を務めた。

「とくに今シーズン、自分を信頼してくれる監督やサポートしてくれるクラブ、私を尊敬し、認めてくれる仲間がいることを感じました。」クラブのインタビューでもこのように語ったように、キミッヒの契約延長にヴァンサン・コンパニ監督の存在は欠かせないものだった。キミッヒは、新たな監督のもとで輝きを取り戻したのだ。


FCバイエルンに加入するまでのキミッヒ

ドイツ南西部・バーデン=ヴュルテンベルク州フライブルク地域に属するロットヴァイルという歴史ある都市出身のキミッヒは、地元のVfBベージンゲンを経て、2007年、12歳のときに名門VfBシュトゥットガルトのユースに加入。同クラブで6年に渡ってプレーしたキミッヒは、2013年、当時18歳で3部のRBライプツィヒへの移籍を決断した。

移籍した当時のRBライプツィヒの監督は、アレクサンダー・ツォルニガー。同監督の信頼を掴んだキミッヒの転機となったのが、2014年8月22日に行われたブンデスリーガ2部でのエルツゲビルゲ・アウエとの一戦。同試合でのキミッヒの活躍が、ある1人の監督の目に留まった。ジョゼップ・グアルディオラである。

(前略)お隣の2部リーグ、1860ミュンヘンとRBライプツィヒの対戦だった。ライプチヒには10日前にU-19代表で欧州王者になったばかりの期待の若手ジョシュア・キミッヒがいた。グアルディオラとエスティアルテは15時半のキックオフ寸前に到着。酷い試合だった。ボールは中盤に留まることなくあっちこっちに無意味に飛んでいた。そんな戦術的に貧しい試合でキミッヒがボールに触ったのはわずか33回だった。
 しかし1週間後、グアルディオラはエスティアルテに電話をした時に興奮していた。
「マネル、マネル、今車からだ。2分後に迎えに行く。キミッヒを見ないと駄目だ。彼はマシーンだ」
 2度目のチャンスで見たものはペップを興奮させた。チームを率いる能力、プレーとリズムを読む能力、体の向き、一方の足でトラップしもう一方でパスを出す技術、カバーリングの嗅覚、次のプレーを読む能力。ペップはタレントに気付き、すぐにでも欲しいと思った。

引用:マルティ・ペラルナウ著『グアルディオラ総論』
|ソル・メディア

言及するまでもないが、ペップの目に留まるというのは只事ではない。ペップ自身が、ヨハン・クライフが率いた1990年代前半のFCバルセロナにおける最高のミッドフィルダーであったうえ、監督としてはアンドレ・イニエスタチャビ・エルナンデスセルヒオ・ブスケッツハビエル・マスチェラーノなどを指導したのだ。そんな彼が、まだ20歳の、当時2部でプレーした無名の若手選手を、スカッドに加えたいといったのだ。


FCバイエルンでの活躍とトゥヘルの冷遇

バイエルンに加入してからのキミッヒの活躍については、敢えて深く語る必要もないだろう。ユーロ2016での活躍をきっかけに、とくにユップ・ハインケス政権下で右サイドバックとして重用されたキミッヒは、2019年、ハンジ・フリックの監督就任とともに本職の中盤中央で抜擢されるようになり、その広大な視野とビジョン、縦横を問わない正確なミドルレンジのパス、機を見て前線に進出する動きや的確な守備対応でチームを牽引した。しかし、トーマス・トゥヘルはそんなキミッヒを冷遇した。

トゥヘルはコンラート・ライマーなど十分な選手層の揃っている中盤に新しい選手を要求し、キミッヒを攻撃的なポジションで起用するためと発言。それにも関わらず、自身の戦術が思うようにいかない試合が続くと、キミッヒをスケープゴート化し、彼を本職ではない右サイドバックのポジションへと追いやった。途端にチームは中盤でのコントロールを失い、キミッヒの孤軍奮闘虚しく、クラブはリーグ12連覇を逃してしまう。


ヴァンサン・コンパニのもとでのキミッヒ

クラブとの契約が2025年限りということもあり、監督から冷遇されたキミッヒは、バイエルンからの退団さえ噂された。そんななかで大きな転機となったのが、コンパニの監督就任だった。マンチェスター・シティFCの選手時代にペップの影響を受けたコンパニは、キミッヒの役割を守備的な中盤に戻し、彼のボール展開力を最大限に活かす戦い方を披露した。

中盤の位置に戻ったキミッヒは、左サイドでアイソレーションとなっている味方への正確なロングパスや、機をついた縦パスなど、多彩なキックで相手を翻弄。ペナルティエリア手前の右のハーフスペースからボックス内に上げる正確無比なクロスで、何度もチャンスを創出した。また守備対応も見事で、前線からのプレスに参加する場面や相手のカウンター対応で、2人のCBと孤立した相手FWを取り囲んでしまうシーンもあった。


キミッヒの今季におけるベストマッチ

なかでも、2024/25シーズンのリーグ戦でキミッヒがもっとも輝きを放った試合は、ホームのアリアンツ・アレーナで行われた第15節、古巣のRBライプツィヒ戦だろう。キャプテンマークを巻き、相手のFWーMF間でのプレーを主戦場としたキミッヒは、圧巻のプレーを披露した。試合開始直後、インターセプトから27秒でジャマル・ムシアラが決めた得点に貢献すると何度も好機を演出。

チームが試合を支配するようになると、36分、キミッヒは強烈なミドルシュートからチームにとっての3点目を決める。守備では、相手のMFアーサー・フェルメーレンをマークしてボール展開を滞らせた。試合終盤の78分には、ペナルティエリア手前の右のハーフスペースでボールを受けると、そこからクロスを挙げ、アルフォンソ・デイヴィスの得点をアシスト。1ゴール1アシストの活躍でチームを勝利に導いた。


FCバイエルン・ミュンヘンの新たな“キャプテン”へ

2024/25シーズンのバイエルンにおけるMVPを1人選ぶなら、キミッヒ以外にはあり得ないだろう。ほとんど怪我なく試合に出場し続け、キャプテンを務めるドイツ代表との両立まで成し遂げた。最早、キミッヒをフィリップ・ラームの後継者だと捉えるバイエルン・ファンは存在しないだろう。キミッヒのパーソナリティやプレースタイルは、唯一無二だ。キミッヒ自身が憧れと語るチャビともまた違った、特別なプレーの持ち主だ。

2025年の夏限りで、トーマス・ミュラーが退団することが発表された。現主将のマヌエル・ノイアーのコンディションが整わないことも考慮すれば、チーム内における事実上のキャプテンはキミッヒということになる。誠実であり、情熱的でもある。常に貪欲に勝利だけを望み、そのために汗をかける努力家でもある。知的で、ユーモアのある面も魅力。チーム内の誰もがキミッヒがリーダーになることを受け入れるだろう。来季以降のキミッヒの活躍が、楽しみでならない。


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