「車いすのまま車に乗る」って、こんなに不安定なの? 送迎事故のニュースから考えたこと
「車いすのまま車に乗る」って、こんなに不安定なんだ。
以前、体験で車いすに座ったまま、車いすごと車に乗ったことがあります。
実際に車が走行したわけではありません。
それでも、思っていた以上に身体が安定しない感覚がありました。
「これで車が走ったら、結構怖いだろうな」
そんなことを感じたのを覚えています。
今回、車いす利用者の送迎中の事故について、消費者安全調査委員会が経過報告を公表したというニュースを見て、そのときの体験を思い出しました。
2019年1月から2025年12月までの7年間に、車いす利用者を自動車で送迎中に発生した事故は49件確認されています。
そのうち、死亡事故は30件。
介護サービス中の送迎事故は34件で、そのうち24件が死亡事故だったそうです。
数字だけを見ると、「車いすの固定やシートベルトが重要」という話に見えるかもしれません。
実際、介護サービス中の事故では、車いすの固定が適切でなかったケースや、シートベルトの装着が適切でなかったケースも確認されています。
でも、私自身が車いすに座ってみて感じたのは、
「そもそも、車いすに座った状態で車が動くって、こういうことなのか」
ということでした。
普通の自動車の座席なら、身体が座席に収まり、シートベルトも車体側に設置されています。
一方、車いすに座ったまま乗車する場合は、車いすそのものを車両に固定し、さらに利用者の身体を安全に保持する必要があります。
しかも、危険なのは大きな衝突だけではありません。
消費者安全調査委員会は、衝突事故だけでなく、急発進、急ブレーキ、右左折時なども含めて調査しています。
車が少し動くだけでも、車内にいる人の身体には力がかかります。
だからこそ、「車いすをちゃんと固定したから大丈夫」ではなく、車いすの形状や送迎車両の装置に応じた適切な方法を知っておくことが重要なのだと思います。
介護の現場では、送迎も日常業務の一つです。
だからこそ、経験や勘だけに頼るのではなく、車いすの固定方法やシートベルトの使い方、車両ごとの装置について、きちんと教育・確認する仕組みが必要なのではないでしょうか。
今回の経過報告は、まだ調査途中です。
事故の責任を問うための調査ではなく、事故を防ぐために原因を調べているものです。
それでも、7年間で30件の死亡事故という数字は重い。
私自身は、車いすに座って車に乗った「体験」があったからこそ、このニュースを単なる数字として読むことができませんでした。
実際に体験してみないと分からないことは、意外と多いものです。
そして、安全については、「知っているつもり」を一度見直してみることも大切なのかもしれません。
参考リンク
消費者庁「車椅子使用者を自動車で送迎中の事故」
https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_026
消費者庁「消費者安全法第31条第3項の規定に基づく経過報告(車椅子使用者を自動車で送迎中の事故)」
https://www.caa.go.jp/notice/entry/047041/
経過報告(PDF)
https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_026/assets/csic_cms201_260729_04.pdf
介護ニュースJoint「車いす送迎中の事故、7年で死亡30件 消費者事故調が注意喚起」
https://www.joint-kaigo.com/articles/48094/
