2040年の介護を誰が支えるのか 57万人の人材確保と外国人材
「2040年までに、57万人の介護職員の確保が必要」
介護に関わる人なら、一度は目にしたことのある数字ではないでしょうか。
厚生労働省が公表した「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数」によると、2022年度の介護職員は約215万人。
これが2026年度には約240万人、2040年度には約272万人必要になると推計されています。
つまり、2022年度と比べて2040年度までに約57万人を増やす必要があります。単純に考えれば、毎年3万人を超えるペースで介護職員を確保していかなければなりません。(厚生労働省)
しかし、ここで気になる数字があります。
介護ニュースJointの記事では、公表されている範囲の直近5年間で、介護職員数はわずか約7,000人しか増えていないと指摘されています。
しかも、その間には外国人材の受け入れが大きく進みました。
2020年6月末から2024年12月末までに、特定技能制度による外国人材は約4万4,000人増加したとされています。
それでも介護職員全体の増加が約7,000人にとどまったということは、外国人材の増加に近い規模で国内人材が減少し、全体として相殺されているということです。(介護ニュースJoint)
これは、かなり重い数字だと思います。
外国人材を受け入れれば、人手不足がそのまま解消するわけではない。
一方で、外国人材がいなければ、さらに厳しい状況になる可能性があります。
そして現在、その外国人材の受け入れにも一つの壁があります。
特定技能の介護分野には受け入れ上限が設定されており、12万6,900人。
2025年度末までに約7万5,000人が受け入れられ、充足率は58.9%に達しています。
現在のペースが続けば、来年度中にも上限に達する可能性があると、介護ニュースJointは指摘しています。(介護ニュースJoint)
もちろん、介護人材不足への対応は外国人材だけではありません。
厚生労働省も、処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着促進、生産性向上、介護職の魅力向上、そして外国人材の受け入れ環境整備など、複数の対策を掲げています。(厚生労働省)
つまり必要なのは、「外国人材か、日本人材か」という二者択一ではないのでしょう。
介護職員の賃金や職場環境を改善し、離職を防ぐ。
子育てや介護などで一度現場を離れた人の復職を支援する。
ICTや介護ロボットなどを活用し、職員一人ひとりの負担を軽減する。
そして、それでも不足する人材については、外国人材を安定的に受け入れ、働き続けられる環境を整える。
こうした取り組みを同時に進める必要があります。
2040年に必要とされる介護職員は約272万人。
この数字は、単なる「人手不足」の予測ではありません。
人材を確保できなければ、介護サービスそのものを維持できなくなる可能性があります。
介護を必要とする人が増える一方で、支える側の人口は減っていく。
そのギャップを、誰が、どのように埋めていくのか。
外国人材の受け入れ上限をどう考えるのかという問題も、その大きな議論の一部です。
2040年の介護を誰が支えるのか。
57万人という数字を、単なる遠い将来の課題としてではなく、いまから考えていく必要がありそうです。
参考リンク
厚生労働省
「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/001274765.pdf
介護ニュースJoint
「【天野尊明】介護分野で外国人材の扉を狭めてよいのか 迫る特定技能の受け入れ上限 超・人手不足時代にサービスを守るために」
https://www.joint-kaigo.com/
厚生労働省
介護分野における特定技能外国人の受入れについて | 厚生労働省|厚生労働省

