介護職の採用、求人広告より介護職員である友人紹介の『うちの職場、いいよ』が強い?
介護職の採用というと、求人サイトやハローワーク、人材紹介会社などを思い浮かべます。
ところが、最新の「介護労働実態調査」を見ると、少し違った景色が見えてきます。
介護職員が現在の法人に就職した主な経路で、最も多かったのは「友人・知人からの紹介」。
その割合は33.8%でした。
求人広告を見て応募するのではなく、実際に働いている人から、
「うちの職場、けっこういいよ」
と聞いて、就職につながる。
いわゆる「リファラル採用」が、介護の現場でも重要になっているようです。
事業所側を見ても、「職員に友人・知人などの紹介を依頼」している事業所は66.0%。
そのうち47.3%が「効果があった」と回答しています。
採用活動として実施している事業所が多いだけでなく、実際の採用にもつながっているわけです。
では、なぜ「友人・知人からの紹介」が強いのでしょうか。
そのヒントになる数字があります。
介護従事者が現在の法人に就職した理由として、「職場の人間関係が良さそうだったから」が35.1%。
「通勤が便利だから」の51.8%に次いで2番目に多い理由でした。
ここが、今回の調査で特に興味深いところだと思います。
給与や休暇、働き方など、求人票に書ける条件はたくさんあります。
もちろん、これらは採用にとって重要です。
ただ、「人間関係が良さそう」という情報は、求人票だけではなかなか伝わりません。
実際に働いている人から、
「職場の雰囲気は悪くないよ」
「困ったときに相談できるよ」
「上司とも話しやすいよ」
と聞けば、求人広告よりもずっと具体的に職場をイメージできます。
しかも、その言葉を伝えるのは、実際にそこで働いている職員です。
求職者にとっては、事業所が自分たちで発信する「働きやすい職場です」という情報より、知人から聞くリアルな情報のほうが信頼しやすいでしょう。
一方で、リファラル採用には少し怖いところもあります。
職員が友人を紹介するということは、その職員自身が職場の「広告塔」になるということです。
もし入職してみて、
「聞いていた話と違う」
となれば、紹介した職員との関係にも影響するかもしれません。
だからこそ、リファラル採用は単なる採用テクニックではないのだと思います。
職員が自分の友人や知人に「ここで働いてみたら」と言える職場なのか。
そこが問われます。
人手不足だから、紹介制度を導入する。
紹介してくれた職員にインセンティブを出す。
それだけでは、リファラル採用は長続きしないかもしれません。
むしろ、
「ここなら友人を誘っても大丈夫」
と思ってもらえる職場をつくること。
そのためには、日々のコミュニケーションや上司との関係、職員同士の助け合いなど、求人票には書きにくい部分が重要になります。
採用と定着は、別々の問題ではありません。
職員が働き続けたいと思える職場だからこそ、友人にも勧められる。
そして、その職員からの紹介で新しい人が入ってくる。
そんな循環ができれば、採用難への対応にもなります。
介護人材の確保というと、賃金の引き上げや外国人材の受け入れ、求人媒体の活用など、大きな施策に目が向きがちです。
もちろん、それらは必要です。
ただ今回の調査を見ると、意外と身近なところにも採用力の源があることが分かります。
「求人広告をどうするか」だけではなく、
「今いる職員が、この職場を人に勧めたいと思えるか」
を考える。
介護職の採用では、そんな視点もこれからますます重要になりそうです。
良い職場は、求人広告を出しているだけではなく、そこで働く人自身が、その職場の魅力を伝えてくれる。
もしかすると、それが一番強い採用活動なのかもしれません。
参考リンク
・介護職の就職経路やリファラル採用について紹介した記事
進むリファラル採用 介護職員の就職経路、トップは「友人・知人」 カギは良好な人間関係
https://www.joint-kaigo.com/articles/48162/
・厚生労働省が毎年度実施する「介護労働実態調査」の結果・報告書
介護労働実態調査|介護労働安定センター
https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/
