居宅介護支援事業所が8年連続で減少 ケアマネ不足が在宅介護に与える影響とは
厚生労働省が公表した「介護給付費等実態統計月報(令和8年4月審査分)」によると、居宅介護支援事業所数は前年同月より減少し、8年連続の減少となりました。
居宅介護支援事業所は、ケアマネジャーが利用者や家族の相談に応じ、ケアプランの作成やサービス事業者との調整を行う、在宅介護の要ともいえる存在です。その事業所が減少し続けているという事実は、介護業界だけの問題ではなく、地域で暮らす高齢者や家族にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
事業所数が減少する背景として挙げられているのが、ケアマネジャーの人材不足や高齢化です。経験豊富なケアマネジャーの引退が進む一方で、新たに資格を取得してこの仕事を目指す人が十分に増えていないことが指摘されています。
さらに、ケアマネジャーは利用者との面談やケアプラン作成だけでなく、多職種との連携、給付管理、記録作成など幅広い業務を担っています。制度改正への対応や事務作業も多く、業務負担の大きさが人材確保を難しくする要因の一つと考えられます。
特に小規模な居宅介護支援事業所では、一人の退職が事業継続に大きく影響するケースもあります。後継者が見つからず廃止や休止を選択する事業所が増えれば、地域全体で利用者を支える体制にも影響が及びます。
利用者側から見ても、担当ケアマネジャーが見つかりにくくなったり、新規利用を受け付けられない事業所が増えたりする可能性があります。在宅生活を希望していても、必要な介護サービスにつながりにくくなることは、高齢社会において大きな課題です。
また、この問題は介護職だけのものではありません。訪問看護師、かかりつけ医、薬剤師、リハビリ職、社会福祉士など、多職種が連携して在宅療養を支える地域包括ケアシステムにおいて、ケアマネジャーは「調整役」として重要な役割を担っています。その担い手が不足すれば、多職種連携にも影響が及ぶ可能性があります。
今後は、ケアマネジャーの処遇改善や人材育成に加え、ICTやAIを活用した事務負担の軽減も重要になりそうです。記録や情報共有を効率化し、本来の相談支援業務により多くの時間を充てられる環境づくりが求められます。
国は地域包括ケアシステムの推進を掲げていますが、それを支える現場の人材が不足すれば、制度だけでは十分に機能しません。今回の統計は、居宅介護支援事業所の減少という数字の背景にある現場の課題を改めて考えるきっかけになったのではないでしょうか。
皆さんの地域では、ケアマネジャー不足や居宅介護支援事業所の減少を感じる場面はありますか。
参考リンク
① 厚生労働省「介護給付費等実態統計月報(令和8年4月審査分)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/2026/04.html
② Joint
「居宅介護支援の事業所数、8年連続で減少 ケアマネの不足や高齢化など影響」
https://www.joint-kaigo.com/articles/47848/
③ 厚生労働省「介護情報公表システム(居宅介護支援とは)」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group1.html
④ 厚生労働省
「地域包括ケアシステム」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/

